ダイセキは日本の液状産業廃棄物処理企業、米リパブリック・サービシズは米国第2位の廃棄物処理企業です。「市場シェアが約25%」「液状廃棄物の取扱いあり」「純利益率10%台前半」など多くの共通点があります。

国際比較によって、財務面で余裕があるダイセキには将来成長に向けた多くの選択肢があることが見えてきます。


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著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較 」


意外に共通点の多い2社

 先週のレポートでお伝えした通り、 ダイセキ(9793) (東京・名古屋、1984年に大同石油化学工業から商号変更)(株価3,630円:9月12日終値)は、液状産業廃棄物処理で国内トップクラスの産業廃棄物処理企業で、日本全国の製造工場(従業員100名以上)に占める取引先割合は現在約25%です。


2025年9月11日: 廃棄物処理大手ダイセキを買い推奨!2期連続でEBITDAが過去最高を更新中(西勇太郎)


 他方、米 リパブリック・サービシズ(RSG:NYSE) (株価228.48ドル:9月12日終値)は、米国第2位(市場シェア約25%)の廃棄物処理企業で、ダイセキが取り扱う液状産業廃棄物のみならず、固形産業廃棄物、一般家庭からの廃棄物なども幅広く取り扱う企業です。


 対象市場や事業規模などが全く異なる2社ですが、市場シェア約25%、液状廃棄物取扱いあり、純利益率10%台前半など共通点が多く見られます。


 自己資本利益率(ROE)と株価純資産倍率(PBR)の比例関係で見ますと、ダイセキは割安方向に振れていて、この割安度合いが解消された場合のダイセキのPBR(図の青い点線に乗る水準)は3.4倍であり、相当する株価は6,000円です。他方、リパブリック・サービシズは若干割高方向に振れている状態となっています。


<主な産業廃棄物処理企業のROEとPBRの関係>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成

ROEの違いは財務レバレッジの違いに起因

 ダイセキとリパブリック・サービシズの直近期業績を比較すると、売上高や利益水準の規模において、リパブリック・サービシズはダイセキの30倍程度と大きく異なる状況です。株主資本も約20倍と大きく異なりますが、時価総額においては60倍に迫る水準と、違いがより大きくなっています。


   株主資本の違い以上に時価総額が大きく異なる状態は、PBRの違い(ダイセキは2.1倍でリパブリック・サービシズは5.5倍)に表れています。そのPBRの違いはどこから来るかというと、先にお示しした比例関係の図から読み取れるように、ROEの違いが大きな要因となっていると考えられます。


<ダイセキとリパブリック・サービシズの直近期業績比較>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:ダイセキ、リパブリック・サービシズの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 ROEを分析する際に、


ROE(当期純利益÷株主資本) = 当期純利益率(当期純利益÷売上高) × 総資産回転率(売上高÷総資産) × 財務レバレッジ(総資産÷株主資本)


の3要素に分解する手法(デュポン分析)を使用するのが一般的です。

このやり方でROEを分解した結果を上の表の緑色の部分に示していますが、ダイセキとリパブリック・サービシズのROEの違いはおおむね財務レバレッジの違いから来ていることが分かります。


ダイセキの財務レバレッジが他社に比べて低い

 ダイセキの財務レバレッジが1.3倍とリパブリック・サービシズの2.8倍に比べて低いということは、「総資産に占める株主資本の割合が高い」ということです。これについては「財務健全性が高くて良い」という見方もあるかもしれません。


    他方で、資本を効率的に活用して収益を上げていくという観点では、財務健全性が高すぎるのも良くないという判断もあり得ます。この財務レバレッジの相場観を知るために他社とも比較してみると以下の通りとなります。


<主な産業廃棄物処理企業10社の主要指標>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成

 主要10社の財務レバレッジ平均は2.9となっており、リパブリック・サービシズの財務レバレッジが平均水準である一方、ダイセキの財務レバレッジが他社比で低い状況にあることが分かります(ちなみに、後ほど触れますが、ダイセキの配当性向は37%と他社とそん色ない水準です)。


ダイセキは700億円以上の使用可能資金を潜在的に有する

 仮に、ダイセキと売上高が近い 大栄環境(9336:東京) と同じ財務レバレッジ2.0倍まで高めるとすると、下表の通りとなって、766億円を使用可能資金として確保でき、新たな設備投資や買収や合併(M&A)、株主還元に用いることが可能な計算となります。


<ダイセキの使用可能資金試算(財務レバレッジを2倍に高めるケース)>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
※運転資本は売上債権 + 棚卸資産 - 買入債務で計算出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成

 実際ダイセキはこの潜在的な資金調達力を背景に、2024年末から2025年初にかけて、半導体・化学業界向けに再生溶剤などを提供する精密蒸留精製企業、 大阪油化工業(4124:東京) に対する想定支払い額33億円の株式公開買い付け(TOB)を行いました。


    残念ながら応募株数が成立条件の下限設定に達しなかったため不成立となりましたが、今後もダイセキはこのような機会を狙っていくと考えられます。潤沢な資金調達力を活用した事業拡大が実現できて財務レバレッジが2.0倍まで高まった場合、ROEが約50%上昇し、株価も約50%もしくはそれ以上上昇する可能性があります。


 もちろん、使用可能資金766億円を配当や自社株買いなどの株主還元に充てるという選択肢もあります。ただし、前掲の「主な産業廃棄物処理企業10社の主要指標」の表に含めましたが、ダイセキの配当性向は他社とそん色ない水準です。


リパブリック・サービシズは地域独占を背景に強い価格交渉力を有する

 ここまで比較対象として挙げてきた米リパブリック・サービシズ(RSG:NYSE)ですが、1998年創業の、アリゾナ州フェニックスにある廃棄物処理企業で、米 ウェイスト・マネジメント(WM:NYSE) (市場シェア約35%)に次ぐ、全米第2位の企業(市場シェア約25%)です。液状の産業廃棄物のみならず、固形産業廃棄物、一般家庭からの廃棄物なども幅広く取り扱う企業です。


 米国では環境規制強化に伴って廃棄物処理施設運営に高度な技術が求められるようになる中、2000年前後から廃棄物処理企業のM&Aによる大型化とそれによる対応能力向上が進んできました。


    結果的に米ウェイスト・マネジメント(市場シェア35%)、米リパブリック・サービシズ(市場シェア25%)に米 ウエイスト・コネクションズ(WCN:NYSE) (市場シェア15%)を加えた3社による寡占化が進んでいる状態です。その結果、州や地域によっては実質的な独占状態となっている場合もあり、強い価格交渉力につながっています。


<リパブリック・サービシズの当期純利益と株価推移>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:リパブリック・サービシズ資料より楽天証券経済研究所が作成

 実際、リパブリック・サービシズの過去10年間の業績変化を見てみると、売上高の伸び(1.8倍)以上に当期純利益が伸びて(3.8倍)大幅な当期純利益率上昇につながっており、それが時価総額の増加(4.4倍)に直結していることが見て取れます。


<リパブリック・サービシズの業績(2014年12月期と2024年12月期実績の比較)>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:リパブリック・サービシズ資料より楽天証券経済研究所が作成

 リパブリック・サービシズは今後も価格改定とM&Aを主軸とした成長戦略を示していて継続的な当期純利益率上昇も見込まれており、業績拡大を反映した株価の継続的な上昇が期待される状況です。


<リパブリック・サービシズの業績予想>


ダイセキとリパブリック・サービシズ、日米の廃棄物処理企業を徹底比較(西勇太郎)
出所:リパブリック・サービシズ、FactSetの資料などより楽天証券経済研究所が作成

(西 勇太郎)

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