マイクロン・テクノロジーの2025年8月期4Qは、46.0%増収、営業利益2.40倍。需要旺盛なHBM、2025年7月以降のDRAM価格大幅上昇が寄与した。
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「 決算レポート:マイクロン・テクノロジー(業績好調。HBMの好調に加え、DRAM価格が大幅上昇) 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)
1.マイクロン・テクノロジーの2025年8月期4Qは、46.0%増収、営業利益2.40倍。
マイクロン・テクノロジー(以下マイクロン)の2025年8月期4Q(2025年6-8月期、以下前4Q)は、売上高113.15億ドル(前年比46.0%増)、営業利益36.54億ドル(同2.40倍)となりました。前3Q比でも大幅増収増益となりました。AI半導体に不可欠の特殊メモリ「HBM」(マイクロンは最新規格の「HBM3e」を出荷中)の好調に加え、今年7月以降DRAMの1世代前の規格である「DDR4」の価格が急上昇し、それが最新規格である「DDR5」にも波及したことが大きく寄与しました。
この結果、2025年8月期通期は、売上高373.78億ドル(同48.9%増)、営業利益97.70億ドル(同7.49倍)となりました。
マイクロンは前4Q決算から新セグメントによるセグメント別業績を開示しました(今回の開示は、四半期では2025年8月期4Q、同3Q、2024年8月期4Q、通期では2023年8月期、2024年8月期、2025年8月期)。
新セグメントによれば、クラウドメモリ・ビジネスユニット(以下クラウドメモリBU。大手クラウドサービス向けメモリソリューション(DRAM)と、全てのHBM)は、売上高45.43億ドル(前年比3.14倍)、営業利益21.81億ドル(同4.56倍)となりました。HBM売上高は約20億ドル弱となりました。決算電話会議での会社側の説明を元に推定すると、HBM売上高は、2024年8月期3Q約1億ドル、同4Q約4億ドル、2025年8月期1Q8~9億ドル、同2Q約13億ドル、同3Q約20億ドルとなります。前4Qは前3Q比横ばいだったと思われますが、これはAI半導体の中国向けがなくなったこと、出荷タイミングのズレによると思われます。クラウドメモリBUが前年比、前四半期比ともに大幅増収増益だった要因は、HBMだけでなく、大規模データセンター向けDRAMの数量増加とともにDRAMの大きな価格上昇があったためと思われます。
コア・データセンターBU(中規模クラウドサービス、企業向けメモリソリューション(DRAM)と全てのデータセンター向けストレージソリューション(NAND))は、売上高15.77億ドル(同23.0%減)、営業利益3.94億ドル(同28.7%減)となりました。メモリ、ストレージソリューションの多くを設備投資が活発な大手クラウドサービスに振り向けたためと思われます。DRAM価格上昇によって、営業利益率は上昇しました。
モバイル&クライアントBU(スマートフォン向け、パソコン向けDRAM、NAND)は、売上高37.60億ドル(同24.5%増)、営業利益10.90億ドル(同80.6%増)となりました。
自動車&組み込みBU(自動車、各種産業、消費者向けDRAM、NAND)は、売上高14.34億ドル(同16.6%増)、営業利益2.87億ドル(同2.12倍)となりました。ここでもDRAM価格上昇が寄与しました。
前4Qは、DRAM価格上昇による営業利益率改善が各BUと全社の業績に大きく寄与しました。BU別に前3Q、前4Qの営業利益率を比較すると、クラウドメモリBUは46.0%→48.0%、コア・データセンターBUは20.0%→25.0%、モバイル&クライアントBUは15.0%→29.0%、自動車&組み込みBUは11.0%→20.0%となりました。
表1 マイクロン・テクノロジーの業績
表2 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(四半期)
表3 マイクロン・テクノロジー:テクノロジー別売上高
グラフ1 DRAMの市況
グラフ2 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月29日から)
2.2026年8月期も大幅増収増益が予想される。
会社側の2026年8月期1Q業績ガイダンスは、表4の如くです。ここからレンジ平均値を計算すると、売上高125億ドル(前年比43.5%増)、営業利益48.20億ドル(同2.22倍)となります。
楽天証券では、今期2026年8月期を売上高550億ドル(同47.1%増)、営業利益230億ドル(同2.35倍)、2027年8月期を売上高670億ドル(同21.8%増)、営業利益290億ドル(同26.1%増)と予想します。
まず、HBMは今の「HBM3e」に続き、2026年4-6月期より高性能で単価が高い「HBM4」が出荷開始となる予定です。
DRAMも2026年中は高価格を維持できると思われます。
なお、DDR4からDDR5への生産シフトはマイクロンはすでに行っています。
ただし、DRAM価格の上昇が2027年も続くかどうかは不透明です。このため、楽天証券の2027年8月期予想では業績が鈍化する見方です。
設備投資の動きを見ると、2025年8月期4Qは56.58億ドル、2026年8月期1Q会社予想は45億ドルです(グラフ3の2026年8月期1Qは会社予想)。2025年8月通期では158.57億ドル、2026年8月期は約180億ドルになると予想されます。マイクロンは今年6月、米国のアイダホ州、ニューヨーク州、バージニア州における半導体製造と研究開発に約2,000億ドルを投資すると発表しました。約2,000億ドルのうち、約1,500億ドルを米国内の先端メモリの生産能力拡大に、約500億ドルを研究開発に充てる計画ですが、投資期間は不明です。この資金調達は、CHIPSおよび科学法に基づく補助金等になると思われます。
表4 2026年8月期1Q会社側業績ガイダンス
表5 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(通期)
グラフ3 マイクロン・テクノロジーの設備投資:四半期ベース
グラフ4 マイクロン・テクノロジーの設備投資:年度ベース
3.今後6~12カ月間の目標株価を260ドルとする。
マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を260ドルとします。
楽天証券の2026年8月期予想1株当たり利益(EPS)17.24ドルに、今期の業績拡大と来期の業績鈍化リスクの両方を織り込み、想定株価収益率(PER)15倍前後を当てはめました。
投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)
(今中 能夫)

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