AIブームが世界を席巻する今、株式市場では半導体やデータセンター関連株に人気が集中してきました。今後、もっと幅広い銘柄に注目が移ると思っています。

中でも、AIの爆発的な進化がもたらす「電力クライシス」という新たな波が、これまで日の当たらなかった日本の電力株への注目をもたらすと考えています。


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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
関西電力九州電力「買い」に引き上げ、AI関連出遅れ 」


 関西電力・九州電力を新規に「買い」判断とします。これまで、「買い」としてきた中部電力は、安全対策工事にからむ不祥事で当面上値が重くなることが想定されます。中部電力については、長期投資で「買い」の判断を継続します。


AIラリー、半導体・データセンター関連が先行

 今後5年を考えると、成長ポテンシャルが最も大きいと期待しているセクターはやはり「AI関連」です。2025年に既に、AI関連株が米国、中国、日本および世界で大きく上昇しています。AI関連株は過熱していると言われます。ただし、これはまだAI相場の初期段階と思います。


 なぜならば、上昇しているAI関連株のほとんどが、一部のインフラ構築企業に偏っているからです。


 一口にAI関連と言っても、中には多種多様な業種・企業が含まれます。

大きく分けると、以下の二つです。


【1】AIを活用するためのインフラを構築する企業群
【2】AIを活用して新しいビジネスやサービス・コンテンツを創造する企業群


<AI関連成長分野>
関西電・九州電を新規「買い」、AI関連「出遅れ株」として電力株に注目(窪田真之)
出所:筆者作成

 今、株式市場で値を飛ばしているAI関連株の中心は【1】です。米国では【2】からも値を飛ばす企業群が出ていますが、主役は エヌビディア(NVDA) 、 アルファベット(GOOGL) 、 マイクロソフト(MSFT) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) など【1】の企業群です。


 将来的には、実際にAIを活用して新しいサービス、コンテンツ、ビジネスを創っていく【2】の企業群にAIラリーの中心が移っていくと予想していますが、まだ時間がかかりそうです。


 当面【1】が注目される局面が続きそうです。そこで、【1】の中で出遅れている企業群に注目したいと思います。日本株でいうと、電力株が一番出遅れていると考えています。


日本の電力株がAI関連で注目される日は来るか?

 AI利用が世界中で拡大すると、AIデータセンターで膨大なデータ学習、処理が必要になります。それに膨大な電力が消費されます。また、サーバーが過熱しないよう、冷却するためにも電力を消費します。そうした視点から、米国では電力株が成長株として買われています。


 欧米および中国および日本でデータセンターの建設ラッシュが進んでいます。必要な電力の確保や、通信網の手当がされないまま、データセンターばかりどんどん造っていることに不安が出ています。

電力不足が原因で、完成しても稼働できないデータセンターが出る可能性が危惧されています。


 中国では、それが現実となりつつあります。中国メディアの報道によると、中国のデータセンター稼働率は3割以下といいます。データセンターの建築ラッシュが進みますが、稼働に必要な電力が足りていません。


 発電を増やせば良いだけでなく、送配電網のさらなる構築が必要です。同様に、米国も電力インフラの老朽化が進み、電力需要急増に対応できなくなる可能性が危惧されています。


 これまでAI半導体の不足ばかり注目されてきましたが、これからは電力、送配電ネットワーク、通信ネットワークの能力不足に焦点が当たってくると思われます。


 そうした中、エヌビディアなどは省電力に寄与する次世代AI半導体の開発を急いでいます。それにしても、AI利用急拡大による世界的な電力需要拡大は変えられないと思われます。


 こうした背景もあって、米国では電力株が成長株として買われています。ところが、日本ではまだ電力株がAI関連として注目されることはありませんでした。


<電気・ガス業株価指数と日経平均の動き比較:2012年末~2025年12月(1日)>
関西電・九州電を新規「買い」、AI関連「出遅れ株」として電力株に注目(窪田真之)
出所:2012年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 米国ほどデータセンターによる電力消費が拡大していないこともありますが、それ以上に重要な要因があります。


 日本では、電力株は不稼働原発(原子力発電)を抱える負担が大きく、財務・収益面で投資対象として魅力が乏しかったからです。


 ただし、これから遅れて、日本でもAI活用による電力消費が拡大してくると考えられます。火力発電をどんどん増やしていくのは限界です。自然エネルギー(メガソーラー・風力発電など)も大幅な増加は期待できません。


 そうなると、日本で安全性を大幅に高めた原子力発電の再稼働を進めていくことになると予想されます。それを前提に、日本の電力株の投資価値が高まっていくことが想定されます。


関西電力・九州電力を新規に「買い」と判断

 電力株について、私はこれまで 中部電力(9502) のみを「買い」と判断してきました。本日、 関西電力(9503) と 九州電力(9508) の投資判断を、「買い」に引き上げます。


<電力株、投資の参考銘柄:2025年12月1日時点>
関西電・九州電を新規「買い」、AI関連「出遅れ株」として電力株に注目(窪田真之)
出所:各社決算資料およびQUICKより楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは、2026年3月期1株当たり配当金(会社予想)を12月1日株価で割って算出

 3社とも、株価純資産倍率(PBR)が1倍を割り、株価収益率(PER)が低く、配当利回りが3%前後と高めで、株価割安と判断されます。


 今後日本でも電力需要の拡大が続くと考えられること、関西電力・九州電力について、既に一部原発再稼働が認められていることから、今後、収益・財務の改善が続くと予想されます。


 一方、中部電力は、浜岡原発の再稼働までかなりの時間を要すると思われることから、当分、上値の重い展開が想定されます。


 先週、中部電力に浜岡原発の安全対策工事に関連して問題が発覚しました。

南海トラフ地震のリスクに備えた工事が進められていますが、その工事費精算手続きで不正があり不信が広がりました。


 この問題により、再稼働がさらに遅れる可能性が出ました。浜岡原発は防潮堤の高さを22メートルから28メートルまでかさ上げする大規模工事が必要とされており、早期の再稼働は見通せません。


 一方、関西電力(9502)は安全対策工事の進捗(しんちょく)、原発再稼働で先行しています。安全対策工事の中身は、原発の立地によって異なりますが、太平洋プレート移動の影響を受ける太平洋側の方が、安全対策のコストは高くなる可能性があります。


 同様に、既に原発の一部を再稼働している九州電力も買い判断とします。熊本で半導体工場の稼働が増えることなどによって、電力需要の拡大が見通せます。


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(窪田 真之)

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