金融統計:新規融資は改善傾向、人民銀が「緩和」のシグナル発信

 中国人民銀行(中央銀行)の最新統計によると、2025年12月の人民元建て新規融資額(貸付残高の増加額:純増額)は前年同月を800億元下回る9,100億元。減少率は11月の32.8%から8.1%に縮小し、相対的に安定した数字となった。


 2025年通年では、新規融資はわずか16兆3,000億元と、前年比で1兆8,200億元減少し、ほぼ2018年並みの水準。それでも、前年の減少幅(4兆8,600億元)に比べ、改善傾向を示した。


 2025年の新規融資の減速は不動産不況に加え、中央政府が主導する地方政府の隠れ債務の置き換え措置(低金利・長期の専用債への借り換え)が背景。この措置で2025年末の貸出残高は前年同期比6.4%増から7%増に上向くが、2024年の7.6%増には届かなかった。


 ただ、この隠れ債務への対応や積極的なマクロ政策を受け、地方政府のキャッシュフローは改善し、企業のキャッシュフローと景況感も改善傾向を示したという。


 2025年の新規融資の伸びをけん引したのは、企業向け融資であり、前年を1兆1,000億元上回る15兆5,000億元。一方、不動産不況が響き、個人向けの新規融資は2025年にわずか4,420億元と、前年比で2兆3,000億元の大幅減。うち中長期融資は9,700億元落ち込み、1兆2,800億元にとどまった。


 一方、実体経済の流動性を示す中国独自の指標、社会融資総量の増加額は2025年に35兆6,000億元。国債の発行額の増加を原動力に、前年を3兆3,400億元上回った。


 続く2026年の金融政策について、中国当局は前年と同様、緩和的なスタンスを取る方針。預金準備率や政策金利の引き下げなど柔軟な政策ツールを用いることで、潤沢な流動性環境を確保し、経済成長と物価の回復につなげる方針を明らかにしている。


 同時に、社会融資コストを低水準に抑える意向。ハイテク開発、グリーン転換、消費の拡大、中小企業といった重点分野を対象に、信用面への支援を強化するとしている。


 人民銀は1月13日、各種の構造的金融政策ツールの金利を19日付で0.25%引き下げると発表した。この措置は中小企業や農村部、民営企業、ハイテク産業などの各分野が対象。商業銀行に対し、こうした重点分野への融資拡大を求めると同時に、貸出金利のさらなる引き下げを促す。


 人民銀はまた同時に、年内に預金準備率と政策金利の引き下げ余地があるとのシグナルを発した。元安圧力や銀行の純金利マージン(NIM)の縮小圧力といった逆風は、2026年には緩和に向かう可能性が高いという。


 BOCIは景気悪化を受け、民営セクターの信頼感の改善を後押しし、2026年の良好な出足を確保することが緩和措置の目的との見方。2026年には預金準備率の1-2回の引き下げ(計0.5-0.75%)と政策金利の0.1-0.2%の引き下げが行われるとみている。


 政策支援の下、社会融資規模の増分は約35兆-36兆元前後で安定的に推移するが、前年比の伸び率は2025年の8.3%から8.1%前後に減速する可能性が高いとしている。


(Bank of China int.)

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