成長する割安株を長期保有するIPOセカンダリー投資で億り人となったテンバガー投資家Xさん。さらに資産を倍増させた「無限10倍株」、少額投資家に伝えたい新NISA活用術、そしてPER人間論。
「長期保有×短期売買」うまみをしゃぶり尽くす無限10倍株
トウシル:書籍のタイトルにもなっている「無限10倍株」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
テンバガーX:私の手法の核心は「同じ銘柄で長期保有の現物株と短期売買の信用取引を同時に行う」というハイブリッド投資にあります。
まず、前編でお話した基準でビジネスモデルを精査して「これは数倍になる」と確信した銘柄を現物株で購入します。長期保有する間に株価チャートが右肩上がりになる可能性が高い銘柄を購入していますが、何かの拍子に売られて下がるタイミングがありますよね。その時に信用取引で購入し、短期で売り抜く短期売買で利益を上げています。
この短期売買の対象は、保有銘柄のうちほんの数銘柄だけです。特にまだまだ割安で、値上がりの可能性が高い銘柄に絞って取引しています。株価収益率(PER)が40倍を超えたような銘柄は、割安ではなくなっている場合が多いので、短期売買には向いていません。
トウシル:なるほど。将来的に株価が上昇するのが分かっているからこそ、長期保有銘柄の上下そのものを収益源にして、細かく利益を稼げるんですね。
テンバガーX:その通りです。現物株を利益が出るたびに売ってしまうと、その都度約20%の税金が発生し、複利の効果を弱めてしまいます。
実は、主力銘柄の一つである アズーム(3496) は、現時点で含み益が2,000万円ほどありますが、短期の回転売買で得た確定利益はそれ以上です。一つの銘柄を長期・短期の両面から徹底的に使い倒すことが、個人投資家が資金を加速度的に増やすための合理的な戦略だと考えています。
トウシル:理屈は理解できるのですが、一方で非常に高度な技術のように思えます。特に信用取引のリスクが無視できないように思えますが…。
テンバガーX:もちろん、初心者の方にむやみに勧めるわけではありません。無限10倍株において大切なのは、リスクのコントロールです。私は「現物株+現金」の合計額を信用のポジションが大きく超えないようにしています。いわゆる「レバレッジ2倍程度」に抑えることが、致命傷を避けるコツです。
信用取引を「ギャンブル」と捉えている方も多いと思いますが、私にとっては「税金の支払いを先延ばしにし、資金効率を最大化するためのツール」です。この発想の転換ができるかどうかが、億の壁を越えられるかどうかのラインになると考えています。
トウシル:発想の転換、重要ですね! 無限10倍株で稼いだ2025年のおすすめ銘柄があれば教えてください!
テンバガーX:今年は6銘柄購入したんですが、その中では デジタルグリッド(350A) がよかったですね。
資産形成の初期段階こそ中小型株へ集中投資すべき!
トウシル:とてもユニークかつ攻めの投資手法だと感じます。ただ、初心者にはハードルが高いことも確かですよね。テンバガーXさんが投資初心者に「これだけはやめておけ!」と伝えるとしたら、何とアドバイスしますか?
テンバガーX:正直に言いますと、本気で億り人になりたいなら「全世界株式インデックス投資(通称:オルカン)の積み立てなんて今すぐやめなさい」とお伝えしたいんです。
トウシル:えっ! リスクも少なく、初心者向きの投資手法だと思うのですが、なぜですか?
