年収300万円台の団体職員でありながら、30代で資産1億円に到達したまーしーさん。「生きるためだけに働くのは嫌だ!」という一心でインデックス投資を始め、次に軸足を移した米国株投資で大きな成功を収めました。

なぜ約7年という短期間で億り人になれたのか。時代の流れを見るまーしー流投資術に迫ります。


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まーしーさんプロフィール

生涯年収に絶望…幾度も暴落を経験した僕が「億り人」になるまで:米国株投資家・まーしーさんインタビュー[前編]
米国株を中心に分散投資を行う米国投資家。団体職員として勤務する傍ら、2019年に米国株投資を開始。33歳を迎えた2021年に金融資産が1億円を超える「億り人」となる。著書『 33歳で年収300万円台でも 米国株投資で爆速1億円 』(ポプラ社)。note: まーしー X: まーしー@米国株投資家 (フォロワー約5.2万人:2025年11月現在)

生きるためだけに働くのは嫌だ!資産形成の始まりは定額貯金から

トウシル:まーしーさんは地方在住で、ごく普通の団体職員として働きながら資産1億円を達成された「億り人」として知られています。資産形成に目覚められたきっかけはなんだったのでしょうか?


まーしー:僕が「資産をつくろう!」と思ったきっかけは、大学3年生のときに経験した「リーマンショック」なんです。


トウシル:2008年ですね。就職活動が非常に厳しかった時代です。


まーしー:私は地方在住なのですが、50社以上受けてもまったく内定がもらえませんでした。


 それまでは正直、ちゃらんぽらんな学生生活を送っていたのですが(笑)、社会の厳しさを痛感し、強制的に「本気モード」のスイッチを入れざるを得なくなりました。今までの自分が全否定されたような感覚で、本当につらかったですね。


トウシル:50社! リーマンショック世代=就職氷河期世代は、本当につらい思いをされた年代ですよね…。


まーしー:地方では選べる企業も少なくて、どうにもならなかったですね。幸い1社、正社員として就職できましたので、就職浪人はなんとか免れることができました。


トウシル:おお、一安心!


まーしー:ところがですね。

配属された経理部門は、良くも悪くも会社のあらゆる数字が見えてしまう部門なんです。会社の給与体系や実際に社員が受け取っている給与額を見てしまったことで、自分のおおよその生涯年収が分かってしまいました。


 このまま定年まで勤め上げても、年収600万円くらいが限界だろう、と。将来の自分は、ただ生きるために働くのかもしれないと考えたときに、未来に希望が持てなくなっちゃったんですよね。そこで、いずれ違う人生の道を選ぶ日に備えて、徹底した倹約と貯金を始めました。


トウシル:なるほど。将来への危機感が原動力になったのですね。まーしーさんが配信されているnoteでは、「入社後3年間ですさまじいペースで貯金をした」と書かれていましたが、具体的にはどんなすさまじさだったのでしょう?


まーしー:1年目は毎月3万円、2年目は5万円、3年目には10万円を貯金し、ボーナスも年80万円ほど貯蓄に回していました。当時は実家暮らしで家賃がかからなかったのが大きいですね。


 他にも携帯電話を格安SIMに乗り換えたり、生命保険には一切入らなかったり、できる節約は全てやりました。


トウシル:やると決めたら徹底的ですね! 相当切り詰めたのでは…?


まーしー:当時の年収は400万円に届かないくらいでした。とにかく、「生きるために働く」という状態からいかに早く抜け出すか。

そればかり考えていました。


 1、2年目で貯蓄のペースをつかんだのもあり、3年目は金額が上がってもそれほど負担にはなっていません。元々倹約するのは得意だったんですよね。


インデックス投資で成功後、リターンを求めて迷走…

トウシル:貯金一筋だったまーしーさんが、投資を始めたきっかけは何だったのでしょうか。


まーしー:職場の財形貯蓄の金利を見たのを機に、投資の利回りを調べたのがきっかけですね。財形貯蓄の金利は普通預金よりは高めでしたが、それでも年0.数%の世界です。この金利が将来どれくらいの利益になるのか計算するために、インターネットでいろいろ調べていました。


 そこで投資の世界には、年4~7%といった信じられないような利回りがあることを知ってしまったんです。「銀行預金ではほとんど増えないのに、あれ? これどういうこと?」って思いますよね(笑)。そこから少しずつ投資を始めるようになりました。


トウシル:0.数%と最大7%を比べれば、衝撃は大きいですよね。最初の投資はインデックス投資ですか?


