2024年にリニューアルされたNISAをきっかけとして積立投資を始める人が増えています。しかし、投資はもちろん、積立投資も初めてという人が多く、いろいろ誤解があるようです。
誤解1:積立資金が出せなくなったら投資を続ける意味がない
子供の教育費が増えてきた、マイホームや車を買ってローン返済が重くなった、定年退職して収入が大幅に減少した…など家計の支出が膨らんだり、収入が減少したりすることで、積立投資用の資金を出す余裕がなくなることもあります。
このように継続的に積み立てを続けていくのが難しい場合もあるでしょう。この時、「積立資金を出せないからもう投資を続けても意味がない。これまで積み立ててきた残高についても売却してしまおう」と考えてしまう人がいます。
しかし、これはよくある誤解です。投資というのは定期的に追加投資を行っているかどうかとは関係なく、投資信託という形で株式や不動産投資信託(REIT)といった資産を保有し続けていくこと、つまり長期保有していくことで利益が生まれてくるのです。
株式であれば投資先の会社がビジネスを行うことで利益を生み続け、REITであれば誰かに貸していれば家賃収入が入り続けます。投資信託を通じて間接的にでも株主や不動産オーナーという立場に居続けさえすれば、毎年生み出される利益がリターンとして還元されてくるのです。
誤解2:定年退職して収入がなくなったので積立資金はなくなった
現役時代は積立投資をしてきたけど定年退職して収入がなくなったので、もう積み立て用の資金はなくなってしまったと考える人がいます。積立資金は本当になくなってしまったのでしょうか。
人によりますが定年退職して収入がなくなったとしても、保有している金融資産が預貯金2,000万円、投資信託500万円といった場合も考えられます。
毎月入ってくる収入は確かになくなったかもしれませんが、保有している預貯金を活用して積立投資を継続していくことは十分可能です。預貯金2,000万円を1,000万円まで減らしつつ、投資信託を1,500万円まで増やしていく、という選択肢もあるのです。
誤解3:価格が下がってきたら積み立てをやめてしまう
株価(投資信託で言えば基準価額)が右肩上がりに上昇している時期はいいのですが、株価が下がり始めてしまうと積み立てをやめてしまう人がいます。株価が下がって怖くなってしまうのかもしれませんが、株価が下がった時こそ安く購入できるチャンスと言えます。
一般的に積立投資では毎月一定金額(例えば3万円)を投資していきます。1口5,000円なら6口購入できますが、1口4,000円に値下がりすると7.5口購入できます。つまり、価格が下がることで、同じ投資金額でもたくさんの口数を購入できるのです。
価格が下がった時に継続して積み立てていれば、たくさんの口数を購入できますので、その後価格上昇局面が訪れた際には大きなリターンが期待できます。
具体的な例で考えてみましょう。例えば、全世界株式インデックスファンドのベンチマークとしてよく使われているMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)に積立投資していく場合を考えてみます。
次のグラフは2002年の1~12月末までの全世界株式インデックス(MSCI ACWI)の推移です。年初から毎月1回の積立投資を始めた場合、5月ごろまではほぼ横ばいとなっていますが、6月以降下落し始め、年後半では含み損の状態が続くことになります。
積立投資を始めたばかりの人は年後半で嫌になってしまい、積立をやめてしまうかもしれません。
ここで次のグラフを見てください。こちらは全世界株式インデックス(MSCI ACWI)について、先ほどの2002年のデータに加えて、2022年のデータを追記したもの(いずれも1~12月末)になります。
2002年のデータだけを見ていると大きく下がったように見えますが、2022年のデータと重ねてみると、2002年の変化はほとんど誤差と言えるレベルではないでしょうか。2022年には最も低い水準でも1,361、高いと1,637となっており、2002年の233~356とは大きく水準が異なっています。
株式への投資はハイリスク・ハイリターンと言われ、価格変動は非常に大きなものですが、長期的には株式は付加価値を生み出し続けることでリターンを生み出していくのです。2002~2022年にかけて20年間で生み出し続けた利益に相当する分だけ株価水準(投資信託で言えば基準価額)も大幅に上昇していったというわけです。
積立投資は短期的な価格変動に影響されることなく、長期的に続けていくこと、特に保有を継続していくことが非常に大切です。
誤解4:売却する時は保有している全てを売却しなければならない?
最後の誤解は売却する時は、保有している全てを売却しなければならないと考えてしまうものです。
例えば毎月3万円、10年間積立投資を続けてきて463万円になった場合を考えてみましょう(累計投資元本は360万円)。ここでお子さんの教育費で150万円の支払いが必要となり、積立投資してきたお金を売却して充当しようと考えたとします。
この場合、463万円の全額を売却する必要はなく、税引き後の手取りで150万円相当を売却すればいいのです(もちろんNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)であれば非課税です)。
理解している人からしたら、「何を今さらそんな当たり前のことを…」と思われるかもしれませんが、積立投資初心者の人の中には売却する場合は全て売却しなければならないと考えている人もいます。
貯蓄型の保険商品をイメージして、「全て解約するか、そのまま続けるか」といった2択で考えてしまうのかもしれません(一般的に保険商品の場合も保険金の減額をすることで、解約返戻金の一部のみを受け取ることが可能ですが、そういった認識を持っていない人も多いようです)。
今回は積立投資についてのよくある四つの誤解についてご説明しました。
できるだけ不安なく、自信を持って長期的に積立投資を継続していただければと思います。
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