2025年ほどニュースの見出しに「史上最高値更新」の文字を見た年はなかったように思います。2025年に続き、2026年も株価指数と金(ゴールド)が高値を更新すると筆者は考えています。


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著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する 」


2026年は数十年単位の大きな流れの一幕

 筆者は、前回のレポートで述べたとおり、2026年は2025年と同様、西側諸国の自己矛盾拡大と非西側諸国による資源武器利用の加速によって、2010年ごろから目立ち始めた世界の民主主義後退・分断深化が継続すると考えています。


2025年12月9日: 【必見】2026年のコモディティ相場を見通すための大前提


図:2026年の位置付け


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 この流れが継続することによって、長期視点で発生しているインフレ(物価高)も継続すると考えています。非西側諸国による資源の武器利用(西側諸国がESGを根拠に一部の資源国から買わない姿勢を示していることを含む)が継続し、世界全体としてさまざまな品目の需給バランスが引き締まりやすい状態が続くと考えられるからです。


図:2010年ごろ以降の世界分断と高インフレ(長期視点)の背景


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 2026年は、こうした世界の大きな潮流の中の一幕に過ぎないといえます。大きな潮流を把握することによって、短期的な価格反落が起きたとしても、相場の大局的な方向感を見失わずに済みます。


 短期的な反落を含むさまざまな値動きは、例えば以下に示す2026年の注目材料によって引き起こされる可能性があります。2026年11月の米国の中間選挙、米国の利下げ観測(通年)、ウクライナ戦争の動向(通年)、中東情勢の動向(数年)などがきっかけで、各種相場が上下する可能性があります。


 また、OPECプラスの減産の動向(6月と年の終盤に協調減産の方向性を決める会合あり)、AI半導体関連の資源の供給懸念(通年)、複数の世界的な大会開催(2月の冬季オリンピック、6月・7月のサッカーワールドカップなど)も、さまざまな文脈で各種相場に上下の圧力をかける可能性があります。


※OPECプラスとは、石油輸出国機構(OPEC)に加盟する12カ国、そしてロシアやカザフスタンなどの非加盟の11カ国、合計23カ国の産油国のグループの俗称です。原油の生産シェアはおよそ59%です(2025年10月時点)。


金(ゴールド)相場は5,200ドルに到達か

 2026年におけるさまざまなイベント(多くは影響が短期視点)と、2010年ごろから目立ち始めた世界の大きな潮流がもたらす金(ゴールド)相場への影響を、筆者が提唱する「七つのテーマ」に準じて考えます。


図:ドル建て金(ゴールド)に関わる七つの材料(2026年)


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 戦争やテロがもたらす不安感を意味する「(1)有事(伝統的)」、株との逆相関を意味する「(2)代替資産」、ドルとの逆相関を意味する「(3)代替通貨」が、短中期視点のテーマです。2026年のイベントに挙げた、ウクライナ戦争や中東情勢の動向は(1)、米国の中間選挙や世界的なスポーツの大会は(2)、米国の利下げ動向は(3)に分類できます。


 また、2010年ごろから目立ち始めたこうした世界の大きな潮流に関わる要素について、民主主義後退や分断深化を一つのきっかけとして金(ゴールド)を購入する中央銀行(金保有量)の動向は(6)、民主主義後退や分断深化の潮流そのものは(7)に分類できます。


図:ドル建て金(ゴールド)価格、2026年の筆者イメージ


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 上の図が、筆者が考える2026年の金(ゴールド)相場を取り巻くイメージです。2010年ごろから目立ち始めた世界の大きな潮流に関わる要素(中長期・超長期視点)が引き続き「土台」として、金(ゴールド)相場を支えると考えています。


 短中期的には、特に米国の利下げの議論が続くことが想定されるため、(3)代替通貨をきっかけとした、短中期的な上昇圧力が断続的にかかる可能性があります。


 こうしたことをまとめると、2026年に想定される価格水準(1トロイオンスあたり)は、高値5,200ドル、安値3,700ドル、年末に5,000ドルとなると、現時点で考えています。


中央銀行は短期・長期の両方の変動要因

 中央銀行は、通貨の発行・管理、金融政策の実施、外貨準備保有などを通じ、その国の経済目標達成に貢献したり、雇用と物価の安定を図ったりする公的な組織です。


図:中央銀行と米連邦公開市場委員会(FOMC)


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:各種資料を基に筆者作成

 2023年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の方針は「利下げ」です。このため、2024年・2025年と同様、2026年も、以下の図の右で示す図式が強まる可能性があります。金融政策が材料の頂点となり、緩和→期待増→株高、そして緩和→ドル安→金(ゴールド)高、という思惑が強まりやすくなる、という図式です。


