包装機械メーカーのゼネラルパッカーが5日発表した2025年7月期の売上高は、過去最高を記録した。8日の株価は一時3,585円を付け、上場来高値を更新した。
包装機械メーカーの ゼネラルパッカー(6267) が5日発表した2025年7月期決算は、売上高が前期比2.6%増の101億円と過去最高を記録した。8日の株価は、一時上場来高値の3,585円を付けた。19日終値ではそれより185円安の3,400円で、株価収益率(PER)は7.4倍、株価純資産倍率(PBR)は1倍割れの0.76倍であるため、株価は割安であると考える。
<ゼネラルパッカーの2019年来の株価推移>

今後の成長が期待できる銘柄として「買い」と判断する。理由は以下の三つだ。
- グローバル展開の加速とソリューションビジネスへのシフト
- 過去最高業績達成の内訳と見通し
- 財務健全性と設備投資
それぞれについて解説していく。
グローバル展開の加速とソリューションビジネスへのシフト
<ゼネラルパッカーのセグメント構成>
ゼネラルパッカーグループは、「包装機械事業」と「生産機械事業」の2セグメントで事業を展開している。特に、2026年7月期を最終年度とする3カ年の第7次中期経営計画においては、「グループ一体での飛躍的成長に向けた基盤整備の時期」との位置づけを強調している。この飛躍的成長の鍵となるのが、グローバル市場での売上高比率40%以上の目標実現と事業領域の拡大だ。
中期経営計画では、グローバル市場売上高比率40%以上の達成を重要課題として掲げているが、2025年7月期年間実績では26.6%にとどまり、目標水準から大きく乖離(かいり)した。これは、国内売上高が伸長したことと、2025年7月期上期の海外売上高が伸び悩んだことが要因となっている。
今後のグローバル市場では、中華圏、欧米、ASEANでの販売体制の強化や新たな販売代理店の開拓、海外営業部の増員といった経営施策が寄与するかがポイントだ。
同社はワンストップで顧客のニーズに応えるソリューション事業を強化する施策も進める。包装機単体ではなく包装ライン一式を提供するソリューションビジネスの拡大を進めている。2025年7月期の営業利益が増加した主な要因は、以下の図のようにソリューション販売が増加したことだ。
<ゼネラルパッカーの営業利益の増減>

ソリューション事業による販売では、自社生産品に加え他社製品を含む場合、粗利益率は低下するものの、売上高が包装機単体と比べて数倍程度となるため、粗利益額は増加するという戦略である。
今後の海外展開において強調されているのが、ミドルレンジのパッケージの拡大だ。日本国内で求められるハイエンドのパッケージだけでなく、インドをはじめとした新興国において人口構成が厚い食品業界のミドルレンジ市場をターゲットとする狙いだ。これは、1台当たりの利益率が低下したとしても、販売台数が増加することで利益額と売上の両方の増加を想定する。
過去最高業績達成の内訳と見通し
2025年7月期は、売上高が業績予想および前期実績を上回り、過去最高を達成した。増収効果により、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全てで前期に比べ増益となった。
<ゼネラルパッカー2025年7月期と前期決算の比較>

一方で2026年7月期も売上と営業利益ともに前期比増を見込むものの、国内外での展示会出展や人的資本への投資強化による販売費および一般管理費の増加を想定しており、親会社株主に帰属する当期純利益については、税金費用の増加により減益を見込む点には留意が必要だ。
財務健全性と設備投資
資本コストを意識した経営により財務健全性は向上している。2025年7月期の資産合計は109.71億円となり、前期から8%減少したが、自己資本比率は68.1%となり、前期末から10.3%増と大幅に上昇している。
またこの財務戦略とともに株主還元にも積極的だ。2023年8月から始まる第7次中期経営計画より、株主資本配当率(DOE)の目安を2%から3%に引き上げている。2026年7月期については、10円増配し、1株当たり年間配当金120円を計画。2025年9月19日の終値時点で予想配当利回り3.5%と非常に利回りが高くなっている。
<ゼネラルパッカー2025年7月期と前期決算のB/S比較>

このような強固な財務の中で投資も進めている。愛知県一宮市の新工場は、2025年9月より賃借を開始した。本格的に業績に貢献するのは2027年7月期からとなる見込みとされている。ソリューション事業などでは包装システム一式を置いてテストするスペースも必要なため、この新工場の広いスペースが確保されることで納入の効率化に寄与すると考えられる。
以上三つのポイントから、長期的な戦略により生活に欠かせない包装においてグローバル市場の自動化といった需要を大きく受けているゼネラルパッカーを「買い」と判断している。
(茂木 春輝)