2025年7-9月期決算は予想上振れ、短期的にはゲーム3作品が焦点に

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(ビリビリ)


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 中国の動画プラットフォーム、ビリビリの2025年7-9月期決算は、売上高が前年同期比5%増と、市場予想通りの水準だった。ゲーム事業は予想通り17%の減収で、オンライン広告は予想を上回る23%増収、付加価値サービス(VAS)は予想を下回る7%増収。

調整後の営業利益は6億8,800万元と、市場予想を6%上回った。


 BOCIは広告事業が複数のプラス要因を追い風に、安定成長を維持すると予想。ゲームでは「三国:謀定天下(SanMou)」「エスケープ・フロム・ダッコフ」「三国:百将牌(Ncard)」の3作品が今後数四半期の焦点になるとみている。


「ダッコフ」という知的財産権(IP)の長期収益化機会を前向きに評価する半面、「Ncard」に関しては2026年1-3月期のリリース後、まずは1日当たりアクティブユーザー数(DAU)の獲得を優先させるとみて、通期の収益貢献を下方修正した。目標株価を引き下げつつ株価の先行きに強気見通しを継続した。


「ダッコフ」は11月8日正午までに累計300万本を販売するなど好調。今後は投入確定済みのゲーム機版、モバイル版や、スキン(カスタマイズ要素)の更新、IPの展開などが注目ポイントとなる。一方の「Ncard」は10月末に有料テストを開始したが、革新的なゲームプレイやリアルなビジュアル、歴史的背景を持つキャラクターデザインが多くのユーザーの興味を引いたという。


 BOCIは独自の非対称バトル体験(人数や勝利条件が異なる対戦形式)を強みに、より広範なユーザー層にリーチできるかが、「Ncard」の成功のカギを握ると指摘。リリース当初はユーザー獲得を優先するが、4-6月以降は加速度的に収益貢献が拡大する見通しを示した。


 ほかに広告事業に関しても堅調を見込んでいるが、「Ncard」に関する予想値の修正に伴い、ゲーム売上見通しを5-7%下方修正。2026-27年の同社全体の予想売上高を1%引き下げ、同時に予想純利益を減額修正した。


 2025年7-9月期決算は、売上高が前年同期比5%増の77億元と、市場予想に合致した。月間、1日当たりのアクティブユーザー数はそれぞれ8%増の3億7,600万人、9%増の1億1,700万人。モバイルゲーム事業は17%の減収だったが、これは「SanMou」の前年同期実績の高さによるもの。広告売上高は業界平均や市場予想を上回る23%増を達成した。


 全体の粗利益率は予想通りの36.7%。調整後の営業利益率と純利益率は9.0%、10.2%と、市場予想の8.5%、8.4%を上回った。同社は自社株買い計画を進めており、残りの枠は8,360万米ドル分。2026年11月までに全額投入する予定となっている。


 BOCIは12カ月のフォワードPEGレシオ(グロース株向けの株価指標:株価収益率÷1株当たり利益成長率)0.8倍を当てはめ、目標株価を引き下げた。新たな目標株価は2025-26年の調整後1株当たり利益(EPS)に基づく予想株価収益率(PER)で35倍、25倍の水準となる。


 レーティング面の潜在リスク要因は、マクロ経済の回復の遅れや非効率的な収益化、コンテンツ制作者やユーザーの忠誠度、コンテンツ供給と品質問題、規制リスクなど。


(Bank of China int.)

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