ディスコの2026年3月期3Qは、16.8%増収、20.9%営業増益。出荷額が今2Q比18.0%増と順調だったこと、検収が進んだことが寄与。

中国向け、台湾向けが引き続き増加した。2027年3月期は、TSMCの先端パッケージング向け、HBM向け、中国向けに期待できるため、好業績が予想される。楽天証券の目標株価を引き上げる。


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「 決算レポート:ディスコ(業績堅調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か) 」


毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄: ディスコ(6146、東証プライム)


1.ディスコの2026年3月期3Qは、16.8%増収、20.9%営業増益。

 ディスコの2026年3月期3Q(2025年10-12月期、以下今3Q)は、売上高1,092.91億円(前年比16.8%増)、営業利益473.40億円(同20.9%増)となりました。会社予想の売上高926億円、営業利益328億円を大幅に上回りましたが、これは検収が進捗したこと、精密加工ツール(ブレード)、その他(切削水用添加剤、各種付属品等)の消耗品出荷が堅調だったこと、円安の寄与(当初前提は1ドル=145円、実績は1ドル=155.7円(1ドル=1円の円安で営業利益に対して17億円のメリット)によります。


 今1Q、今2Qと一桁増収増益が続きましたが、今3Qは二桁増収増益となりました。


 また、今3Q出荷額は当初会社予想の1,016億円に対して、1,136.65億円(前年比3.1%増、今2Q比18.0%増)となり、会社予想を約120億円超過しました。

ダイサ、グラインダ等の機械装置で約50億円(主に台湾向け、中国向け出荷の前倒し)、精密加工ツール(予想が保守的だった)とその他の消耗品で約20億円、改造案件を含むその他の案件で約50億円の上振れがありました。出荷増だけでなく、円安の寄与もありました。


 製品別出荷額を見ると、ダイサ、グラインダ、精密加工ツール(ブレード)、その他(切削水用添加剤、各種付属品等)が今2Q比増加しました。用途別出荷額を見ると、今2Q比ではAI半導体向けが増加しましたが、HBM(AI半導体に搭載する大容量高速広帯域の特殊メモリ)向けは減少しました。また、これまで減少してきたパワー半導体向けが増加しました。OSAT(後工程専門業者)向けは増加しました(出荷構成比30%弱。今2Qも30%弱)。


 国別売上高を見ると、今2Q比では中国向けが大きく伸びました。ロジック、メモリ向けともにOSAT(後工程専門業者)向けが伸びました。中国向けにはHBM向けが含まれている可能性もあります(中国のDRAM最大手、CXMTは「HBM3」をサンプル出荷中と言われている)。また、台湾向けも堅調でした。OSAT向けだけでなく、TSMCが進める先端パッケージング向けが増加していると思われます。


 一方で、韓国向け、米国向けは今2Q比減少しました。韓国向け、米国向けにはHBM向け(主にグラインダ)が含まれており、これが減少したと思われます。


表1 ディスコの業績
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
株価 67,950円(2026/1/23)時価総額 7,367,886百万円(2026/1/23)発行済み株数 108,431千株単位:百万円、円出所:会社資料より楽天証券作成注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表2 ディスコ:連結売上高、出荷額
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
単位:百万円、%出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ1 ディスコ:売上高、受注高、出荷額と営業利益(連結ベース)
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成、注:受注高は2023年3月期1Qより非開示

グラフ2 ディスコの営業利益率
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
単位:%、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ3 ディスコの製品別出荷額
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
単位:100万円、出所:会社資料より楽天証券作成、注:2026年3月期4Q楽天証券予想は前四半期比会社予想増加率をもとにした楽天証券予想

グラフ4 ディスコの地域別売上高
決算レポート:ディスコ(業績順調。2027年3月期は二桁増収増益に復帰か)
単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成。注:会社開示の国別売上構成比より楽天証券計算

2.2027年3月期は20%以上の増収増益になる可能性がある。

 2026年3月期4Qの会社予想は、売上高1,152億円(前年比4.6%減)、営業利益459億円(同11.3%減)、2026年3月期通期会社予想は、売上高4,190億円(同6.5%増)、営業利益1,721億円(同3.2%増)です。今4Qの出荷額会社予想は1,169億円(今3Q比2.9%増)と高水準で、会社予想売上高も高水準ですが、前4Qの売上高、営業利益が高水準だったこと、販管費の増加によって、今4Qは減収減益となる見込みです。ただし、検収が予定よりも進めば上乗せが期待できると思われます。


 製品別出荷額については、会社側は、AI半導体向けは高水準を持続、HBM向けは増加、DRAM、NAND向けも増加、OSAT向けも大手向けが増加すると見ています。OSAT向けについては従来生成AI向けは少量でしたが、今4Qにまとまった出荷がある可能性があります。ただし、パワー半導体向けは再び減少する見込みです。


 来期2027年3月期は好業績が期待できます。TSMCは2026年12月期設備投資予想を520~560億ドルとしており、2025年12月期409億ドルから27.1~36.9%増となります。この内訳は、70~80%が先端プロセス技術、10%が特殊技術、10~20%が先端パッケージング、テスト、マスク製造などです。

ちなみに、TSMCの2025年12月期3Q決算発表時の2025年12月期設備投資予想400億ドルの使途は、約70%が先端プロセス技術、10~20%が特殊技術に、10~20%が先端パッケージング、試験、量産です。ディスコに関連するのは、先端パッケージングなので、先端パッケージングについては30%以上の伸びが期待できると思われます。


 また、韓国向け、米国向けの「HBM4」向け(エヌビディアが2026年後半に出荷開始する予定の次世代AI半導体「Rubin(ルービン)」に次世代HBMである「HBM4」が搭載される予定)、中国のOSAT向け、HBM向けにも期待できると思われます。中国向けはAI半導体、通常のロジック半導体、DRAM、NAND、HBMと様々な半導体の増産が進んでいるため、ダイサ、グラインダの需要にも期待できます。


 一方で、パソコン、スマートフォン、AIサーバーと非AIサーバーについては、DRAM、NAND価格上昇によってパソコン、スマートフォン、サーバー価格が上昇し、需要に悪影響がでることが懸念されます。また、生成AI向け設備投資に過剰投資懸念が出ていることもリスクです。


 これらのプラス材料、マイナス材料を考慮して、楽天証券では、2026年3月期を売上高4,340億円(前年比10.3%増)、営業利益1,810億円(同8.5%増)、2027年3月期を売上高5,400億円(同24.4%増)、営業利益2,350億円(同29.8%増)と予想します。


3.今後6~12カ月間の目標株価を前回の6万4,000円から8万5,000円に引き上げる。

 ディスコの今後6~12カ月間の目標株価を前回の6万4,000円から8万5,000円に引き上げます。


 楽天証券の2027年3月期予想1株当たり利益(EPS)1,593.6円に今の評価に近い想定株価収益率(PER)50~55倍を当てはめました。PERはすでに高水準ですが、台湾の先端パッケージング向け、韓国、米国のHBM向けだけでなく、中国のOSATとHBM向けの成長性を考慮しました。
引き続き中長期で投資妙味を感じます。


本レポートに掲載した銘柄: ディスコ(6146、東証プライム)


(今中 能夫)

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