Vtuber事務所としてしのぎを削る2社、エニーカラー(5032)とカバー(5253)。売上規模も似ている2社ですが…株価に極端な明暗が発生し、時価総額ではエニーカラーがカバーの4倍近くに。

順張り銘柄のエニーカラーと逆張り銘柄のカバー、ここから買うならどっち?この2社で比べてみます。


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今回のお題 世界へ羽ばたくVtuver事務所

エニーカラー(5032) カバー(5253)
エニーカラー vs カバー 世界へ羽ばたくVtuber事務所2社 順張り銘柄か?逆張り銘柄?どっち?
エニーカラー logo

エニーカラー vs カバー 世界へ羽ばたくVtuber事務所2社 順張り銘柄か?逆張り銘柄?どっち?
カバー logo

 上記両社の株価のポイントや株価データを見ながら、双方を比較し、皆さんの相場観で購入検討するならどちらにしますか?


 Vtuber事務所としてしのぎを削る2社、 エニーカラー(5032) と カバー(5253) 。Vチューバーとは、容姿や設定は事務所側が企画し、ライバー(いわゆる中の人)をオーディションで募集して生み出されるタレントのことです。若者世代のカルチャーから、今や国や世代を越えるグローバルコンテンツへと飛躍。日々の配信やライブイベントを通じて熱狂的なファンを拡大させています。売上規模も似ている2社ですが…株価に極端な明暗が発生し、時価総額ではエニーカラーがカバーの4倍近くに。順張り銘柄のエニーカラーと逆張り銘柄のカバー、ここから買うならどっち?この2社で比べてみます。


銘柄A:エニーカラー(5032)


ここがGOOD

業績好調で上ブレペース

 運営するVチューバーグループは「にじさんじ」。方向性の違いなどを理由に「私、辞めます」の“卒業リスク”が気にされる事務所ビジネスですが、今第1四半期における「にじさんじ」の所属数は135名で、前四半期の人数を維持していました。1万人のオーディションから、育成期間を経てデビューできるのはわずか数名という狭き門の世界。そんなVチューバーの数を10~15%ペースで増やす計画です。


 株価好調を支えるのが、足元の業績の力強さにあります。第1四半期の「にじさんじ」の盛り上がりを受け、期中に今26年4月期の業績予想を上方修正。当期純利益予想を142億円~149億円と、当初計画より下限・上限とも10億円ずつ増額(レンジで開示しているのは、デビュー数年程度の新しいVチューバーの成長度合いを測りづらいため)。

これは、コンセンサスの138億円より高かったためポジティブで、増額修正を受けてコンセンサスも157億円へ切り上げ。更なる上方修正への期待値が高まっています。


株主還元もアリ

 前期に75億円の自社株買いと総額約40億円の配当を実施しました。営業利益率は約41%と、カバーの同約16%に対して高く、内部留保を着実に積み上げてきたエニーカラー。その内部留保を株主に回す方針を明確にすべく、今期は「配当性向30%以上」を目安とする方針を開示しました。


 また、余剰資金を機動的な自社株買いによる株主還元に回すともしており、株主還元を検討している段階のカバーに比べて先行しています。


ここが心配

相対的な割高感

 中計では来27年4月期の目標値を売上高600億円、営業利益240億円と示されています。来期のコンセンサスは営業利益で265億円となっており、中計目標の1割程度の上振れ想定に。業績の勢いは強そうですが、それでも年初来で2.3倍に上昇した株価にある程織り込まれた可能性も。


 レーティングを付与する証券会社は5社で、その5社全てが投資判断は買い推奨としています。ただ、株価の勢いが強い結果、現在の株価は6440円(11月21日終値時点)と5社の目標株価平均6788円に近接しています(ここからのアップサイド余地縮小?)。


 また予想PERは今期予想ベースで27.6倍と、カバー(同18.7倍)比で高い評価が付いています。来期の予想EPS(1株当たり利益)のコンセンサスは302円で、来期コンセンサス予想ベースのPERも21倍と相対的な割高感は意識される株価水準といえそうです。


エニーカラー レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化

銘柄B:カバー(5253)


ここがGOOD

相対的な割安感

 株価が大きく値下がりしたことで、予想PERは今期予想ベースで18.7倍と20倍を下回る水準になっています。また来期の予想EPSのコンセンサスは129円と、今期会社予想の87円より大幅に高い見込みとなっています。来期コンセンサス予想ベースのPERは約13倍まで低下するため、グロース株としてPERだけでいえば非常に割安とも言えそうです。