まーしー:最初は手堅く社債から始め、2年後の2015年に社債を売却した資金を元手にインデックス投資を始めました。有名な投資ブロガーさんたちの記事を参考にし、先進国、新興国、日本へ分散投資しています。


トウシル:どの程度の金額から始めたのでしょうか。


まーしー:当時800万円あった金融資産の中から、300万円を投資に回しました。初めての投資なので怖い思いがなかったわけではありませんが、ある程度の金額を入れないとリターンもないだろうな、と思って。


トウシル:最初から300万投入はなかなかの胆力かと。その投資信託は順調に増えていったのでしょうか。


まーしー:とんでもないです(笑)。始めてすぐに2015年のチャイナショックが起きてしまい、ポートフォリオの3~4割を占めていた新興国株がとんでもない勢いで下落していきました。今まで貯め続けていたお金が消えていくのはショックでしたね…。「あっ、やっちまったな」と思いました。


トウシル:投資初心者には厳しい洗礼ですね! そこでびっくりしてろうばい売りしてしまう人も多そうですが、まーしーさんは売ろうとは思いませんでしたか?


まーしー:それは全然なかったです。「下がっているときに口数を増やせば、回復したときに大きく伸びる」という知識はありましたので、むしろ「今は買い増すべきタイミングだ」と考え、淡々と積立を続けました。結果的に2015年後半には相場は回復し、毎月積み立てていた分も含めて資産総額は1,000万円を超えました。


トウシル:まさにV字回復!


まーしー:正直ほっとした気持ちもありましたが、それ以上に、下落相場を慌てずに乗り越えられたことは、自分の中で大きな成功体験になりました。


「もっと上へ」―米国個別株への挑戦と2度の失敗

トウシル:インデックス投資で成功体験を積まれた後、2017年に米国個別株へ大きくかじを切られます。なぜ日本株ではなく米国株を選んだのでしょうか。


まーしー:チャイナショックからの回復局面で、他の市場に比べて米国株市場の力強さが際立っていました。日本よりも新興国よりも、NYダウ(ダウ工業株30種平均)の回復がものすごい勢いだったんですよ。それを見て「あれ? もう米国だけでいいんじゃない?」と。それで投資信託を全部売却し、米国個別株へ完全にくら替えしました。


トウシル:米国インデックスではなく、一足飛びに米国個別株を決断されたんですね。思い切って個別株に集中した理由は何だったんでしょうか?


まーしー:米国株について調べているときに、ジェレミー・シーゲル博士の『株式投資の未来』という本に出会いました。本の中でシーゲル博士が主張する「高配当株こそが長期的に高いリターンを生む」という説に感銘を受け「指数に連動するインデックスよりも、自分で銘柄を選んだ方がもっとリターンを上げられるはずだ!」と欲が出ちゃいましたね。


トウシル:相変わらず思い切りがすごいです(笑)。高配当株投資に投資スタイルを転換してからは、どんな銘柄を買われましたか?


まーしー:まずはシーゲル博士がピックアップしていた銘柄への投資をはじめました。最初に買ったのは、たしか エクソンモービル(XOM) だったかな。

株価は不人気でしたが、配当は安定して3~4%あったのを評価して選びました。


 しかし、確かに配当はもらえたのですが、株価はじりじりと下がり続けちゃいまして、ポートフォリオは真っ赤でした。2018年には総資産が2,000万円を超えたのですが、実のところは給料からの貯蓄をできていただけで、投資成績はあまりよくありませんでした。


トウシル:個別株なんてやめておけばよかった!と後悔したのでは。


まーしー:あのときは「絶対にいける!」と信じていたので後悔はなかったのですが、今思えば、おとなしくインデックスにしておけばよかったと思うことはあります。まあ後の祭りなんですが(笑)。


 トータルリターンは完全にマイナスでしたが、その中でもいわゆる「*FAANG」と呼ばれる巨大IT企業の株だけがぐんぐん上がっていくのを見て、また「ん?」と思ったんです。


*FAANG…当時の米国ハイテク業界をけん引したFacebook(現Meta)、Amazon.com 、Apple、Netflix、Google(現Alphabet)の5社の頭文字をとった造語。


