2025年9月末をもって、ふるさと納税のサイトでの独自ポイントの還元が廃止されます。9月中の駆け込み需要が予想される中、改めてふるさと納税の返礼品やポイントにかかる税金について確認しておきましょう。


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ふるさと納税とはどんな制度か?

 読者の皆さまは、ふるさと納税の制度を活用していますでしょうか? 活用していないとしても、言葉は聞いたことがある、という方が多いのではないかと思います。


 まずは、ふるさと納税の制度を改めて簡単に説明しておきましょう。


 ふるさと納税は、税制の「寄付金控除」を活用した制度で、寄付の一種です。本来、自分が住んでいる自治体に納めるはずの税金を、自分の生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域に寄付することができ、それにより、所得税や住民税が控除されます。


 寄付額は、所得額や家族構成などに応じて上限が決まっていて、各人によっていくら寄付できるのかが異なります。その範囲内で寄付を行う場合、自己負担分の2,000円を引いた金額が、翌年の住民税・所得税から控除されます。


 しかし、税金控除以上に魅力的なふるさと納税のメリットは、自治体へ寄付すると、寄付した自治体から「返礼品」を受け取ることができるという点です。この返礼品の価値が、自己負担分の2,000円相当を上回ることが多いため、経済的メリットを感じている方が多いのです。


 返礼品を受け取らず、寄付のみ行うこともできますが、その場合は経済的利益は得られません。


 また、限度額を超えた寄付を行うと、自己負担額が2,000円を超えるため注意が必要です。


 ご自身の限度額の計算については、下記の楽天ふるさと納税のサイトからシミュレーションを行うなどして確認してみてください。


詳細版シミュレーター(2025年分)


9月末でポータルサイト経由の寄付の、ポイント還元が廃止に

 ふるさと納税の寄付をクレジットカードなどで行うと、クレジットカード会社のポイントに加え、ふるさと納税ポータルサイトのポイントも獲得でき、事実上の経済的利益となります。


 しかし、総務省の主導により、ふるさと納税ポータルサイト経由の寄付で得られる独自ポイントは、2025年9月末で廃止されます。税金控除+返礼品+ポイントの三つの利点のうち、「ポイント」がなくなります。


 これにより、例年であれば年末にふるさと納税の駆け込み需要が生じるところ、2025年に限っては9月末が駆け込み需要のピークになるといわれています。


 この時、9月末までにポイントを得ようと慌てて寄付すると、限度額を超過してしまい、結局はふるさと納税によって自己費用が持ち出しになってしまう恐れもあります。


 なお、限度額は昨年の所得ではなく今年の所得に応じて決まります。毎月の給与がある程度予測できるサラリーマンは、年収予想がしやすいのですが、自営業者などは、今年の所得が12月末にならないと確定しません。よって、年収から逆算できる当年度の寄付金上限額の予想額より少ない、ある程度余裕を持たせた寄付額内で、ふるさと納税で寄付するのが無難です。


返礼品は所得税の課税対象となる?

 ところで、ふるさと納税で受け取ることのできる返礼品には、税金がかかるかどうか、考えたことはありますか?


 実は、ふるさと納税の返礼品にも、税金はかかります。ふるさと納税の返礼品は、「一時所得」に該当します。これは、返礼品が、寄付に対するお礼として、自治体からの「贈与」として取得するものに当たるからです。


 一時所得には「特別控除」という控除があり、得た一時所得が50万円以上を超えた場合のみ、特別控除の50万円を差し引いた残額が、課税される所得金額となります。


 返礼品の金銭的価値の合計が50万円を超えるほどの高額寄付をする人は少ないため、返礼品の金銭的価値が一時所得の特別控除の範囲内に収まり、事実上課税されないというのが実態です。


 しかし、多額の返礼品を受け取っていて、その金銭的価値が50万円を超える場合や、返礼品のほかに、生命保険の満期保険金や解約返戻金など一時所得になる収入があり、その合計が50万円を超える場合には、課税対象となるので注意しましょう。


 この金銭的価値の計算は難しく、各自治体に問い合わせるのが最善だと思います。


 現在は総務省の指導により、返礼品の価値は寄付額の30%以内に収まるようにと定められています。


 例えば寄付額が200万円であれば、その30%=60万円が課税対象となり、特別控除額の50万円を超えてしまうため、課税対象となってしまいます。高額寄付を行う場合は、税制上の影響をよく理解した上で行うようにしましょう。


総務省:ふるさと納税ポータルサイト


ポイントに税金はかかるのか?

 ふるさと納税に限らず、ポータルサイトなどで得たポイントに税金がかかるかどうかですが、これはポイントをどのように入手したのか、また、そのポイントを何に使うか、によって異なります。以下、注意点を整理します。


ポイントの入手方法

[1]ポイントが付与された時点では課税対象にならない


 ポータルサイトなどでの通常の買い物による決済で付与されたポイントは、付与された時点では課税対象になりません。


[2]抽選に当たったポイントは一時所得対象となる


 しかし、ポイント付与キャンペーンに当選するなどして付与されたポイントは、「一時所得」にカウントされます。


ポイントの使い道

[1]得たポイントで買い物をする場合は課税対象外


 ポイントサイトで得たポイントを使って、新たに通常の商品を購入する場合は、「値引き」と同じ扱いになるため、課税されません。


[2]医薬品を購入し医薬費用控除を受ける場合は一時所得になる場合がある


 得たポイントを使用して、医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合など、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合は、注意が必要です。ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算したときは、ポイント使用相当額は、一時所得の総収入金額として算入する必要がある、と国税庁のホームページに記されています。


参考: 国税庁ホームページ


※税金に関する記述は一般的な取り扱いについてであり、一部筆者の私見も含まれます。必ず、総務省や、担当税理士、居住区の税務署へ確認の上、最終的に判断・実行するようにしてください。


(足立 武志)

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