香港株式市場:本土資金の流入加速で相場活況、1日売買代金は前年比倍増の勢い
香港株式市場は年初から活況で、1日当たり平均売買代金は2,537億HKドル(9月18日現在)と、前年同期の1,061億HKドル、前年通年の1,318億HKドルを大きく上回った。主要株価指標であるハンセン指数の年初来値上がり率は32.33%。
時価総額上位のハイテク株で構成されるハンセンテック指数は40.36%。全セクターが年初来でプラスとなる中、特に好調だったのは素材、ヘルスケア、ITセクターで、年初来の値上がり率が103.28%、94.37%、57.02%を記録している。
香港・米国の金利差拡大を背景とした香港ドルの下落圧力が高まる中、香港金融管理局は6月26日以来、ペッグ制(米ドルとの連動制)防衛に向けた香港ドル買い・米ドル売り介入を実施してきたが、複数回の米利下げ観測により、金融市場の流動性は9月に安定化した。
BOCIは為替介入による株式市場への影響は限定的との見方。実際、香港市場の流動性は依然高く、7月の1日平均売買代金は2,629億HKドル、8月は2,791億HKドルと、前年同月比で167%増、192%増。9月は18日までの段階で3,179億HKドルと、歴史的な高水準に達している。
一方、本土・香港の株式相互取引「ストックコネクト」では「南向き」が好調。年初から9月18日までに1兆222億元の純流入(前年同期4,551億元)を記録し、本土投資家による香港上場株への強い投資意欲をうかがわせた。
ただ、香港上場株とは言っても、多くは本土企業。香港証券取引所によれば、8月末現在、本土企業の時価総額と売買代金は香港市場全体の81.12%、90.9%を占める規模。「南向き」は年初来の1日平均売買代金の23.9%を占め、2022-24年の11.8%、14.1%、17.3%から右肩上がりに推移した。
BOCIは優良テック株・ハイエンド製造株の選択肢が増えたことや、魅力的なバリュエーション、高配当利回りを理由に、「南向き」が年内活況を維持するとの見方。
通年で1兆2,000億元の純流入を見込み(2024年は7,440億元、2023年は2,894億元)、長期的にも香港上場株の再評価をけん引する見通しを示した。年初来の主な投資先はインターネット、通信、半導体。本土投資家に人気の銘柄に注目すべきだとしている。
具体的な人気銘柄は有力ネット企業のアリババ集団(09988)やテンセント(00700)、通信キャリアのチャイナ・モバイル(00941)、半導体のSMIC(00981)。BOCIによれば、有力ECのアリババ集団は「閃購」(即配)事業と従来型ECとのシナジー効果やクラウド事業の勢い、エコシステム全体の組織効率の改善が強み。
テンセントはAI活用による持続的かつ高質な中核ビジネスの成長やAIの商業化の進展、チャイナ・モバイルは外部環境が逆風となる中での業績堅調やトップクラスにある自社開発のAI計算能力が高評価を支えている要因。また、SMICは中国で唯一、先進ノード技術を持つファウンドリ最大手。米中摩擦を受けた中国の国産半導体への切り替え加速が追い風となっている。
(Bank of China int.)