高市総裁の会見前、報道カメラマンから漏れた「支持率を下げるような写真しか出さねえぞ」という発言。一体どんな写真が、政治家や芸能人のイメージを操作するのでしょう? 知られざる「悪く見せる」手法の数々、あなたはきちんと見抜けますか?


SNSで炎上「支持率を下げる写真」とは?メディアにあふれる印...の画像はこちら >>

高市早苗・自民党総裁の記者会見前にもれた音声

 自民党本部で10月7日、高市早苗・自民党総裁の記者会見が行われました。会見前、報道陣が待機している時間帯、テレビ局のライブ配信映像で報道関係者同士の雑談が流れてしまいました。

「支持率下げてやる」「支持率下げるような写真しか出さねえぞ」といった音声が含まれていたため、大問題となりました。


 報道の公正性が疑われるような発言であったため、この音声はSNSで拡散され、メディアに対する批判が殺到しました。


「支持率を下げるような写真」とはどんなもの?

「支持率を下げるような写真」がどんなものか、私には想像がつきます。政治家や芸能人をこき下ろす記事に昔からよく使われているからです。皆さまも、そうした写真を新聞や雑誌、オンラインメディアなどで目にする機会が多いでしょう。


 一番多い例としては、顔に黒い影がついている写真です。逆光で撮ると、周囲が明るいのに人物の顔だけが黒く映り、「悪役」や「何かをたくらんでいる人」といった印象を与えることがあります。


 写真単体では必ずしも「悪い人物」というイメージが確定するわけではありません。しかし、記事で批判的に書きつつ、影がついた写真を掲載することで、読者の潜在意識にネガティブなイメージを植え付ける効果があります。このようなテクニックが一部のメディアで使われていることは、非常に嘆かわしいことです。


「悪役の顔に黒いカゲをつける」などの演出は報道写真だけでなく、マンガやイラストにも頻繁に出てきます。あるマンガで、親切な村人がずっとにこやかに旅人と話していたのに、「しばらくここに泊まっていっていいですよ」というシーンで、突然、光を背にした黒いカゲ付きの顔に変わります。それを見た旅人がびっくりして「けっこうです」とあわてて村を出ていくシーンがありました。


 村人の心の中を言葉で説明せず、黒いカゲ付きの顔を見せることで効果的に演出していると思いました。


他にもいろいろある「悪く見せる」テクニック

「支持率を下げるような写真」はほかにもいろいろあります。人が早口で話している瞬間を多く撮影すると、一瞬だけ口が「タコ」のように丸く開いた写真が撮れることがあります。この写真を用いることで、「間が抜けている」あるいは「能天気」といった印象を与えることが可能です。


 記者会見の途中で目が疲れて、一瞬メガネを外して目を手で押さえる人もいます。その写真を効果的に用いれば、「とんでもないことをして後悔している人」というイメージを与えることもできます。


 真夏の猛暑で、会見中に一瞬ハンカチを出して顔の汗を拭く人もいます。その瞬間を用いれば、「説明のつじつまが合わず冷や汗をかいている人」や「失敗して焦っている人」といったイメージを醸し出すことが可能です。


 もし徹夜明けの会見で、睡魔と戦っている時に一瞬「あくび」をする写真が撮れればいろいろな使い道があるでしょう。「いつもさぼっている人」「重大な問題を前にして無関心な人」などいろいろなイメージに使えるでしょう。


 記者会見の内容を、事実に基づいて論理的に批判するのは良いことと思います。そうではなく、写真を使って悪いイメージを植え付けるようにマインドコントロールする手法は禁止されるべきだと考えます。そのような手法が、まったく規制されることなく日常的に使われている現状は、極めて嘆かわしいと言えます。


 私は、いろいろなオンラインメディアにレポートを出していますが、私がある記者会見に基づいて書いたレポートに、とんでもない写真がついていて、ビックリしたことがあります。


 記者会見で話している人が小さく映り、その人を照らすライトによってできた影が大きく映っている写真です。その写真には「本心で話していない」「カゲがホンネを語りたがっている」という説明がついていました。


 私が批判的に書いたレポートに勝手につけられた写真ですが、こういう写真の使い方は公正でないと思いました。そのメディアにはもうレポートを出さないことにしています。


 例を挙げればきりがありません。このようなテクニックは無数に存在し、日常の報道写真の中にも数多く見られるため、皆さまも心当たりのある場面があるのではないでしょうか。


高市総裁は強いリーダーになれるか?

 高市総裁が、強いリーダーとなって資本主義の成長戦略を推し進める期待から、日本株に外国人の買いが続いています。


 高市総裁はその期待に応えられるでしょうか? 少数与党を率いるリーダーで、財政や外交に難題が山積している中、強いリーダーとなって政権を率いていくには、たくさんの関門が待ち受けています。


 就任早々の記者会見前の雑談で、複数メディアの記者が高市氏にネガティブな話をしていたことから、今後のメディア対応にも苦労しそうです。


 ただし、今回の騒動で、たった一つだけ良いことがあったかもしれません。当面、高市氏について、悪く映った写真を意図的に使うメディアは現れないと思われることです。


 投資についても同様です。意図的な印象操作に惑わされ、企業の本質や銘柄の魅力を見抜く力を失わないよう、さまざまな情報をフラットな状態で受け取るための心構えをしておくべきと考えます。


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