四川省の天然ガス生産事業に高い潜在力、下流ではガス火力発電事業に投資へ

現地コード 銘柄名 00857

中国石油天然気


(ペトロチャイナ)


株価 情報種類

8.80HKD
(12/5現在)


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 中国の石油最大手、ペトロチャイナの投資家説明会を受け、BOCIは四川省・重慶市エリアにおける天然ガス生産量の拡大に向けた膨大な潜在力や下流のガス利用計画が明らかになったと報告している。


 ガスのバリューチェーン事業の貢献度が拡大すれば、原油価格の下落が見込まれる中にあっても、収益の下支えが可能との見方。

目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 四川省・重慶市エリアにおけるペトロチャイナの主要子会社、中国石油西南油汽公司(SWOGF)は西南地区最大の天然ガス生産企業。四川盆地におけるペトロチャイナの天然ガス総資源量は52兆9,300億立方メートル、確認可採ガス埋蔵量は4兆9,200億立方メートル。探査比率はまだ9.3%に過ぎず、この先の埋蔵量の上積み余地が極めて大きいことを示唆している。


 SWOGFの石油・ガス生産量は24年に3,579万トンと、ペトロチャイナ・グループ内で2位の規模。うち天然ガス生産量は前年比9%増の448億立方メートルに上り、グループ全体の47%を占めた(タイトガスやシェールガスを含む)。


 25年には500億立方メートルを上回るとみられ、30年までには600億立方メートルを目指す方針(原油生産目標は60万トン)。石油・ガスプロジェクトの投資利益率(ROI)は15%を超える見通しという。


 SWOGFはまた、拡大する天然ガス生産量の消費に向け、合弁形式を通じたガス火力発電所への投資を計画している。中国の発電部門のガス需要は現状、米国を大きく下回る水準。ガス火力発電は応答時間(立ち上がり時間)が短いために、太陽光・風力などの再生可能エネルギーの不安定さをカバーする役割が期待できる。


 一方、ペトロチャイナが四川省に保有するガソリンスタンドは2,076カ所と、省全体の42%を占める規模。

新エネルギー車(NEV)の販売比率が50%を超え、車両用ガソリン・軽油需要は縮小傾向にあるが、SWOGFはLNG大型トラック向けの需要が今後も拡大するとみている。


 大型トラック全体に占めるLNG車両は現在約10%に過ぎず、この先の拡大余地が大きいという。SWOGFはまた、ガソリンスタンドで5,800台超のEV充電スタンドを展開するが、この分野は競争が激しく、収益性は今のところ低い。


 BOCIは2025-27年の予想1株当たり配当金(DPS)を7-9%上方修正。2025年のDPSの据え置きを確実視し、2026-27年に関しても強力なフリーキャッシュフローを背景に、約55%の配当性向の維持が見込まれるとした。


 同時に、同社H株、A株の目標株価を引き上げたが、新たなH株目標株価に基づく2025-27年の予想配当利回りは依然、平均5%の水準にある。一方、レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIは原油価格の急落と、予想以上にコストが膨らむ可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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