駐車場事業で高収益を稼ぎつつカーシェアリング事業で成長を目指すパーク24は、今期、最高益を見込みます。コロナ禍から回復、緩やかながらも成長を続けるパーク24の「買い」判断を継続します。

予想配当利回り3%・PER15倍の割安な成長株として評価しています。


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コロナ禍を克服、過去最高益

 駐車場事業で高収益を稼ぎ、カーシェアリング事業で成長を目指す パーク24(4666)
は、今期も過去最高益を更新する見込みです。コロナ禍からの回復を経て、緩やかながらも成長を続けるパーク24について、「買い」の投資判断を継続します。予想配当利回り3%、株価収益率(PER)15倍の割安な成長株として評価しています。


【注】シェアリングエコノミー
 乗り物、住居、家具、衣服や各種サービスなどを単独で所有せず、多数の人間が共有(シェア)して利用すること。または利用する仕組み。自動車をシェアするカーシェアリング(カーシェア)、住居のシェア(シェアハウス)、自動車の相乗りサービス(ライドシェア)のほか、さまざまな共有サービスが生まれ、グローバルに拡大している。


<パーク24株価指標:2025年12月17日>
パーク24「買い」!最高益更新へ、シェアリングエコノミーの雄は再び輝くか(窪田真之)
出所:QUICKより作成、配当利回りは2026年10月期1株当たり配当金(会社予想)65円を12月17日株価で割って算出

 パーク24は12月15日に2025年10月期決算を発表しました。


<パーク24の前期業績と今期業績(会社予想)>
パーク24「買い」!最高益更新へ、シェアリングエコノミーの雄は再び輝くか(窪田真之)
出所:同社2025年10月期決算短信より楽天証券経済研究所作成

<パーク24の事業セグメント別経常利益:2025年10月期>
パーク24「買い」!最高益更新へ、シェアリングエコノミーの雄は再び輝くか(窪田真之)
出所:同社決算補足資料より作成

 パーク24の前期(2025年10月期)売上高は過去最高を更新しましたが、営業利益は前期比2.9%減益でした。国内駐車場事業は好調でしたが、カーシェア事業の稼働率が想定を下回ったために減益となりました。当期純利益は14.5%の減益でした。英国駐車場事業でマイナス24億円の減損損失が出たことなどが影響しました。


<パーク24売上高・営業利益推移:2014年10月期(実績)~2026年10月期(会社予想)>
パーク24「買い」!最高益更新へ、シェアリングエコノミーの雄は再び輝くか(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 パーク24はコロナ禍に見舞われた2020年10月期・2021年10月期は2期連続で最終赤字に転落しました。

そこから急回復して、2023年10月期・2024年10月期は2期連続で営業最高益を更新しました。ところが、前期(2025年10月期)は減益で、3期連続の最高益とはなりませんでした。


 パーク24は、前期決算を発表すると同時に、今期(2026年10月期)の業績(会社予想)も発表しました。売上高は引き続き過去最高を更新、営業利益・純利益とも過去最高益となる見通しです。国内駐車場・カーシェア事業の利益が伸びること、前期の特別損失(英国駐車場事業の減損)が無くなることが貢献して、最高益となる見通しです。


株価は2016年の最高値から41.4%下落

 パーク24は2016年7月に最高値(3,655円)をつけてから大きく下落しました。現在(2025年12月17日)の株価(2,141.5円)は、最高値から41.4%下がった水準です。


<パーク24株価、月次推移:2010年1月末~2025年12月(17日)>
パーク24「買い」!最高益更新へ、シェアリングエコノミーの雄は再び輝くか(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

 株価が最高値から大きく下がった背景を、以下の通り説明します。


2010~2013年

 国内の駐車場事業の拡大で、最高益の更新が続きました。それを好感して株価の上昇が続きました。2009年にカーシェア事業に参入していましたが、先行投資負担が重く、カーシェアは赤字でした。


