S&P500は1950年初から398倍に成長し、2025年も最高値更新を重ねてきました。9月はFRBの利下げサイクル再開期待が株式市場を下支えし、AI革命や利益成長見通しが長期的な投資魅力を高めています。
S&P500は1950年初から75年間で398倍に成長してきた
9月の米国市場ではS&P500種指数(S&P500)は、終値ベースで過去最高値を8回更新。2025年の年初来累計では29回の高値更新を記録し、9月30日時点で年初来+13.7%となっています。図表1が示すように幾度の揺れを繰り返しながらも、S&P500は1950年初から9月末(6,688.46)まで398倍、つまり、およそ約400倍に成長してきた長期的な歩みが分かります。
図表1:米国市場の時価総額加重平均株価は1950年初から398倍に成長してきた
米国市場には、「In the long run, stock outpace inflation」(長期的に株式リターンはインフレを上回る)との格言があります。今年4月のトランプ関税ショックでS&P500は高値から18.9%下落しましたが、4月8日の安値からは約34%上昇し、2022年10月を起点とした「強気相場」が続いていることを確認してきました。
こうした中、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り利下げを決定しました(FF金利の誘導目標上限を5.5%から5.25%へ0.25%引き下げ)。6会合ぶりの利下げで、当局が示した最新の経済・金利見通し(図表2)は、株式市場におおむねフレンドリー(好意的)な内容でした。
実質国内総生産(GDP)成長率は、2025年1.6%(6月時点より0.2ポイント上方修正)から2027年にかけ1.9%程度へ改善が見込まれ、目先の雇用市場の緩みを吸収しつつも失業率は4%台前半で低位が続くと予測されています。その過程でインフレ率(PCEコア)は2025年末3.1%から2028年には2.0%へ低下し、金融当局が目標とする「2%」に収れんしていく方向感です。
注目点は、政策金利(FF金利)の見通しで、2025年末での3.6%(年内2回追加利下げ想定)から2027年以降は3.0%前後へ緩やかに低下し、中期的に利下げが続くとのメインシナリオ(予想中央値)が示された点です。
まさしく「ゴールディロックス」(適温:熱すぎず冷めすぎない)と呼ばれるマクロ環境と言えます。
図表2:利下げを再開したFRB:9月FOMCが示した最新経済・金利見通しは?
金融(過剰流動性)相場が株式市場を下支え:押し目は「買い場」?
上述したFOMCで金利低下傾向が示された一方、米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)残高は直近で約7.5兆ドル(約1,100兆円)と過去最高を更新。FRBの利下げ再開により、政策金利の行方に敏感な米国2年国債利回りは3.6%まで低下(9月30日)しています。
MMFのような短期金融商品の利回りはさらに下がる見込みで、積み上がる巨額の待機資金の一部が株式市場を中心にリスク資産に向かう可能性が広がります。
こうした環境は、一時的な需給悪化に伴う株価の短期調整を吸収しつつ、いわゆる「金融相場」(過剰流動性相場)を長期化させるベース電源になると考えられます。
加えてトランプ共和党政権は、2026年11月の中間選挙勝利に向け、来春のプライマリー(予備選)時期に向けて規制緩和(金融・テック・エネルギー)や法人減税(国内製造業を中心とした減税)を進める見込みで、一段の株高(富裕層・中間層には「資産効果」をもたらす)を演出したい意図がみられます。
図表3:今後想定される「金融相場(過剰流動性)相場」の原資は?
もっとも、過去30年の市場データが示す季節性(アノマリー)で懸念された「夏枯れ相場」を突き抜け、8月に5回、9月に8回の最高値を記録したS&P500にはやや過熱感も否めず、10月に自律調整が生じる可能性は残ります。目先のリスク要因としては、
(1)新年度(10月以降)に向けた「つなぎ予算案」が議会承認で難航しており政府機関閉鎖リスクが高まっている(共和党は大規模な公務員削減を宣言し民主党に圧力をかけている)
(2)関税の影響で一時的にせよインフレ指標が上振れれば追加利下げ観測が後退(債券利回りが上昇すれば株価の重しとなる)
(3)若手保守派インフルエンサー暗殺事件を契機に保守・リベラルの対立が激化(街頭デモや政治的暴力の恐れ)
(4)ロシアが北大西洋条約機構(NATO)加盟国(ポーランド、ラトビア、ノルウェー、エストニア、リトアニア)に領空侵犯し挑発しており、偶発的な軍事衝突が起きるリスクが高まっている
(5)米国金融市場の信認が厚いベッセント財務長官に住宅融資絡みの不正疑惑が浮上している
などが挙げられます。株価が一時的に下落しても慌てないことが肝要でしょう。
米国企業の純利益総額の成長ペース拡大がPER拡大の主因
短期的なリスク(リターンのブレ)は適宜ありますが、近年の米国株式が「成長証券」(Growth Securities)としての特性を強めている点に注目すべきです。
図表4の通り、米国の名目GDP(国内総生産=一定期間にモノやサービスが生み出す付加価値の総計)は1950年初から2025年第1Qまでに約108倍へ拡大しましたが、企業利益(税引後純利益総額)は約196倍(名目GDPの約2倍)へとより大きく伸びています。
特に1995年以降は、インターネット革命を軸とするICT(Information and Communication Technology=情報通信技術:ネットワーク、ソフト、クラウドなど)の普及が限界費用を大きく引き下げ、固定費中心の構造で営業レバレッジが効いたことが背景とされます。
さらにデータ活用・自動化・サプライチェーンの最適化が生産性を押し上げ、無形資産やプラットフォームのネットワーク効果、寡占化がS&P500を構成する主力テック企業のマージン(利益率)を向上させ価格決定力も強めてきました。
図表4:1990年代以降、企業の純利益拡大ペースは名目GDPを上回ってきた
加えて、実効法人税率の低下や低金利により手取り利益が増加し、純利益は低マージン部門も含む名目GDPより伸びやすい構造に。これがEPS(1株当たり利益)の上振れと割引率低下を通じて平均PER(株価収益率=成長期待を測るモノサシ)を押し上げてきました。
市場予想平均(Refinitiv集計によるボトムアップ予想平均)によれば、S&P500(時価総額加重平均)ベースのEPSの前年比増益率は2025年+10.3%、2026年+13.8%、2027年+13.0%と二桁増益と過去最高益更新が続く見通しです。
米国はイノベーション(技術革新)、起業家精神(アニマルスピリッツ)、厚い資本市場、法制度・ガバナンス、そして世界からの優秀な人材流入が有機的に結びつく「世界最強の資本主義経済大国」です。その政治姿勢で市場を揺らしてきたトランプ大統領も、7月23日に「米国を人工知能(AI)の首都にする」と宣言する大統領令に署名しました。
米国第一主義(MAGA)が推す製造業ルネッサンス(再興)に加え、テック業界を中心に無形資産の拡大余地は大きく、利益成長が自社株買いや配当増加を通じ株主価値還元を強化する「株主資本主義」も機能し続けるでしょう。
一部の評論家が長年主張してきた「米国株割高論」に惑わされず、利益総額の成長ペースが名目GDPを上回る構造的要因と資本効率改善に目を向け、長期×分散×積立で米国株の成長を享受することが賢明と考えています。
株式市場の適宜のスピード調整を想定しつつ、「投資を続ける」(Just keep buying)姿勢を維持し、ドルコスト平均法と複利効果を味方に資産形成を進めていくことが最適解といえるでしょう。
(香川 睦)

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