9月29日、ソニーグループからのスピンオフでソニーフィナンシャルグループが上場します。スピンオフとは何か、そして実施直前に最低限確認しておきたいことについて解説します。
ソニーグループからのスピンオフでソニーフィナンシャルグループが上場へ
来たる9月29日、 ソニーグループ(6758) からのスピンオフによりソニーフィナンシャルグループ(8729)が上場します。
スピンオフとは、会社の事業部門もしくは子会社を切り離して独立させることを指します。独立させた会社の株式は、現物配当として元の会社の株主に分配されます。
今回のスピンオフは、ソニーグループが保有するソニーフィナンシャルグループの全部ではなく一部(80%超)が分配されるため、パーシャルスピンオフと呼ばれます。
具体的には、ソニーグループの株主に対し、保有するソニーグループの株式1株当たり、ソニーフィナンシャルグループ株式1株が交付されます。
この際にソニーグループの株主が何か特段の手続きをする必要はなく、新たに金銭を払い込む必要もありません。
9月26日の大引け時点でソニーグループの株式を保有している株主に、自動的にソニーフィナンシャルグループの株式が付与されます。
完全に「タダ」でもらえるわけではない
では、ソニーグループの株主であれば、ソニーフィナンシャルグループの株式を「タダ」で受け取れるのかといえば、それは違います。
ソニーグループの株をおよそ「8:2」に分割し、8割の部分がソニーグループの株式、2割の部分がソニーフィナンシャルグループの株式になるというイメージです。
厳密にいえば、ソニーグループの株式のうち、分配資産割合(確定見込み)の「0.206」がソニーフィナンシャルグループの株式に変わるという形です。
*詳細は こちら を参照
ですから、ソニーグループの株式の取得価額は、スピンオフによりソニーグループの株式と、ソニーフィナンシャルグループの株式に分割されます。
例えばソニーグループの株式を、1株当たり取得価額2,000円で保有している個人投資家であれば、ソニーフィナンシャルグループの取得価額は1株当たり「2,000円×0.206=412円」、ソニーグループの取得価額は「2,000円-412円=1,588円」となります。
また、9月29日のソニーフィナンシャルグループ上場時のソニーグループの株価(基準値)は次のようになります。
9月26日のソニーグループの株価終値-9月末中間配当予想金額-ソニーフィナンシャルグループの最初の板中心値段(※)
(※)東京証券取引所が決定する価格
ソニーフィナンシャルグループ株の受け入れ口座はどうなる?
スピンオフにより交付されたソニーフィナンシャルグループの株式は、ソニーグループの株式が受け入れられていた口座と同じ口座に受け入れられます。
ですから、ソニーグループ株式が特定口座にて保管されている場合は、ソニーフィナンシャルグループ株式も特定口座に受け入れられます。
また、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座の場合、ソニーグループを受け入れた年度のNISA口座に受け入れられます。
例えば2024年にNISA成長投資枠でソニーグループ株式を取得し、保有している場合は、同じNISA成長投資枠に受け入れられます。
また、2022年に旧NISA口座でソニーグループ株式を取得し、保有している場合は2022年の旧NISA口座に受け入れられることになります。
信用取引でソニーグループ株を買い建てしている場合は?
信用取引でソニーグループ株を買い建てしている場合の取り扱いは、証券会社により対応が異なります。
楽天証券の場合、一般信用取引はスピンオフを持ち越すことができず、9月24日までに決済が必要となります。
また、制度信用取引はスピンオフ前後も取引ができますが、ソニーグループ株式を信用取引の買い建て玉として保有しているだけではソニーフィナンシャルグループの株式を受け取ることができません。
もし、ソニーフィナンシャルグループ株を受け取りたいのであれば、期日までにソニーグループ株の現引きを行い、現物株として9月26日の大引けの時点で保有している必要があります。
なお、制度信用取引でソニーグループ株をスピンオフ後も買い建玉として保有し続けていた場合、「当初買い建て価格×(1-0.206)」に買い建て価格(取得価額)が修正されます。
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(足立 武志)