名村造船所は国内4位の造船企業です。2010年ごろに大量建造された船舶が寿命を迎え始めた2022年以降、世界的に新造船需要の高い状態が2020年代を通して継続すると見込まれています。
プロローグ
タローくん「名村造船所って利益率がトップらしいぞ。」
ユーちゃん「バルク船で量産、VLGCで高級路線。ユニクロとヴィトン同時に売る店みたいなもんだし。」
タローくん「歴史もすごいぞ。1911年創業で、函館どつくと佐世保重工業まで仲間にして、造船・修繕・鉄構の三段構え。 RPGで言うなら“戦士・僧侶・魔法使い”揃ってる感じ。」
ユーちゃん「僧侶どれ?」
タローくん「修繕船。回復担当。」
ユーちゃん「あー納得。で、業績は赤字180億円からのV字回復で、今は二期連続最高益。株主資本も復活してPBRは過去最高の2.7倍。」
タローくん「しかも同業比ではまだ割安で、割安感解消する株価は9,200円らしい。」
ユーちゃん「沈まないように船を造ってる会社は、株価も沈む気ゼロだね!」
上場造船企業中トップの売上高を誇り、利益率もトップ
名村造船所(7014 東京) (株価4,145円、時価総額2,879億円:1月9日終値)は今治造船(非上場)、ジャパンマリンユナイテッド(非上場)、大島造船所(非上場)に次いで国内4位の造船企業です。
設計がシンプルかつ短期建造可能で原価低減しやすいバルク船と、高付加価値であるVLGC(大型液化ガス運搬船)に強みを持つ点が特徴的で、国内同業他社比で高い利益率を誇ります。
<日本の主な造船企業7社の売上高と利益率> 社名 証券
コード 取引所 売上高
億円 当期純利益率
% 今治造船 - 非上場 4,646 6 ジャパンマリンユナイテッド - 非上場 3,004 6 大島造船所 - 非上場 2,037 12 名村造船所 7014 東京 1,592 16 三菱重工業 - 一部事業 - - 川崎重工業 - 一部事業 - - 内海造船 7018 東京 446 2 ※三菱重工業、川崎重工業の造船事業の売上高は不明
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成
名村造船所は、大阪の川崎造船所や大阪鉄工所(後の日立造船)で働いていた名村源之助氏が1911年に大阪で「名村造船鉄工所」として創業しました。
以降、中型船建造を基盤に成長し、1931年に大阪の同業他社の造船所を買収して製造能力を拡大するとともに株式会社化。戦時中は国家の造船計画に組み込まれる形で事業を継続し、主に貨物船や中型船を建造しました。
終戦後の1949年に大阪証券取引所に上場。
2009年には函館どつくを、2014年には佐世保重工業を子会社化。名村造船所が大型船新造と鉄構事業を、函館どつくがハンディサイズバルカー建造、修繕、橋梁・機械事業を、佐世保重工業が艦艇や商船の修繕事業を担う体制が成立しました。
二期連続で最高益計上
名村造船所の当期純利益は2010年近辺の造船需要拡大期に当たる2010年3月期には128億円でしたが、反動影響が出た2010年代後半の造船不況期に当たる2015年3月期には180億円の赤字となりました。再度造船需要が拡大してきた2023年3月期には赤字から脱却し、2024年3月期以降二期連続で最高益を計上している状況です。
2010年近辺で建造された船が寿命を迎えてきていることに加えて新たな環境規制対応の必要性もあり、現在の造船需要拡大は2030年頃までは継続することが見込まれています。
<名村造船所の当期純利益推移(2010年3月期以降)>
長期低迷していた株価は2023年以降、新造船需要の長期的な拡大見通しを背景に過去最高値を更新して上昇し続けてきましたが、2025年10月の高市政権成立後に日本造船工業会が建造量を倍増させるために2035年までに約3,500億円を投資するという計画を発表したこと、政府・自民党がこの3,500億円に上乗せして官民合わせて1兆円規模の基金創設を検討していることなどが材料視され、上げ幅がさらに拡大する状況となっています。
<名村造船所の株価推移(2010年3月期以降)>
長期的な需要拡大見通しを背景にPBRは過去最高水準
2010年3月期以降5年ごとの変化で見ると、2015年3月期に1,061億円まで積み増されていた株主資本はその後の赤字計上で減少し、2020年3月期には559億円と半減しましたが、その後の黒字回帰で再び積み上がり、2025年3月期には1,048億円と10年前と同水準まで回復しました。
PBRは長年1倍割れが常態化していましたが、2030年までの長期的な需要拡大期に入った2023年3月期には1倍を上回り、現在は2.7倍と過去最高水準に達しています。
<名村造船所の業績推移(2010年3月期以降)> (億円) 2010年
3月期 2015年
3月期 2020年
3月期 2025年
3月期 売上高 1,316 1,356 1,118 1,592 売上総利益 167 299 ▲96 363 営業利益 88 216 ▲160 295 当期純利益 128 147 ▲180 262 株主資本等合計 403 1,061 559 1,048 時価総額 233 782 141 2,879 PBR(倍) 0.6 0.7 0.3 2.7 PER(倍) 4 5 - 11 ※時価総額は期末時点値、2025年3月期だけは直近値
出所:名村造船所の資料等より楽天証券経済研究所が作成
ちなみにセグメント別では、新造船の増収増益が全体の増収増益に直結する状態となっています。また、足元は世界的に新造船需要が高まって船価が高騰していることから、既存船を延命・改修して使い続けるニーズも高まっており、修繕船セグメントの利益率上昇につながっています。
