投資を始める際、「積立投資と一括投資、どっちが良い?」と悩む人は多いでしょう。「今買ったら、すぐに暴落するかも」「でも、待っていたら値上がりを逃しそう」と迷ってしまいがちです。

そんな迷いを解消し、あなたに合った投資戦略を見つけるヒントとなるクイズをご用意しました。


【クイズ】積立投資と一括投資、それぞれの良し悪しは?の画像はこちら >>

今日のクイズ

 今後5年以上使う予定のない、まとまったお金が入りました。そこで、投資を始めることにします。五つの選択肢があります。以下【1】~【5】の中から一つだけ選んでください。


【1】年率10%のリターンが期待される投資信託Aに積立投資
【2】年率10%のリターンが期待される投資信託Aに一括投資
【3】年率2.5%のリターンが期待される投資信託Bに積立投資
【4】年率2.5%のリターンが期待される投資信託Bに一括投資
【5】投資信託Aに半分、投資信託Bに残り半分を一括投資


「低リスク高リターン」は無い

 正解をお伝えする前に、一つ考えていただきたいことをお伝えします。


 投資にはいろいろな選択肢がありますが、おおざっぱに分ければ、以下の三通りです。


  • 高リスク・高リターンの投資商品
  • 中リスク・中リターンの投資商品
  • 低リスク・低リターンの投資商品
  •  細かく分ければ、もっといろいろな投資商品がありますが、おおざっぱに言えば、上記の三通りと考えればOKです。


    「低リスク・高リターン」の投資商品があれば良いですが、ありません。もし皆さまが、「低リスクで高リターンのとても良い投資商品があります」とセールスを受けているとしたら、注意してください。何か重大なリスクが隠されているはずです。


     過去に世間を騒がせた金融商品による詐欺のほぼ全てで、「低リスクで高リターンが得られる」といううたい文句が使われていました。


    正解

    【1】【2】【3】【4】【5】どれでも、皆さまの事情や投資スキルに合った選択肢を選んでいるならば、正解です。


     選んだ選択肢が、皆さまの事情や投資スキルに合っているかどうか考える上で大切なことを、以下で説明します。


     投信Aは年率10%が期待されるため、「高リスク・高リターン」の運用商品です。


     投信Bは年率2.5%が期待されるため、「中リスク・中リターン」の運用商品といえます。


     と言われても、どういうものか、具体的イメージを持ちにくいと思います。そこで、以下に投信Aと投信Bの具体的イメージの例を作りました。今後4年間、以下のような値動きをするものが該当します。


    <投信Aと投信Bの今後4年間の値動き(イメージ)>


    【クイズ】積立投資と一括投資、それぞれの良し悪しは?
    出所:筆者作成

     4年後に、投信Aは40%上昇しています。年平均10%と非常に高いリターンです。


     投信Bは、4年後に10%上昇しています。年平均2.5%のリターンです。10年国債(固定利付債)の利回りがようやく2%になったところですから、2.5%なら悪くないリターンです。


     未来のことが分かってしまうならば、投信Aの方が、明らかに良い投資信託といえるでしょう。ところが、未来のことが分からないまま「年率10%の利回りが期待される」と勧められて、投信Aを皆さまが買ったとしたら、その後どうなるでしょうか。


    投資家タイプによって、とるべき投資行動は異なる

     投資家にはいろいろなタイプがあります。

    極めておおざっぱに二つのタイプに分けると以下の通りです。


    <タイプA>投資対象が急騰・急落しても冷静さを失うことなく、リスクに適正に対処できる投資家
    <タイプB>投資対象が急騰・急落すると、欲望や恐怖にとらわれて不適切な行動をとる投資家


     皆さまは、どちらのタイプでしょうか?


     タイプBの投資家が、投信Aを買うと、こうなります。


    【クイズ】積立投資と一括投資、それぞれの良し悪しは?
    出所:筆者作成

     タイプBの投資家は、投信Aが急騰した時に「簡単にもうかる」と欲望にとらわれて買い増しして、急落した時は、恐怖にとらわれて売ってしまいます。その結果、4年間じっと持っていればもうかったのに、大損してしまいます。


     一方、タイプAの投資家が、投信Aを買うと、こうなります。


    【クイズ】積立投資と一括投資、それぞれの良し悪しは?
    出所:筆者作成

     皆さまは、どういうタイプの投資家ですか? タイプA、タイプBはやや極端な例です。実際には、ほとんどの方がタイプAとBの中間だと思います。時にタイプAのようになり、時にタイプBのようになるのが、最も普通の投資家だと思います。


     正解は一つではありません。投資家のタイプ、投資の仕方によって、正解は異なります。


    【1】あなたがタイプAならば、投信Aに一括投資でも正解です。
    【2】あなたがタイプBならば、投信Aへの一括投資はやめるべきです。

    大きな損失につながるリスクがあります。
    【3】実際には、ほとんどの方がタイプAとタイプBの中間と思います。皆さまがどういう投資家であるか、皆さま自身で考えて、適切な投資方法を選んでください。


     皆さまの年齢や家族構成、保有総資産によっても、選ぶべき選択肢は異なるでしょう。


     米国株も日本株も、長期的には大きく上昇していますが、短期的には急落することがあります。「自分はタイプBかも」と思う方は、下手にうまく投資しようとせず、投資の王道「長期・分散・積立」投資をしっかりやっていくことが、長期的に投資で成功するカギとなります。


    (窪田 真之)

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