今年割安株として取り上げた企業16社は、年初来で平均1%下落した一方、記事掲載日以降平均2%上昇しました。年初以降株価が下落して割安感が出たため筆者の記事作成対象となり、その後株価が上昇に転じています。

これら16社は依然として過去実績および同業他社対比で割安感があり、株価のさらなる上昇が期待できます。


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著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【年末総括】割安株16社のパフォーマンスはどうだった?キッコーマン、ヤクルト、サカタのタネ ほか... 」


記事掲載企業16社の年初来騰落率

 以下に、今年これまで記事で取り上げた企業のうち、記事内で「割安感が解消した場合の株価」について数値を具体的に示した企業16社について、年初来および記事掲載日以降の株価騰落率をまとめました。


 なお、本稿では「割安感が解消した場合の株価」を「適正株価」と表現します。


 各企業を取り上げた記事において、(1)長期的な業績推移と株価純資産倍率(PBR)の関係、(2)同業他社比較における自己資本利益率(ROE)とPBRの関係の2点において、レポート執筆時点で株価に割安感が認められた企業につき、割安感が解消した場合の株価水準(「適正株価」)を示しました(詳細は下表の社名に貼られたリンクより各記事をご参照ください)。


<株価騰落率一覧>(年初来騰落率の降順)


業界 社名 為替 株価 株価騰落率 記事
掲載日 直近値 年初来 掲載日
以降 製糖 塩水港精糖 JPY 520 +64% +3% 10/30 板紙 レンゴー JPY 1,176 +34% +4% 12/11 製鉄 Gerdau USD 3.7 +27% ▲3% 12/18 種苗 サカタのタネ JPY 4,190 +21% +5% 11/27 セメント 太平洋
セメント JPY 3,838 +7% ▲2% 8/28 計量・計測機器 Agilent
Technologies USD 137 +2% +11% 10/2 移動体通信 Verizon USD 40 0% ▲10% 9/4 計量・計測機器 島津製作所 JPY 4,229 ▲5% +14% 9/25 廃棄物処理 ダイセキ JPY 3,395 ▲6% ▲7% 9/11 調味料類 Mc
Cormick USD 68 ▲9% +7% 11/6 ビール Molson
Coors USD 48 ▲17% +3% 10/9 調味料類 キッコーマン JPY 1,458 ▲17% +5% 11/13 乳業・乳製品 ヤクルト本社 JPY 2,444 ▲18% +8% 10/16 冷凍食品 Nomad
Foods USD 13 ▲24% +5% 11/20 菓子 General
Mills USD 48 ▲25% ▲1% 10/23 板紙 Graphic
Packaging
HD USD 15 ▲43% ▲5% 12/4 16社平均 ▲1% +2%   ※2025年12月19日時点。▲はマイナス
※騰落率(年初来)は、直近株価と昨年末終値を比較
※騰落率(掲載日以降)は、直近株価と記事掲載日の終値を比較
※適正株価の数値を具体的に記事中に示した企業のみを掲載

 年初来で株価が20%以上上昇したのは 塩水港精糖(2112 東京) 、 レンゴー(3941 東京) 、 ゲルダウ(GGB NYSE) 、 サカタのタネ(1377 東京) の4社です。


 塩水港精糖は猛暑による飲料向け需要増、レンゴーは段ボール・板紙の値上げ、ゲルダウは米国の鉄鋼輸入関税引き上げによって同社の米国内製鉄所の優位性が向上したこと、サカタのタネは株主還元強化、などの要因が好感され、株価上昇につながりました。


 他方、昨年末以降で株価が20%以上下落したのは グラフィック・パッケージング・ホールディング(GPK NYSE) 、 ゼネラル・ミルズ(GIS NYSE) 、 ノマド・フーズ(NOMD NYSE) の3社です。


 いずれも減益見通しもしくは利益頭打ち見通しから株価が下落しました。3社とも10~12月の間に記事を掲載しましたが、ノマド・フーズについては、記事掲載日以降株価は上昇しており、下げ幅を縮小する展開となっています。


 なお16社の株価騰落率の平均は、年初来がマイナス1%、記事掲載日以降が+2%です。これは、年初以降株価が下落して割安感が出たために筆者によるスクリーニングにかかって記事作成対象となり、その後株価が上昇に転じた企業が複数含まれているためです。


16社の適正株価までの上昇余地は?

