「iDeCo加入はいつがいいの?」と悩んでいませんか? 特に、老後がまだ遠い20・30代の方にとってはあまりピンとこないかもしれません。しかし、iDeCoの早期加入は退職所得控除を最大限に活用できる大きなメリットがあります。

今回は、20・30代のiDeCoへの考え方をご紹介します。


20・30代のiDeCo戦略:あえて早期加入はあり?退職所得...の画像はこちら >>

若い世代はiDeCoを軸に、リタイアメントプランニングをざっくり立ててみよう

 今回から数回にかけて、世代別のiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)プランニングを考えていきます。


 リタイアメントプランニングというのは、世代によって大きく異なります。誰しも老後に備える必要はあるものの、老後までの距離感が世代によってまったく違ってくるからです。


 50代であれば、リタイアまでの年収も予想できますし、公的年金見込額も明らかになってきます。iDeCo活用計画も具体的に立てやすいでしょう。


 40代でも、老後を少しずつ自覚できるようになります。住宅ローンの返済や子どもの学費準備などを踏まえつつ、老後のためのプランニングができるでしょう。


 難しいのは、老後がまだピンとこない20代から30代です。25歳の人が、今までの人生と同じ時間を生きてようやく50歳です。リタイアを65歳とすれば、40年後の未来であり、実感を持てないのは当然です。


 老後に限らず、40年で世界は大きく変わります。1985年の人に「2025年の未来、想像できますか?」と問いても、誰もイメージできないでしょう。

ちなみに1985年はバブル景気初期で、スマホやサブスクなどもありませんでした。冷戦時代であり、日本の最大貿易相手国は米国でした。


 当時の人に現在のIT技術を説明しても、理解できないでしょう。中国が世界中の貿易相手国になるとは誰も想像しなかったはずです。それくらい40年での世界の革新や変化は激しいのです。


 おそらく40年後も大きな社会変化があるでしょう。しかし、今20代のほとんど全員が、健やかに人生を送り、40年後に老後を迎えることは間違いありません。


「老後に備えたほうが、備えていない人よりも余裕のある老後となる」という「老後に2,000万円」レポートの教訓を、若い人ほど生かして、資産形成を早期にスタートさせてほしいと思います。


iDeCoに入るのはいつが適切?:20代前半は無理せず。ただ、アラフォーで未検討は困る

 iDeCo最大の注意点は、原則として中途解約が不可能であることです。60歳前で中途解約する条件は限定的で、基本的に対象にならないと考えておく必要があります。


 若い世代がこれを理由にiDeCoの加入を避けるのは、やむを得ない判断かもしれません。

本来は老後のことも早い段階で考えてほしいのですが、iDeCoに何百万円も資産があるのに、キャッシング100万円でしのいでいるようでは困ります。


 iDeCoの掛金、運用収益が非課税であったとしても、確実に発生するキャッシングの利息のほうが生活をじわじわ苦しめることになるからです。


 まずは、毎月の家計管理に安定感が出てくるまで、iDeCo加入は先送りしても問題ありません。「ときどきクレジットカードの支払いが多くて大変」とか「スマホゲームの課金や飲み会などで何万円も使ってしまう」「たまに1~2万円借りてしまう」といった人は、まず家計を安定させることが優先です。


 もし投資を始める場合でも、「まずはNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で投資をし、解約できる環境にお金を置く」という方法が考えられます。iDeCoのような所得控除のメリットは得られませんが、解約の自由があるNISAでの投資は、一つの有効な選択肢としてあっていいでしょう。


 ただし、30歳に近づき家計管理に自信が出てきた人は、少額からでもiDeCo加入を検討してもいいでしょう。というのは、iDeCoには「退職所得控除」という大きなメリットがあるからです。


あえて20代からのiDeCo加入はいい?メリットもあり

 iDeCoは「原則おろせない」という注意点がありますが、あえて20代の早い時期からスタートするメリットもあります。それは、退職所得控除を最大限に活用できるという点です。


 退職所得控除は、iDeCoの積み立て年数を勤続年数と見なして計算することができます。仮に、20歳から70歳まで(2027年法改正で可能となる予定)、50年間積み立てたとすれば、2,900万円の非課税枠が得られます。


 これは、22歳から60歳まで会社員として1社に勤め上げた場合の2,040万円を上回る金額です。


 転職をされる場合は、会社からの退職金に対する退職所得控除は、転職のたびにリセットされてしまいます。「勤続38年で退職所得控除が2,040万円」と説明されても、ほとんどの会社員が転職経験のある時代のため、そうなりません。


 ところが、iDeCoは中途解約されないため、退職所得の計算年数を伸ばし続けることになります。これが大きなメリットです。


 将来、退職所得控除の制度が見直されたとしても、iDeCoの長期加入は有効です。仮に1年当たりの枠が縮小するとしても、長期加入でしか非課税枠を大きくできない場合、iDeCoの早期加入がその可能性を広げます。


 iDeCoの最低積立額は月5,000円です。「あえて20代」でiDeCoに加入し、とりあえず5,000円だけでもいいので早めにスタートをする、という戦略が考えられるわけです。


 これはiDeCo2.0時代に新しく加わるiDeCo活用テクニックといえます。


25歳加入でどれくらい増やせる?

 仮に25歳でiDeCoに加入し、月1万円を拠出し続けたとします。もし70歳まで拠出と運用を継続することができ、年4.0%の利回りが確保できた場合、70歳時点での資産額は1,484万円まで膨らむことになります(元本531万円)。
(※毎月の積立額から口座管理手数料171円は差し引いて計算しています)


 もし40歳になった頃に月3万を増額して、合計で月4万円の積み立てとしていたとすれば、資産額は70歳で2,860万円まで大きく膨らむことになります。

数十年後の物価上昇を考えると安心しきれる額ではないものの、資産形成としては十分な効果を発揮することは明らかです。


 若いうちのiDeCoは「無理なくスタート」を第一に意識し、「最初は少額積み立てでもいいが、折を見て積立額の増額」が戦略としてはいいでしょう。


 ただし、この「増額」をしっかり実行することが大切です。30代はさまざまな資金ニーズがあり、予期せぬ出費でお金が必要になることもあります。


「もう少ししたら増やそう」と考えているうちに、気づけば40代になってしまうことがしばしばです。月5,000円あるいは1万円程度の資産形成は、長い目で見ると正直力不足です。アラフォーに入ってから、月6.2万円の上限までしっかり積み立てた人に追い抜かれてしまう可能性もあります。


 例えば、45歳から25年間、月6.2万円を積み立て、年4.0%を確保すると最終受け取り額は3,179万円になります。


 最後に、20代のiDeCo加入についてもう一度確認しておきましょう。


  • 20代はiDeCo加入より家計管理能力の向上が優先
  • 月5,000円の積み立てが可能となったら、退職所得控除最大化のためにiDeCo加入を考えてみる
  • 年収が増えてきたら、月5,000円から掛金額を増額をしていくことが大切

 20代前半、あるいはアラサー世代の方々がiDeCo加入に悩んでいるときは参考にしてみてください。


(山崎 俊輔)

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