トウシル:またしても、より強いものが目についたと。


まーしー:そうです。「だったらもうこっちにするべきだ」と、持っていた高配当株を全て手放し、FAANGの中でも当時株価が低めだった アップル(AAPL) や マイクロソフト(MSFT) などのグロース株に乗り換えました。しかし、買ってすぐに今度は*アップルショックが起きて…。

またもや資産を大きく目減りさせてしまいました。


*アップルショック:2019年1月3日の日本時間、朝7時40分ごろに起こった為替相場の大変動。アップルが売上高予想を下方修正したことをきっかけに、多くの銘柄を巻き込んで米国株、特に製造業銘柄が暴落した。


トウシル:やることなすこと裏目に出てしまいましたね…。


まーしー:本当にそうでした。しかも、自分が売った高配当株が上がり始めちゃって…。投資仲間と「完全に[逆神]やな…」と笑い合うしかありませんでした。


 ただ、心は穏やかではありませんでしたが、インデックス投資での経験があったので、このまま持ち続けるのが正解だという確信はあったんです。落ち着かない気持ちをぐっと押さえ込みながら、握力強くホールドし続けました。幸い今回も回復は早く、1年以内には含み損はほぼ解消されました。


資産50%減の絶望から、起死回生の1億円達成へ

トウシル:紆余(うよ)曲折はありながらも、着実に資産を築いてこられた印象です。道中の大きなトラブルにもめげずに投資を続けてこられた理由はなんでしょうか?


まーしー:なんといっても、勤務先からの収入を使った「入金力」を落とさなかったことが大きかったですね。この頃は、余剰金は全て株式市場に投じる「フルインベストメント」状態だったんです。本当に貯金はほとんど残していなかったので、生活費をまかないながら投資額を増やせる安定収入は、命綱といってよかったと思います。


トウシル:その後の資産額は順調に伸びていったのでしょうか?


まーしー:いえいえ。まだ紆余曲折はありますよ(笑)。今度の衝撃は、2020年のコロナショックです。


トウシル:そうでした! このときは世界中のマーケットが暴落しましたね。


まーしー:僕の資産も例外ではなく、約3,000万円あった資産が半分以下の1,500万円近くまで落ち込みました。これまで我慢して積み上げてきたものが日に日に目減りしていきます。毎日のように目を疑いながら資産額を確認し、この1,500万円も消えるんじゃないかという恐怖を感じていました。本当にしんどかったですね…。


トウシル:その絶望的な状況から、どうやって1億円への道を切り拓いたのでしょうか。


まーしー:これまでの経験から、暴落は大きなチャンスでもあると捉えていました。コロナ禍で世の中の仕組みが大きく変わる中で、「遠隔医療」というテーマに大きな可能性を感じたんです。そこで、あるヘルスケア関連の中小型株に、資産の多くを集中投資しました。


トウシル:おお、ここで大勝負に出たわけですね。


まーしー:結果的には、その銘柄が約4倍以上に跳ね上がったと記憶しています。また、同時期に投資を始めた他のグロース株も追随してくれたおかげで、資産は爆発的に増加しました。


 代表的な銘柄は、コロナ禍で需要が一気に高まったビデオ通話の ズーム・コミュニケーションズ(ZM) などです。毎月1,000万円ずつ資産が増えていく時期を経て、2021年1月、33歳のときについに金融資産が1億円に到達しました。


トウシル:億り人達成、おめでとうございます! その瞬間はどんな心境でしたか?


まーしー:不思議と喜びよりも「怖い」という感情が先に立ちました。資産が1億円になると、市場がわずか1%動くだけで100万円が動きます。庶民感覚からすると恐ろしい金額ですし、この急激な資産増が長くは続かないだろうという予感もありました。


トウシル:その予感は、杞憂(きゆう)に終わったのでしょうか。それとも的中してしまった…?


まーしー:残念ながら、この後、僕は人生最大の損失を経験することになります…。


 1億円を達成後、人生最大の損失が待っていた! ゾワゾワする暴落を経験するまーしーさんは、どんなメンタルでそれを乗り切ったのか…後編はその後の転落からの大逆転について伺います! 


▼後編はこちら

1億円→3,000万円→再び1億円へ。7,000万円の損失から学んだ「未来の読み方」:米国株投資家・まーしーさんインタビュー[後編]


(トウシル編集チーム)

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