 次に直近株価と各記事中で示した適正株価の乖離(かいり)率を「上昇余地」として一覧化しました。


<適正株価までの上昇余地(%)一覧>


業界 社名 為替 株価 直近値 適正株価 上昇余地
(%) 板紙 Graphic
Packaging
HD USD 15 33 +114% 冷凍食品 Nomad
Foods USD 13 25 +95% セメント 太平洋
セメント JPY 3,838 7,100 +85% 移動体通信 Verizon USD 40 73 +83% 廃棄物処理 ダイセキ JPY 3,395 6,000 +77% 板紙 レンゴー JPY 1,176 1,900 +62% 菓子 General
Mills USD 48 72 +50% ビール Molson
Coors USD 48 70 +47% 調味料類 Mc
Cormick USD 69 90 +31% 計量・計測機器 Agilent
Technologies USD 137 180 +31% 乳業・乳製品 ヤクルト本社 JPY 2,444 3,100 +27% 計量・計測機器 島津製作所 JPY 4,229 5,100 +21% 種苗 サカタのタネ JPY 4,190 5,000 +19% 調味料類 キッコーマン JPY 1,458 1,700 +17% 製糖 塩水港精糖 JPY 520 600 +15% 製鉄 Gerdau USD 3.7 4.1 +12% 平均 +49% ※記事内で適正株価を複数示した企業については低いほうの値を記載
※上昇余地は、「適正株価÷直近株価-1」(%)で計算

 80%以上の株価上昇余地があるのはグラフィック・パッケージング・HD、ノマド・フーズ、 太平洋セメント(5233 東京) 、 ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ NYSE) の4社です。


 上昇余地ランキング1位はグラフィック・パッケージング・HDで+114%です。過去対比で高水準の当期純利益を維持しながらも小幅減益が2026年12月期まで3期連続となる見込みの中、株価は減益度合い以上に下落し、割安感が高まっている状況です。


 高水準の当期純利益が継続することによって株主資本の蓄積は着実に進むことが見込まれており、現在の株価に引き続き割安感があります。


 上昇余地ランキング2位はノマド・フーズで+95%です。積極的な買収や合併(M&A)と効率化で当期純利益を増やしてきましたが、ウクライナ戦争に起因するコスト高が嫌気されて株価が下落基調にあります。今後はM&A中心からシナジー最大化へと事業戦略を転換していく中で小幅ながら着実に増益を実現していく見通しであり、現在の株価に引き続き割安感があります。


 上昇余地ランキング3位は太平洋セメントで+85%です。事業の成長の主軸は米国を中心とした海外事業に移っており、当期純利益は2024年度に過去最高益を計上したにもかかわらず、日本市場の縮小イメージに引きずられて株価はおおむね横ばいで推移している状況です。


 米国市場の回復遅れから2025年度は小幅減益の見通しも、高水準の収益が今後数年間にわたって継続し、株主資本蓄積が着実に進む見込みであることから、現在の株価に引き続き割安感があります。


 上昇余地ランキング4位はベライゾン・コミュニケーションズで+83%です。米国内携帯電話通信業界が三つどもえの状態となる中、トップ企業としてアカウント数減少は甘んじて受け入れつつ契約単価の上昇に注力することで増収増益実現につなげています。


 しかしアカウント数変化に注目して株価を評価する長年の習慣があるために株価は低迷している状況です。EBITDAは2025年に500億ドル台を突破して過去最高となり、2026年はさらに増加する見通しとなっており、割安感は現在も高まり続けている状況です。


 表中の全ての企業に共通しているのは、(1)長期的な業績推移とPBRの関係、(2)同業他社比較におけるROEとPBRの関係の2点からレポート執筆時点で割安感が認められた銘柄であるという点です。今後の業績の伸長もしくは高水準の利益継続が見込まれている点も共通しており、割安感解消に向けて株価のさらなる上昇が期待できると考えております。


(西 勇太郎)

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