じわじわ進むインフレが、日本経済や資産形成にどう影響するかご存じですか? 本レポートでは、日本経済の重要指標である名目GDPと実質GDPの違いをクイズ形式で解き明かし、インフレ時代の資産形成のヒントを探ります。


【クイズ】GDPの名目と実質の違いは?日本経済と資産形成の未...の画像はこちら >>

クイズ

【第1問】    日本のインフレ率はどっち?


 以下に示す二つのインフレ率の推移をご覧ください。一方は日本、もう一方は米国の総合インフレ率(消費者物価指数(CPI)総合指数の前年同月比%)です。


 日本の総合インフレ率は、【A】と【B】のどちらでしょう?


<日米のインフレ率(CPI総合指数の前年同月比%)推移:2020年1月~2025年10月(【A】は9月まで)>


【クイズ】GDPの名目と実質の違いは?日本経済と資産形成の未来を考える
出所:総務省統計局、米労働省より筆者作成

【第2問】 名目GDPはどっち?


 以下に示す二つのグラフはどちらも日本の国内総生産(GDP)の推移です。一方は名目GDP、もう一方は実質GDPです。名目GDP推移は、【A】と【B】のどちらでしょう?


<日本の名目GDP・実質GDP推移(四半期別・季調済・年率換算):2005年1-3月期~2025年7-9月期>


【クイズ】GDPの名目と実質の違いは?日本経済と資産形成の未来を考える
出所:内閣府より筆者作成

名目GDP・実質GDPとは?

 名目GDPと実質GDPの違いを説明します。


名目GDP(Nominal GDP)

 名目GDPとは、ある期間(通常1年)に国内で生産された全ての最終財・サービスの市場価値を、その時点の市場価格で評価したものです。物価変動の影響がそのまま反映されます。


実質GDP(Real GDP)

 実質GDPは、ある期間(通常1年)に国内で生産された全ての最終財・サービスの市場価値を、基準となる特定の年の価格(基準年価格)で評価したものです。物価変動の影響を取り除くことで、生産量の純粋な変化を測ることができます。名目GDPからインフレの影響を差し引いた指標です。


 さらにかみ砕いて説明しましょう。


 A国で経済活動を行っている主体はAさん1人とします。現実にはあり得ないですが、説明を分かりやすくするための設定です。


 Aさんは、手作業で製品Aを作り、他国に売って生計を立てているとします。


【製品Aの1年間の販売額】=【A国の名目GDP】となります。
【製品Aの1年間の販売額】=【製品Aの販売価格】×【製品Aの販売数量】です。


 次の年、製品Aの販売価格が1%上昇し、販売数量が1%増えたとします。


 すると、次の年の製品Aの販売額は、約2%増えます。名目GDPも約2%増えます。


 ところが、次の年の実質GDPは1%しか増えません。実質GDPは価格変動の影響を除いた数量ベースの変化だけを捉える指標だからです。


正解

【第1問】    【A】が米国、【B】が日本


<日米のインフレ率(CPI総合指数の前年同月比%)推移:2020年1月~2025年10月(米国は9月まで)>


【クイズ】GDPの名目と実質の違いは?日本経済と資産形成の未来を考える
出所:総務省統計局、米労働省より筆者作成

 日本も米国並みにインフレ率が高くなりつつあります。私は、今後5年以上、日本も3%前後の高インフレが続くと予想しています。


【第2問】    【A】が名目GDP、【B】が実質GDP


<日本の名目GDP・実質GDP推移(四半期別・季調済・年率換算):2005年1-3月期~2025年7-9月期>


【クイズ】GDPの名目と実質の違いは?日本経済と資産形成の未来を考える
出所:内閣府より筆者作成

 近年、インフレ効果により、名目GDPの成長率が高くなってきたことが分かります。実質GDPの成長と大きな差が生じています。


 株式投資にとって重要なのは、名目GDPです。

上場企業の売上高は、実質GDPではなく名目GDP変化によって、増加していくからです。


 これから日本も高インフレ国の仲間入りしていくことを考えると、資産形成において、インフレによって業績が拡大していくと想定される株式への投資は必須と考えられます。


(窪田 真之)

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