2014年

 消費税引き上げ(4月)の影響で時間貸し駐車場の利用が一時的に減少、2014年10月期が減益となったことを嫌気して株価が下落。


2015年~2016年7月

 消費増税の影響は一巡。カーシェア事業の利益成長への期待が高まり、株価が大きく上昇。2009年に開始したカーシェア事業は、先行投資負担が重く、赤字が続いていたが、2014年10月期に営業損益が初めて1,600万円の単年度黒字に転換。2015年以降、カーシェア事業の利益拡大が加速する期待が高まりました。


2016年7月~2019年

 カーシェア事業の利益は拡大しているものの、先行投資負担が重く、利益の伸びは投資家の期待を下回っています。国内の駐車場事業は、利益がまだ伸びていますが、徐々に成長余地は小さくなっています。また、海外駐車場事業で赤字が拡大していることも、嫌気されました。


2020~2021年

 コロナ禍で2020年10月期、2021年10月期は2期連続の赤字。2020年は新型コロナの感染拡大、2021年はコロナ変異株の感染拡大で外出を控える人が増え、駐車場・カーシェアとも利用率が大きく減少。


2022~2025年

 コロナ禍からの回復が進む。2023年10月期、2024年10月期と2期連続で営業最高益だったが、2025年10月期は減益に。2026年3月期に再び最高益更新を見込む。


 以上をまとめるとパーク24の株価が最高値から大きく下がった要因として以下三つがあります。


[1]国内駐車場事業に続く成長事業と期待して参入したカーシェア事業の利益の伸びが遅いこと。
[2]国内駐車場事業に続く成長事業と期待して参入した海外駐車場事業が不振で、減損損失を計上したこと。
[3]コロナ禍に見舞われた2020年・2021年に2期連続赤字となったこと。


 カーシェア事業の利益伸びは期待ほど高くないものの、今後も緩やかな成長が続くと思われます。海外駐車場事業の減損は完了、今後とも低収益が続きそうだが、全体の業績の足を大きく引っ張ることはなくなると想定されます。以上より、パーク24の投資判断「買い」を継続します。


 最後に、カーシェアをよくご存じない方のために、説明します。


ご参考:カーシェアリングとは

 自動車(カー)を共同利用(シェア)する仕組み。欧米で普及し、日本にも広まりつつある。日本国内のトップが、パーク24が運営する「タイムズカー」です。全国に2万6,073の車両ステーションを有し、8万691台の車両を保有、361万6,000名の会員を有します。うち135万2,000は法人顧客です(2025年10月時点)。


 競合大手に、オリックスカーシェア、三井のカーシェアーズ(旧カレコ)などがあります。


 カーシェアのメリットは、「安」「近」「短」といわれます。近所にカーシェア用の自動車を設置したステーション(駐車場)があることが前提ですが、安価な利用料金で、自宅近くから、近距離・短時間のドライブにも利用できます。


 カーシェアの会員になると、スマホで申し込み、簡単に自動車を借りることができます。ネット予約してカーシェア用の車両を置いてある駐車場に行き、会員証をかざすだけで、簡単に開錠できます。旅先で、駅前からカーシェアを利用することも可能です。


 利用料金は、「タイムズカー」で15分220円(ガソリン代・保険料込み:ベーシック車種)からとなっています(2025年12月時点)。自動車を保有するコスト(車両購入、車検、駐車場、保険、税金など)がかからないので、割安な利用方法です。


 レンタカーと比較すると、利用手続きが簡単で、短時間・短距離の利用にも使えることが評価されています。ただし、利用者の多い地域では、土日祝日に、カーシェアの車が空いていない(他の会員に使われている)という問題が起こることもあります。


 最後に、決算書の読み方、株式投資のファンダメンタルズ分析を学びたい方に、以下、私の著書をご紹介します。


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」


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3分でわかる!今日の投資戦略:
2025年6月26日: パーク24:「買い」継続だが、英国駐車場事業の減損リスクに注意(窪田真之)
2025年3月25日: 「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
2024年12月10日: 「パーク24」を「買い」と判断する三つの理由、コロナから回復して最高益(窪田真之)


(窪田 真之)

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