 この点が、冒頭で述べた、株価指数と金(ゴールド)が2026年に高値を更新すると考える根拠です。


 11月の中間選挙に向けて、トランプ大統領は景気回復および株高を演出する可能性があります。

そのため、FRBに対して一段と利下げの圧力をかける可能性があります。同選挙が近づけば近づくほど、ドルの代わりを意味する(3)代替通貨をきっかけとした上昇圧力が強くなる可能性があります。


図:近年の米国株とドル建て金(ゴールド)の値動きの関係


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 状況によっては、利下げ観測を受けて株価が上昇した際、その株高に対して「高すぎて不安」という感覚が大きくなり、その不安がなお、金(ゴールド)相場を押し上げる場面もあるかもしれません。


米中間選挙にかけて「利下げ熱」高まる

 足元、FRBが今後、利下げをするかどうか、大きな議論が巻き起こっています。先ほど述べたとおり、2023年12月のFOMC以降、米国の中央銀行にあたるFRBの方針は「利下げ」です。


 以下のグラフのとおり、FOMCに関わる多くのメンバーが、向こう数年間にわたり、金利水準は今よりも低い水準で推移するとみています。少なくとも、金利が上がる(利上げが行われる)ことを想定しているメンバーは少数だということです。


図:FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移


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出所:FEDおよびLBMAのデータ、Fed Watch Toolの資料を基に筆者作成

 グラフが示しているとおり、利下げ時に金(ゴールド)価格は上昇することがあり、逆に利上げ時に金(ゴールド)価格は下落する傾向があります。(3)の「代替通貨」起因の強い上下の圧力がかかる(利下げ時は上昇、利上げ時は下落)ためです。


 金(ゴールド)相場の動向を考える上で重要なことは、利下げが行われること、ではなく、利下げの議論が行われていることです。たとえ利下げが行われなかったとしても、今後「時期や規模は分からないが、利下げが行われそうだ」という思惑が続いていることが重要です。


図:FRBの利下げ(思惑含む)時のドル建て・円建て金(ゴールド)相場への影響


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:筆者作成

 上の図のとおり、利下げの議論は(3)代替通貨起因の上昇圧力となり、ドル建て金(ゴールド)相場に上昇圧力をかけます。有事(伝統的)をきっかけとした上昇圧力と相成り、利下げの議論が生む(2)代替資産起因の下落圧力を相殺し、ドル建て金(ゴールド)相場が上昇する可能性があります。


 この時、ドル安の反対側で生じる円高が、円建て金(ゴールド)相場に下落圧力をかけます。しかし、ドル建て金(ゴールド)相場が上昇に勢いがあれば、その下落圧力は相殺され、結果として円建て金(ゴールド)相場も上昇すると、考えられます。


 2026年も2025年と同様に発生することが想定される米国の「利下げ熱」は、国内外の金(ゴールド)相場に、短中期的な上昇圧力をかけ得るといえます。


中央銀行の金(ゴールド)買い圧力継続

 中長期視点でも、中央銀行の金(ゴールド)買いは継続すると、筆者は考えています。2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが継続すると考えているからです。


 以下の通り、2010年以降、中央銀行による購入量は売却量よりも多い状態(買い越し)が続いています。特に、ウクライナ戦争が勃発し、世界中で有事ムードが意識され始めたり、資源の武器利用によって長期視点のインフレ(物価高)が加速しはじめたりした2022年以降、統計史上最高水準の買いが続いています(2025年もほぼ同水準になることが予想されています)。


図:中央銀行による金(ゴールド)買い越し量の推移(2024年まで) 単位:トン


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の資料を基に筆者作成

 


 2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが後退しない限り、中央銀行の金(ゴールド)の買い越しは終わらない可能性があります。


 以下のとおり、WGCが毎年行っているアンケートにおいて、近年、今後も金(ゴールド)の保有比率が上昇すると回答した中央銀行の割合が上昇しています。2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが一因であると、筆者は考えています。


図:5年後、中央銀行(全体)の金(ゴールド)の保有比率(現在19%)はどうなると思いますか?(2025年)


【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
出所:ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の資料を基に筆者作成

 2026年の金(ゴールド)相場は、(3)代替通貨をきっかけとした短中期視点の上昇圧力を断続的に受けつつ、(6)中央銀行(金保有量)と(7)有事(非伝統的)をきっかけとした長期視点で継続している上昇圧力に支えられ、短期的な反落をこなしながら、総じて強気な状態が続くと筆者はみています。


 また、図「近年の米国株とドル建て金(ゴールド)の値動きの関係」で示したとおり、利下げの議論が続いている最中は「株高・金高」が生じやすいため、2026年も、2025年と同様、株価指数と金(ゴールド)が高値を更新すると考えています。


 2026年も、国内外の金(ゴールド)の動向にご注目いただければ、幸いです。


[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

長期:


純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)

純金積立・スポット購入


投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)

三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)


中期:


関連ETF(NISA対応)

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
GXゴールド(425A)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)


短期:


商品先物

国内商品先物
海外商品先物


CFD

金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム


(吉田 哲)

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