マイクロン・テクノロジーの2026年8月期1Qは56.7%増収、営業利益2.82倍。汎用DRAMの価格上昇とHBMの好調で大幅増収増益。
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「 決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇、HBM好調で業績好調) 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)
1.マイクロン・テクノロジーの2026年8月期1Qは56.7%増収、営業利益2.82倍。
マイクロン・テクノロジー(以下マイクロン)の2026年8月期1Q(2025年9-11月期、以下今1Q)は、売上高136.43億ドル(前年比56.7%増)、営業利益61.36億ドル(同2.82倍)となりました。前4Q比でも20.6%増収、67.9%営業増益となりました。前4Q決算発表時の会社側ガイダンス、売上高125.00億ドル、営業利益48.20億ドルを大幅に超過しました。DRAMの最新規格DDR5の市況上昇が業績に大きく貢献しました。
セグメント別には、クラウドメモリ・ビジネスユニット(以下クラウドメモリBU。
コア・データセンターBU(中規模クラウドサービス、企業向けメモリソリューション(DRAM)と全てのデータセンター向けストレージソリューション(NAND))は、売上高23.79億ドル(同3.8%増)、営業利益8.90億ドル(同2.2%増)となりました。前年比では横ばいでしたが、前4Q比では50.9%増収、営業利益2.26倍と大幅増収増益となりました。出荷数量も増えましたが、DRAM価格上昇の寄与が大きかったと思われます。
モバイル&クライアントBU(スマートフォン向け、パソコン向けDRAM、NAND)は、売上高42.55億ドル(同63.2%増)、営業利益20.17億ドル(同5.32倍)となりました。前4Qでは、13.2%増収、85.0%営業増益となりました。前4Q比でビット出荷量が減少しましたが、DRAM価格上昇の寄与が大きかった模様です。
テクノロジー別には、DRAMが前年比68.9%増、前四半期比20.3%増と大きな伸びを示しましたが、これにはDRAM市況上昇が大きく寄与しています。会社側によれば、DRAMのビット出荷量は前四半期比微増で、平均単価は20%上昇しました。また、NANDは前年比22.4%増、前四半期比21.8%増と順調に伸びました。
表1 マイクロン・テクノロジーの業績
表2 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(四半期)
表3 マイクロン・テクノロジー:テクノロジー別売上高
2.2026年8月期は大幅増収増益へ。DRAMの高価格が長期化する可能性がある。
1)DRAM価格上昇によって2026年8月期は大幅増収増益へ
2026年8月期2Qの会社側業績ガイダンスは、表4の通りです。これから計算すると、2026年8月期2Q業績ガイダンスは、売上高187億ドル(前年比2.32倍)、営業利益109.7億ドル(同6.19倍)となります。今1Q比でも大幅増収増益となりますが、これは主にDRAM価格の上昇が続いているためと思われます。
DRAM価格の上昇とHBM、DRAM両方の需給ひっ迫を背景に、会社側は複数年(2~3年?)にわたるHBM、DRAM、NANDのパッケージ契約を主要顧客と交渉中です。まとまれば、数年後(2~3年後?)まで収益が安定する効果が期待できると思われます。
四半期ごとの設備投資は高水準ですが、今の会社側の考え方では今以上の水準になることはあまり期待できないと思われます。2026年8月期通期の会社側設備投資予想は前回の180億ドルから200億ドルに上方修正されましたが、重点はHBMと最先端DRAMの増産投資であり、最先端以外のDRAMとNANDの増強は期待できない模様です。これはDRAMとNANDの需給ひっ迫要因になると思われます。
後述のDRAM価格上昇とHBMの好調を考慮して、楽天証券ではマイクロン・テクノロジーの2026年8月期を売上高760億ドル(前年比2.03倍)、営業利益440億ドル(同4.50倍)、2027年8月期を売上高920億ドル(同21.1%増)、営業利益570億ドル(同29.5%増)と予想します。
2026年8月期は主にDRAMの価格上昇による効果が期待できますが、2027年8月期は価格効果が薄れる可能性があるため、保守的に予想しました。また、今のDRAM価格上昇が販売価格に転嫁されたときに、パソコン、スマートフォン、AIサーバーの需要が変調する可能性も考慮しました。
表4 2026年8月期2Q会社側業績ガイダンス
表5 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(通期)
グラフ1 マイクロン・テクノロジーの設備投資:四半期ベース
グラフ2 マイクロン・テクノロジーの設備投資:年度ベース
2)DRAM市況の動向
通常は、DRAM、NAND型フラッシュメモリの大口価格は四半期に一回価格と数量が決まります。今のように店頭でDRAM、NAND価格が上昇している場合は、それに合わせて大口価格も上昇すると思われます。