 そんなカバーに対し、アナリストも高く評価しています。全社が買い推奨のエニーカラーほどではないですが、カバーも4社中3社が買い推奨。目標株価の4社の平均は2968円ですが、現在の株価は1631円(11月21日終値時点)と極めて大きな乖離が生じており、アップサイド余地が大きいと受け止ることは可能です。


意欲的な長期計画

 中計の最終年度は2030年3月期と4年も先ですが、売上高1000億円、営業利益250億円以上という目標が設定されています。売上高は今期予想比でほぼ倍増、営業利益は約3倍という意欲的な長期目標。ただ、この成長目標を達成できた場合、「あの時の株価は安過ぎだったね」と後に振り返られることでしょう。


 足元で利益水準が計画下振れとなっているのですが、今後はコスト効率化の効果に注目したいところ。6月に集約化を発表した物流センターですが、早くもコスト削減に寄与し始めているもよう。説明会では今後年間10億円以上のコスト圧縮につながる点に言及されており、通年で寄与する来期以降に注目です。エニーカラーに比べて営業利益率が低い点についても、事業基盤の拡張期を乗り越え、ライセンス収入が拡大すればその差は縮小方向となる公算です。


ここが心配

業績下振れペース

 運営するVチューバー事務所は「ホロライブプロダクション」。業界トップクラスの売れっ子Vチューバーを何人も輩出しています。ただ、人気Vチューバー卒業の話題が株価のネガティブ材料になるなど、近年は卒業リスクに悩まされてもいます(今第2四半期の所属Vチューバー数は86名と、ピークの前第3四半期91名比で減少)。


 今第2四半期の営業利益は前年同期比21%減の26億円と、コンセンサスの34億円を下振れ。グロース市場の銘柄の場合、トップラインである売上高も注目されるが、カバーは売上高が計画に届かなかったことがネガティブ材料に。ECの商品売上が織り込んだことが主因とありますが、これは人気のトレーディングカードの消費者の購入方法に変化が見られることも理由のようです。発売日に入手したい消費者が、ECでは着荷の時間差が生じることや、発送手数料を嫌う面があるようで…。結果的に実店舗(小売店)での購入にシフトしているようです(長い目で見れば悪い話でもない)。


株式需給は悪過ぎ

 短期業績の強いエニーカラー、弱いカバーで株価明暗が出ている可能性はあるものの、それにしても年初来パフォーマンスはエニーカラーが+129%で、同業のカバーが▲38%というのは差が大き過ぎる印象です。需給の悪さが原因ですが、それ以外では東証プライム上場のエニーカラーに対して、カバーは東証グロース上場。カバーもプライムへの変更申請を出していたのですが、これを6月後半に取り下げたことを発表(審査に時間がかかっているためで、新たな変更申請時期は未定)。プライム市場への昇格期待剥落もマイナスになっているかもしれません。


 エニーカラーとの余りのパフォーマンス差により、弱いカバー株を逆張りで買う個人投資家も多かったといえます。

しかも、グロース市場の銘柄としては目立つ存在でもあり、個人の短期信用勢に人気。結果、信用買い残が発行済み株数の6.7%という高水準で、信用買い残比率がエニーカラーとの決定的な違いとなってしまっています。しかも、ほぼ全員が含み損状態ですので、信用勢の戻り売り圧力は相当強い状況。上値でシコリを作って、安値圏で流動性が落ちているという需給の悪い株の典型例のようになっています。


カバー レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化

あなたなら、どっちを買う?

 グロース上場ということもあり、個人のセンチメント悪化など需給面のマイナスこそあれ、アナリストの目標株価平均値と現在株価の乖離は、エニーカラーが約6%なのに対し、カバーは約82%と甚大。圧倒的に割安にも見えるカバーですが、需給の悪さはさすがに深刻…ここから買うならエニーカラーかカバーか、あなたならどちらを選びますか?


株価データ比較

銘柄投票にぜひ参加してみてください

【銘柄を投票】エニーカラー vs カバー 世界へ羽ばたくVtuber事務所2社 順張り銘柄か?逆張り銘柄?どっち? 


各指標の説明 予想PER 1株当たり利益の何倍(何年分)まで株価が買われているかを示す指標。同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。 PBR 1株当たり純資産の何倍まで株価が買われているかを示す指標。同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。この数値が1倍を下回る企業に対し、東証は「1倍を上回るよう頑張れ」と指令を出しています。 配当利回り 今期の予想配当金ベースの利回りで、高いほど配当妙味が高いと判定します。定義はありませんが、3%以上なら配当利回りが高いと認識されています。 流動性 1日の売買代金がどれくらいあるか?(表では25日平均)を金額で表示しています。
同数値が高いほど、機関投資家も大口の個人投資家もストレス無く参加できると考えられます。

(岡村 友哉)

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