その株主優待、本当にお得ですか? キャッシュバックとポイント、食事券と食品ギフト…、それぞれにメリット・デメリットがあります。優待生活をさらに豊かにするために、クイズを解いて、自分のライフスタイルに合った優待を選ぶ一助としてください。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 株主優待の「お得」を最大化する秘訣「どっちがお得?」クイズ【クイズでわかる!資産形成】 」
今日のクイズ
株式投資を始める理由として「株主優待が魅力的だから」は常に上位に位置しています。短期的な株式変動に一喜一憂せず、株主優待を楽しみながらじっくり長期投資していきましょう。
今日は、株主優待の損得を考えるクイズです。どっちがお得か、2択問題を2問出します。あまり難しく考え過ぎないで、自分にとってお得と思える方を選んでください。
【第1問】A社とB社、どちらも業績も財務も良好、予想配当利回り1%、共にとても魅力的な生活必需品を株主優待品として提供しています。さて、より「お得」なのはA社・B社どっち?
【A社】自社製品の購入代金の10%をキャッシュバック(他の割引セールと併用可、半期ごとにキャッシュバック上限5万円)
【B社】自社製品の購入代金の11%のポイントを付与(他の割引セールと併用不可、半期ごとにポイント付与上限5万円、ポイント有効期限は1年)
【第2問】C社とD社、どちらも業績も財務も良好、予想配当利回り1.5%、大人気の外食業です。さて、より「お得」なのはC社・D社どっち?
【C社】株価2,000円。100株につき毎期、食事券4,000円分(500円券×8枚、有効期限1年)
【D社】株価2,000円。100株につき毎期、自社製品(冷凍食品など)2,000円相当が半期ごとに贈られてくる(年2回、合わせて4,000円相当)
株主優待とは、上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。
株主優待制度は、個人投資家を優遇することを目的としている
株主優待制度は、個人投資家にとって、とても良い制度です。なぜでしょう。それは、小口で投資する個人投資家を優遇する一方、大口で投資する機関投資家に不利な内容だからです。
買い物をするときは、たくさん買うほど割引などのメリットを受けやすくなるのが普通です。そのため、株主優待制度も、たくさん株を保有している大株主に手厚いものではないかと思いがちです。
驚くべきことに、優待制度は、大株主を冷遇する一方、小口の個人投資家を優遇するものとなっています。そのため、株主優待制度に反対する機関投資家も珍しくありません。
機関投資家にとって不利な内容になっていることを、具体的に見てみましょう。以下は、典型的な優待の一例です。
<E社の優待内容>
期末の株主名簿に記載されている株主に以下の自社製品を贈る。
上記の優待内容から、100株当たり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表です。
ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が1,000円で最大です。保有株数が大きい株主は、100株当たりのメリット享受額が小さくなります。
このように、優待制度は、少額投資の個人株主を優遇する内容となっています。個人株主数を増やしたい上場企業が、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールしているわけです。
小売・外食・食品・サービス業では、個人株主がそのままお客さま(会社の製品やサービスの購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用するケースが多数あります。
正解
どちらがお得か、お伝えします。
【第1問】 【A社】の方が「お得」
二つの理由があります。
【1】他の割引と併用可
セールによる割引品を購入して、割引後に支払った金額に対して、そこから10%のキャッシュバックが得られるのが、「他の割引と併用可」のA社です。
ところが、B社の優待は、「他の割引と併用不可」のためセールの割引品などに使えません。
小売業の株主優待割引券には、「他の割引と併用不可」としているものがよくあります。
イオン(8267) の株主優待(キャッシュバック)は、原則、他の割引と併用可です。
【参考:イオンの株主優待内容】
【2】キャッシュバックの方がポイント付与より有利となりやすい
【A社】自社製品の購入代金の10%をキャッシュバック
【B社】自社製品の購入代金の11%のポイントを付与
キャッシュバックは、買い物した時点で確定しています。一方、ポイントの方は、それを使って買い物するまでメリットが出ません。このポイントには1年という有効期限があるので、使わないまま失効するリスクもあります。
楽天ポイントは、さまざまな買い物や投信購入などにも使えるので、とても使いやすいですが、そうでないポイントもあります。使い勝手の良くないポイントは、使わずに失効するリスクが高くなります。
ところで、キャッシュバックは10%、ポイント付与は11%です。ポイントを全て使えば「ポイント付与の方が有利ではないか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
100円の買い物を例にして説明します。
100円の買い物をして10円のキャッシュバックを得れば、割引率は10%です。
【A社優待割引率】=(90円÷100円-1)×100=10%
一方、100円の買い物をして11ポイントもらい、その11ポイントで11円の買い物をしたとします。
B社のケースでは、トータルで111円の買い物をして100円支払ったことになります。
【B社優待割引率】=(100円÷111円-1)×100=9.9%です。
従って、割引率はほぼ同じですが、キャッシュバックの方がポイント付与より少しだけお得です。
「なんかよく分からなかった」という人のために、もっと極端な分かりやすい例を出します。
50%の割引と50%のポイント付与は、どちらがお得か、100円の買い物で考えましょう。
50%割引ならば50円支払えば100円の品物が得られます。割引率は50%です。
50%のポイント付与ならば、100円払って100円の品物を買いますが、得られる50ポイントを使えば、さらに50円分の品物が買えます。100円払って150円分の買い物をすることになります。
【割引率】=(150÷100-1)×100=33.3%
50ポイントもらって全部使っても、割引率は33.3%にしかなりません。
【第2問】 【D社】の方がお得。
ただし、D社はあくまでも「模範解答」です。
人によっては、C社の方が良い場合もあります。もしあなたがそうならば、あなたにとっての正解はC社となります。
【C社】毎期、食事券4,000円分(500円券×8枚、有効期限1年)
【D社】冷凍食品など4,000円相当(半期ごとに2,000円相当×年2回)
C社の食事券8枚は1年以内に使わないと失効します。優待投資家の桐谷広人さんが「この優待は今日中に使わないと失効する~」と言いながら必死に自転車こいで息を切らしてお店に駆けつけるシーンがあります。桐谷さんくらいしっかり使えば良いのですが、普通の人はうっかり失効させてしまうことがよくあります。
D社は、自宅に2,000円相当の食品が年2回贈られてくるので、取り損ねることはありません。
C社の500円食事券は、お釣りは出ません。500円以上の食事をしないと1枚を使いきれませんし、1,000円以上の食事をしないと2枚を使い切ることはできません。
どうしても使い切れないと思う時は、ネットのチケットショップなどで売ることもできます。ただし、人気の500円食事券でも300円くらいでしか売れないことがあります。残りの有効期限が短すぎると、買い手がいないこともあります。
以上の理由により、模範解答はD社です。ただし、あなたが「日中誰も家にいない」「冷凍食品は受け取りが大変」「外食が多く、年間8枚の食事券をすぐに使い切れる」といった事情を抱えていれば、正解はC社となります。
このクイズは、皆さんのライフスタイルによく合った優待を選ぶきっかけとしていただくために作りました。正解は、C社でもD社でも、自分に合ったものであれば、どちらもあり得ます。
今日は、架空の株主優待を例にクイズを作りました。でも、実際に存在する優待に似た内容としています。
優待内容を吟味する時、実際に使いやすいか、しっかり使うことができるか、そこまで考えて選んでください。例えば、お米や鉄板のような生活必需品ギフトの方が、しっかり使える傾向があります。
大好きな食べ物でもずっと同じものを食べていると飽きてしまうこともあります。いろいろな業態の店舗で使える食事券が良いでしょう。生活圏の中に店舗があるかどうかも重要です。
(窪田 真之)

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