また、HBMは顧客向けに年に1回価格と数量が決まります。現在は2026年分のHBM(HBM3eと最新型のHBM4)の数量と価格は決まっており、全て完売しています。HBM3eを生産するためには同じ容量のDDR5の約3倍のウェハが必要になります。HBM4では3倍以上のDDR5ウェハが必要になります。このため、HBM生産の拡大は設備投資の大幅増加がなければDRAMの需給ひっ迫要因になります。HBMの価格はDDR5と連動すると思われるため、2026年価格は2025年価格より上昇したと思われますが、現在のDRAM価格上昇を織り込んだものではないと思われます。従って今のようなDRAM価格の上昇が続けば、HBMの2026年価格に再交渉と値上げの余地がでてくること、2027年価格も上昇が続く可能性があります。
今回のDRAM価格上昇は、今年5月、中国のDRAM大手、CXMTが2026年中旬までに1世代前のDRAM規格、DDR4の生産を段階的に終了し、最新規格であるDDR5とHBMの生産に集中すると報道されたことがきっかけです。DDR4の生産縮小とDDR5とHBMの生産拡大はSKハイニックス、サムスン電子、マイクロンはすでに行っていることですが、新興DRAMメーカーのCXMTも同様の方向になると報道されたのです。
さらに、11月に入ってオープンAIが大規模AIデータセンター「スターゲート」プロジェクトのために、サムスン電子とSKハイニックスとの間で月90万枚規模のDRAMウェハ供給について協議していると報じられました。報道によれば、この数量は世界のHBM生産量の約2倍に相当するということです。
このような状況の下、DRAMの大口価格以上にパソコン用メモリの店頭価格が上昇しています。DRAMの大口ユーザーの間では生産に必要なDRAMの数量が確保できないという声がある模様です。このため、店頭価格、大口価格とも上昇が続く可能性があります。
このような価格効果はマイクロンの業績にとって大きなプラス要因になると思われます。
また、NANDの大口価格は上昇していませんが、SSDの店頭価格はDRAMほどではありませんが上昇しています。DRAM価格上昇による連想が働いたと思われること、AIデータセンター向けに高速大容量SSDが増加していること、DRAM大手3社がDRAMへの設備投資を優先しているため、NANDの供給増加がDRAMほど期待できないことなどが要因と思われます。
グラフ3 DRAMの市況
グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況
グラフ5 パソコン用メモリの店頭価格
グラフ6 SSDの店頭価格
3)DRAM高価格化の問題点
一方で、DRAMの価格上昇は副作用も大きいと思われます。まず、パソコン、スマートフォン、非AIサーバー、AIサーバーの価格上昇です。今のパソコン用メモリの価格上昇がそのままパソコン価格に転嫁されると、例えば10万円のパソコンが14万円以上になるため、需要に影響がでると思われます。スマートフォンも同様です。
DRAM価格の上昇はAIサーバーの高級機種でも問題になると思われます。エヌビディアのB200搭載の高級AIサーバー(B200を8基搭載、メインメモリ1テラバイト(TB)搭載)を日本で販売すると8,000万円台になると思われますが、今のDRAMの実勢価格が適用され、HBMもさらに値上げになると想定すると、フルスペックの高級AIサーバーの価格が20~30%以上上昇する可能性があります。大手クラウドサービス会社やメタ・プラットフォームズはすでに大型投資を続けているため、AIサーバーの価格上昇は大きな負担になると思われます。
これに対しては、TPUのような特注型AI半導体を使うことで対応できます。TPUはエヌビディア製AI半導体に対して価格が半分以下とも言われており、これは一定規模のデータセンターで導入可能なものです。TPUや他の特注型AI半導体もHBMを搭載しており、DRAMを節約できるわけではないと思われますが、汎用AI半導体を使うよりは投資金額が少なくなります。
また、生成AIの場合は、DeepSeekのようなインフラ消費が少ないタイプの技術を使う道もあります。
パソコンでは、LinuxやアップルのMac(MacOS)のように少ないメモリ容量でも動くOSを使う道もあります。あるいは、容量が小さなメインメモリでも効率的にパソコン、スマートフォン、サーバーを動かす技術が開発できれば需要は多いと思われます。
ただし、いずれのDRAM価格上昇への対応策も急にできるものではありません。現状ではDRAM価格上昇に対して需要家が対処する道は限られていると思われます。
3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の260ドルから400ドルへ引き上げる。
マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の260ドルから400ドルへ引き上げます。
楽天証券の2026年8月期予想1株当たり利益(EPS)32.69ドルに、好業績のプラス面と、DRAM価格上昇によりパソコン、スマートフォン、AIサーバー等が値上げされた場合の販売台数に対するリスクの両方を考慮して、想定株価収益率(PER)10~15倍を当てはめました。
引き続き投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)
(今中 能夫)

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