テンバガーX:「老後に2,000万円あればいい」という平均的な生活を守りたいなら、インデックス投資は素晴らしい選択肢です。しかし、もしあなたが人生を変えたい、数億という資産を築きたいと願うなら、年利5%程度の運用ではあまりに時間がかかりすぎます。
100万円を5%で回しても、来年105万円になるだけです。これで満足してしまうのはちょっともったいない。「せっかく投資の世界に足を踏み入れたのに、貯金の延長みたいな金額で本当にいいんですか?」と、私は問いたいんです。
トウシル:貯金の延長…。確かにテンバガーXさんの手法から比べると、ダイナミックさには欠けてしまいます。とはいえ、元手が少なかったり、経験が浅かったりした場合、思い切った勝負をしきれない人も多いと思います。
テンバガーX:資産形成の初期段階こそ、リスクを取って「中小型株への集中投資」をすべきだと私は考えます。私はかつて日興証券(現:SMBC日興証券)の口座で「100万円チャレンジ」という自主企画に挑戦しました。新規公開株(IPO)セカンダリー手法を使って100万円をどこまで増やせるか試したところ、2年半で500万円を超える利益を上げることができました。
まず100万円を5倍にし、次にその500万円を2倍、3倍に。そうやって資産の桁を変えていく経験こそが、本当の投資の醍醐味(だいごみ)です。100万円なら、最悪ゼロになってもまた働いて稼げばいいじゃないですか。若いうちの少額での失敗なんて、大したリスクではありませんよ。
トウシル:元手が少ない人ほど攻めるべき、というお考えですね。そのお話を聞くと、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の枠の考え方も変わりそうです。
テンバガーX:まさに新NISAなんて大チャンスですよね。NISAの本当のメリットは、数倍、数十倍に化けた「売却益(キャピタルゲイン)」が非課税になることにあります。
私はNISA枠でも、自分が最も自信のある中小型株に「一点買い」です。
仕事は辞めるな。お金を生み出し続けるPER人間になれ!
トウシル:そうしたチャレンジ精神で数億円の資産を築かれた一方、テンバガーXさんは今も本業をお持ちですよね。X(旧Twitter)には年収1.2億円という記載もありました。本業でも十分稼げている状態です。投資はもういいや、とか、仕事を辞めて投資一本で行こう、とか思わないんですか?
テンバガーX:むしろ逆です。本業で強いキャッシュフローがあるからこそ、投資で大胆な勝負ができるんですよ。
もし私が専業投資家で、資産が12億円から5億円に減ったとしたら、精神を病んでしまうかもしれません。しかし本業という強固な「守り」があるからこそ、投資において一時的な暴落も「しゃあない、また稼げばいい」と受け流せます。
これは年収300万円であっても変わりません。仮に資産が全部なくなってしまったとしても、稼げる力があれば必ず立ち上がれます。
トウシル:資産が億を超えても絶対に仕事は辞めるな、ということですね。
テンバガーX:そうです。多くの人は「1億円貯まったら仕事を辞めよう」と考えますが、1億円持っている無職の人は、市場価値でみれば「1億円という資産価値(PBR)」でしかありません。次の年には減るかもしれない、非常に不安定な存在です。
一方で、本業でしっかり利益を出し続けている人は、市場から「利益×将来の期待」というPERの掛け算で評価されます。
言い換えるなら、年収500万円を稼げる人を市場平均PER15倍で計算すれば、理論上7,500万円の価値を生み出すエンジンを持っているのと同じです。7,500万円を1億円に変更し、40歳から残り20年間働くとしてPER20倍に設定すれば、1億円になります。そうすれば、40歳の年収500万円は、専業投資家の1億円に匹敵します。だから絶対に仕事を安易に辞めてはいけません。収入がある限り、その人はPERで評価される成長株なんです。
トウシル:年収ではなく、PERで評価される人間になれ!ということですね…! めちゃくちゃ刺激的な視点ですね。
テンバガーX:私は昨年、会社員から独立して自分で事業を興し、稼ぐ力というPERの価値を磨き続けながら、投資でPBR(純資産)を積み上げています。この二刀流こそが、これからの時代を生き抜く最強の戦略です。
投資をやるなら、お小遣い稼ぎの範囲で終わらせず、本気で「億」を目指してほしいですね。そして自分自身という銘柄の価値を上げ続けることができれば、人生の選択肢は無限に広がります。ぜひIPOセカンダリー投資に挑戦し、誰も見ていない小型株の中に眠る宝石を見つけ出してください。その発見と資産形成のプロセスこそが投資の本当の楽しさであり、億り人への近道ですから。
トウシル:15年の負けからはい上がったXさんだからこその、重みのある言葉を頂きました。本日は刺激的なお話を本当にありがとうございました!
▼前編はこちら
元手700万円から総資産8億円!15年の連敗から見いだした「勝てる投資」とは?IPOセカンダリー投資家・テンバガー投資家Xさんインタビュー[前編]
(トウシル編集チーム)

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