<名村造船所のセグメント別業績推移(2010年3月期と2025年3月期)> (億円) 2010年3月期 2015年3月期 2020年3月期 2025年3月期 売上高 1,316 1,356 1,118 1,592 新造船 1,069 1,069 902 1,229 修繕船 55 105 101 230 鉄構・機械 141 140 65 62 営業利益 88 216 ▲160 295 新造船 123 220 ▲156 276 修繕船 ▲2 3 4 36 鉄構・機械 ▲14 7 6 1 営業利益率 7% 16% ▲14% 19% 新造船 12% 21% ▲17% 22% 修繕船 ▲3% 3% 4% 16% 鉄構・機械 ▲10% 5% 9% 2% 出所:名村造船所の資料等より楽天証券経済研究所が作成
2026年3月期、2027年3月期はともに高水準の売上高と利益を維持する見通しとなっております。
<名村造船所の業績予想> (億円) 2025年3月期
実績 2026年3月期
予想 2027年3月期
予想 売上高 1,592 1,580 1,638 営業利益 295 210 - 当期純利益 262 150 212 株主資本等合計 1,048 1,193 1,369 時価総額 2,879 2,879 2,879 PBR(倍) 2.7 2.4 2.1 PER(倍) 11 17 14 出所:名村造船所、FactSetの資料等より楽天証券経済研究所が作成
造船同業他社比でPBRに割安感があり、解消されれば株価は9,200円
名村造船所の比較対象に適する造船の上場同業他社には米 ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII NYSE) 、中国の ヤンジジャン・シップビルディング(YAZG シンガポール) 、中国の CSSC・オフショア・アンド・マリン・エンジニアリング(中船海洋与防務装備)(600685 上海) などがあります。
これらの企業について、ROE(2024年度実績、2025・2026年度予想の3期分の平均)を横軸、PBRを縦軸とした散布図を作成すると、概ね比例関係にあることがわかります。その中で、名村造船所については大きく割安方向にずれており、このことから、株価に割安感があると言えます。
この割安感が解消された場合の名村造船所のPBR(下図の青破線に乗る水準)は6.1倍であり、相当する株価は9,200円です。
<主な造船企業のROEとPBRの関係>
<主な造船企業10社のROEとPBR> 社名 証券
コード 取引所 売上高 ROE PBR 億円 % 倍 HD Korea Shipbuilding 009540 韓国 28,428 18 2.8 Huntington Ingalls HII NYSE 17,498 12 3.3 HD Hyundai Heavy 329180 韓国 16,125 21 11.2 Hanwha Ocean 042660 韓国 11,995 17 8.5 Samsung Heavy 010140 韓国 11,023 15 6.4 Yangzijiang Shipbuilding BS6 シンガポール 5,607 28 2.9 CSSC Offshore & Marine 600685 上海 4,099 6 2.5 Mazagon Dock 543237 ボンベイ 2,033 32 12.7 名村造船所 7014 東京 1,592 19 2.7 Malibu Boats MBUU NASDAQ 1,209 4 1.2 ※ROEは2024年度実績、2025・2026年度予想の3期分の平均
出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成
なお、これらの企業の予想配当利回りを比較すると、名村造船所は0.9%の利回り(一株当たり配当40円で計算)となっており同業他社平均(1.3%)を下回る水準です。2024年度については平均(1.2%)を上回る2.2%でしたが、その後の株価上昇などで利回りが低下した形です。
<主な造船企業10社の配当及び総還元利回り> 社名 証券
コード 取引所 2024年度 2025年度 実績配当 総還元 予想配当 % % % HD Korea Shipbuilding 009540 韓国 0.0 0.0 2.1 Huntington Ingalls HII NYSE 2.8 4.1 1.7 HD Hyundai Heavy 329180 韓国 0.7 0.7 0.7 Hanwha Ocean 042660 韓国 0.0 0.0 0.0 Samsung Heavy 010140 韓国 0.0 0.0 0.4 Yangzijiang Shipbuilding BS6 シンガポール 4.1 4.1 4.5 CSSC Offshore & Marine 600685 上海 0.7 0.7 0.6 Mazagon Dock 543237 ボンベイ 1.5 1.5 0.7 名村造船所 7014 東京 2.2 2.2 0.9 Malibu Boats MBUU NASDAQ 0.0 6.0 0.0 出所: 各社資料等より楽天証券経済研究所が作成
ここまで述べさせて頂いた通り、名村造船所は既に株価が最高値を更新するトレンドにありますがこれは2030年までの新造船需要拡大を反映したロジカルな結果であると考えます。このような高値の状況にあっても依然として同業他社比では、現在の4,145円という株価には割安感がある状況となっており、割安感が解消しきった株価は9,200円です。
(西 勇太郎)

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