2026年の最優先政策課題は「内需拡大」、積極財政継続へ=中央経済工作会議

 中国では翌年の経済政策基調を決める重要会議、中央経済工作会議が12月10-11日に開催され、詳細な2026年の政策運営方針が明らかになった。経済活動を推進するための重要指針とされたのは以下の通り。


◇経済の潜在力を十分に引き出す、◇政策支援と改革・イノベーションを並行して推進する、◇「柔軟な運用」と「適切な管理」を両立させる、◇物的投資と人的投資の緊密な連携を堅持する、◇国内基盤の強化を通じて外的な課題に対応する。この5点が今後のマクロ経済運営における原則となる。


 今回の中央経済工作会議では、2026年に「より積極的な財政政策」を採ることを再確認し、適度な財政赤字、債務レベル、財政支出を維持する必要性を明確に示した。BOCIは財政赤字率(対国内総生産(GDP)比)を4%に維持し、特別国債や地方債を通じた消費・投資支援策を継続するとみる。


 財政支出では、消費拡大と社会的安定の確保に向けた「人的投資」と、投資水準の安定化および回復という「物的投資」に重点を置く。また、「第15次5カ年計画」(2026-30年)の初年度に当たる2026年には、重点プロジェクトの立ち上げが加速する見込み。


 そのための資金を確保するために政策金融ツールの迅速な展開を図り、必要に応じて資金増額の可能性を検討する方針も明らかになっている。


 金融政策に関しては引き続き「適度に緩和的」とし、経済の安定成長と物価レベルの合理的な回復を促すことを重要事項とする。中国の物価水準は依然低く、GDPデフレーターは3年連続のマイナス。2025年の消費者物価指数(CPI)上昇率はほぼ0%で推移しており、これが家計所得や企業利益、政府税収面の圧力となっている。


 今回示された明確な指針を受け、BOCIは一段の利下げと預金準備率引き下げの可能性を指摘している。


 一方、2026年に向けた重点政策課題(8項目)の筆頭に位置付けられたのは「内需の拡大」。

そのために「両新」(大規模な設備更新と消費財の買い替え促進)政策の最適化や家計所得の拡大、消費分野の不合理な規制の排除などに焦点を当てるとした。


「都市・農村住民の所得拡大行動計画」が提案されたのは今回が初めて。供給側の最適化を重視した従来の戦略とは異なり、需要側からに焦点を当てた新たな行動計画となる。


 注目の不動産では供給側に重点を置いたリスク回避方針が決まった。都市別の住宅・土地供給制限措置の撤廃や過剰物件在庫の削減ペースの加速、高質な住宅物件の建設推進などがその内容。地方当局には引き続き、過剰在庫物件の取得と低価格住宅としての活用を奨励する。BOCIは2026年に資金面の追加支援策が導入される可能性に言及した。


 また、2026年には高質の発展を強化するための改革を加速させる方針。その改革の重点分野は、全国統一市場、国有資産・国有企業、地方当局による企業への債務未払い問題、プラットフォーム経済など。中でも全国統一市場の構築と「反内巻」(国内各業界における過当競争の是正策)が最大の焦点になる見通しという。


(Bank of China int.)

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