2025年7-9月期決算の下振れも2026年を楽観、サーバー向け液体冷却・電源が有望

現地コード 銘柄名 00285

比亜迪電子国際


(BYDエレクトロニック)


株価 情報種類

37.42HKD
(10/31現在)


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 電子機器受託製造(EMS)のBYDエレクトロニックの2025年7-9月期決算は売上高が前年同期比2%、純利益が9%減少した。米国の主要顧客向けの部品出荷の遅れや自動車用インテリジェントシステム(AIS)事業の短期的な低迷が背景。


 経営陣が示した10-12月期の利益見通しも前年同期比横ばいと市場予想に届かなかったが、サーバープロジェクトの一部が2026年1-3月期に延期されたのが主な要因。


 BOCIは株価が年初来からハンセン指数を32%アンダーパフォームしたことや、営業費用の効果的な抑制、液体冷却・電源をめぐる顧客認証の取得などを考慮し、これ以上の下落リスクは限られるとの見方。目標株価を引き下げつつ株価の先行きに強気見通しを継続した。


 7-9月期の売上高は前年同期比2%減の426億8,000万元。一過性の収益と効果的なコスト管理が下支えしたが、純利益は前年同期比9%減の14億元にとどまった。経営陣が示した10-12月期に関するガイダンスは、売上高と粗利益率がいずれも前年同期比横ばいであり、2025年12月通期決算は当初予想を下回る見込み。


 ただ、経営陣は続く2026年の大幅な回復を予想。米主要顧客の新たな設計の導入に伴う部品の出荷増やサーバー向け液体冷却・電源事業の成長が、全体の粗利益率の改善を支える見通しという。


 事業別に見ると、部品・組立部門の売上高と粗利益率はほぼ横ばいだった。経営陣によれば、今後は2026年、2027年の折り畳み式iPhoneの発売が、金属、ガラスなど部品の需要増を後押しする見込み。新たなスマートホーム製品も2026年に量産を開始する予定。2026年上期には設備の増強を完了する運びとなっている。


 AIS事業は増収を確保したが、競争激化のあおりで粗利益率が低下。新エネルギー車最大手である親会社BYD(01211)の減速を受け、経営陣は2025年の見通しを下方修正した。2026年には親会社の国内外市場向けの販売が回復するとみている。


 AI関連を除く新インテリジェント製品(NIP)事業は掃除機メーカーからの受注減が響いて減収となった。ただ、経営陣は上期にAI向け液体冷却・電源装置の出荷規模が拡大すると予想。2026年の大幅増収を見込む。


 BOCIは2025-27年の予想売上高を3%、3%、2%引き下げ、予想1株当たり利益(EPS)を3%、3%、0%下方修正した。短期的なAIS、NIP、部品の減速などを反映させた。


 その半面、サーバー事業の着実な進展や国内サーバー市場の好調見通しを理由に、同社の中期見通しに変化はないと指摘。2026年予想株価収益率(PER)17倍を当てはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを維持している。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ需要の萎縮、主要顧客からの新製品導入(NPI)設計受注の鈍化、親会社BYDのEV事業の成長鈍化と調達戦略の変更、米ジェイビル社との統合の難航などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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