レーザーテックの2026年6月期1Qは、47.5%増収、67.9%営業増益。検収が進んだ模様。

足元の受注水準は不明だが、会社側は従来の見方である2026年に入ってからの受注回復に自信を持っている模様。また、新製品「ACTIS A200HiTシリーズ」を発表したが、検査速度が速く、受注回復時の主力機種になる可能性がある。中長期で投資妙味を感じる。


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「 決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持) 」


本レポートに掲載した銘柄: レーザーテック(6920、東証プライム)


1.レーザーテックの2026年6月期1Qは、47.5%増収、67.9%営業増益。

 レーザーテックの2026年6月期1Q(2025年7-9月期、以下今1Q)は、売上高541.71億円(前年比47.5%増)、営業利益267.28億円(同67.9%増)となりました。前期2025年6月期の受注高、期末受注残高は1年前から大幅に減少しましたが(表4、5)、検収が進捗した模様です。


表1 レーザーテックの業績


決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持)
株価 28,410円(2025/10/31)発行済み株数 89,949千株時価総額 2,555,451百万円(2025/10/31)単位:百万円、円出所:会社資料より楽天証券作成注1:当期純利益は親会社の所有者に帰属する当期純利益。注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表2 レーザーテック:四半期売上高


決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

表3 (参考)レーザーテックの売上高、受注高内訳(通期ベース)


決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持)
単位:100万円出所:会社資料より楽天証券作成注:2024年6月期以降の売上高、受注高の内訳は会社開示の億円単位の数字を百万円単位で表示したため、合計が合わない場合がある。

表4 (参考)レーザーテックの受注高、受注残高内訳


決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成。注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

2.会社側は2026年に受注が回復するという見方を変更せず。「ACTIS A200HiTシリーズ」を発表。

 今1Qは業績好調でしたが、会社側は二桁減収減益予想の2026年6月期業績予想を変更しませんでした。

一方で、2026年に受注が緩やかに回復するという見通しも変更しませんでした。ただし、今1Q受注高についてのコメントがなく、今2Q決算発表時に受注高についてコメントするということなので、足元での受注水準は不明です。


 2026年の受注回復の中心は、「ACTIS A150」「ACTIS A300」に加え10月31日に発表した新製品の「ACTIS A200HiTシリーズ」になると思われます(「ACTIS」はEUV光を使ったフォトマスク欠陥検査装置のシリーズ)。「A200」は「A150」比3倍の検査速度を達成しており、ウェハファブ(前工程生産ライン)で発生する全ての転写性欠陥(ウェハ上に描き込む回路パターンをフォトマスクに転写する際にできる欠陥)を検出する感度を実現しています。フォトマスクにおける転写性欠陥を発見することは微細化が進むにつれて必須になっており、会社側によれば、現在EUV露光装置を使った生産ラインのマスクショップ(半導体工場内にあってフォトマスクを生産、検査する部署)が全て「A150」を使って転写性欠陥を検査しています。この検査速度を3倍にして生産ラインで使うことができる「ACTIS A200HiTシリーズ」は次の受注回復時に主力機種になる可能性があります。


 最先端ロジックだけでなく、最先端DRAM(HBMを含む)でもEUV露光装置を使う動きが活発になっているため、DRAM、HBMでも「ACTIS」の需要が拡大すると思われます。この分野では、一世代前のフォトマスク欠陥検査装置でDUV光を使う「MATRICS」シリーズの受注増加も期待できると思われます。


 これらの動きを総合的に評価して、楽天証券では2026年6月期業績予想を前回予想と同じ売上高2,000億円(前年比20.5%減)、営業利益850億円(同30.8%減)とします。また、2027年6月期を売上高2,500億円(同25.0%増)、営業利益1,150億円(同35.3%増)、2028年6月期(参考値)を売上高3,000億円(同20.0%増)、営業利益1,450億円(同26.1%増)と予想します。前回予想より若干上方修正します。


 会社側は2026年に入ってからの受注回復に自信を持っている模様です。

受注→売上のリードタイムが1.5年以下になっていることから、2026年に入って受注が回復すれば、2027年6月期には業績回復が予想されます。ただし、受注高の今の水準が不明なので、2027年6月期、2028年6月期は小幅上方修正としました。


 リスクは、KLAです。「ACTIS」の競合品を開発中で、カンファレンス等で自社製品の優位性を主張している模様ですが、新製品がまだ出荷されていないため、今のところ評価できません。


表5 レーザーテックの売上高内訳:通期ベース


決算レポート:レーザーテック(会社側は2026年の受注回復予想を維持)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成。

3.今後6~12カ月間の目標株価を前回の2万6,000円から4万円に引き上げる。

 レーザーテックの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の2万6,000円から4万円に引き上げます。


 楽天証券の2027年6月期予想1株当たり利益(EPS)901.6ドルに、会社側の2026年の受注回復予想を考慮し、想定株価収益率(PER)40~45倍を当てはめました。


 中長期で投資妙味を感じます。


本レポートに掲載した銘柄: レーザーテック(6920、東証プライム)


(今中 能夫)

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