ソニーグループ(6758)のパーシャル・スピンオフにより、ソニーグループ株主が受け取ったソニーフィナンシャルグループ(8729)の株。これを用いて節税効果を得ることができること、気が付きましたか?
ソニーグループ株主はスピンオフでソニーFG株式を受け取った
9月29日、 ソニーグループ(6758) からのパーシャル・スピンオフにより ソニーフィナンシャルグループ(以下、ソニーFG:8729) が上場となりました。
このスピンオフでは、9月26日時点でのソニーグループの株主に対し、保有するソニーグループの株式1株当たり、ソニーFG株式1株が交付されました。
実はこのソニーFG株式を売却することで、思わぬ節税効果を得ることができる可能性が高いことについて、以下、解説していきます。
ソニーFG株式の「取得価額」と「実際の株価」が大きく異なる
実は今回のスピンオフでは、ソニーFGの「取得価額」と「時価」が大きく異なっています。
前回10月4日のレポートでも説明しましたが、もともと各株主がソニーグループ株式を取得した際の取得価格に「0.206」を乗じた価格がソニーFG株式の取得価格となり、残りがソニーグループ株式の取得価額となります。
2025年10月4日: ソニーフィナンシャルグループのスピンオフ上場、株式を受け取るとき税金は発生する?売却時は?
従って、例えばソニーグループ株式を1株4,000円で2,000株保有していた場合、
●ソニーFG株式
4,000円×0.206=824円
824円×2,000株=164万8,000円
●ソニーグループ株式
4,000円-824円=3,176円
3,176円×2,000株=635万2,000円
がそれぞれの取得価額となります。
一方、10月3日時点でのソニーグループの株価は4,206円、ソニーFGの株価は145.3円です。
実際についている株価ベースでみると、ソニーグループ:ソニーFG=97:3の割合になっています。
しわ寄せはソニーグループの含み益とソニーFGの含み損に
取得価額の割り振りでは、両者はおよそ79:21の割合で割り振られましたから、両者の割合が大きく異なる分だけ、そのしわ寄せがソニーグループ株の含み益と、ソニーFGの含み損という形で出現しているのです。
実際、10月3日の終値で計算すると、上の例でソニーFGをスピンオフで2,000株取得したケースでは(824円-145.3円)×2,000株=135万7,400円の含み損が生じていることになります。
ですから、スピンオフで取得したソニーFG株式を売却するだけで、含み損が実現し、売却益や配当金との相殺により、節税効果を得ることができるのです。
ソニーFG株式を売却しないと節税効果は得られない
なお、この節税効果は、スピンオフにて受け取ったソニーFG株式を売却しなければ得ることはできません。売却せず保有したままでは、含み損の状態であり、損失が実現したことにはならないからです。
ですから、もしソニーFG株式を売却せずに保有していたいという場合には、節税効果は得られないことになります。
ソニーグループ株を安く買っている株主は節税効果が得られないことも
また、ソニーグループの株式をかなり株価が低いときから保有していたような場合は、そもそもソニーFG株式の含み損が生じていないので、売却しても節税効果はありません。
例えばソニーグループ株式を、株価が500円の時に買っていた場合は、
●ソニーFG株式の取得価額:500円×0.206=103円
●ソニーグループ株式の取得価額:500円-103円=397円
となり、現在のソニーFGの株価より取得価額が小さいため、ソニーFG株式を売却すると損失ではなく利益が生じることになります。
売却したいけれど損失を実現させたくない場合のテクニックとは?
もし今年に入ってから売却益や配当金が多額に生じ、利益を少しでも減らして節税したいと考えるのであれば、ソニーFG株式の売却も選択肢の一つです。しかし、売却したいものの、今年に入ってからの株式投資の損益が大きく損失となっているため、これ以上損失を膨らませたくない、という方もいらっしゃるかもしれません。
こんな時は、信用取引を使って、保有するソニーFG株と同数量を空売りすれば、事実上売却したのと同じ効果が得られます(買いと売りで両建ての状態になっているため)。
それでいて、実際にはソニーFG株式を売却はしていないので、含み損の実現も回避できます。
このような場合、信用取引を利用した両建てなど、損失の発生時期を調整する方法も存在しますが、これにはリスクが伴います。例えば、両建ての状態で年内いっぱい保有し、翌年になってから現渡し(信用取引の決済方法の一つ。空売りしている銘柄の決済時に、現物株式を差し入れて信用売りの売建代金を受け取る方法)すれば、その時点で損失が実現するため、損失の発生を翌年に繰り延べることができます。
*トウシル編集部注:信用取引には手数料や金利が発生する他、株価変動による追加証拠金のリスクなど、さまざまなリスクがあるため、利用の際は十分な理解と注意が必要です。
(足立 武志)

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