2026年1月26日の朝(日本時間)、ついにニューヨークの金(ゴールド)先物価格が5,000ドルを超えました。水準の高さもさることながら、到達までのスピードが速かったことにも注目が集まっています。
金(ゴールド)5,000ドル、銀は100ドル
冒頭で述べたとおり、NYの金(ゴールド)先物価格(中心限月)は、はじめて、1トロイオンスあたり5,000ドルを超えました。長い歴史を持つ金(ゴールド)相場において、たった2年間で価格が2.5倍にもなりました。
図:NY金(ゴールド)・銀(シルバー)先物価格の推移(月足 1975年1月~2026年1月) ドル/トロイオンス
そして、金(ゴールド)と同じ貴金属に分類される銀(シルバー)の価格が、100ドルという節目に達しました。2026年1月は、金(ゴールド)が5,000ドル、銀(シルバー)が100ドルに到達するという、大変に大きな節目となりました。
図:日本のプラチナ指輪価格(1個あたり 東京都区部)とプラチナ現物価格(税抜)
また、同じ貴金属に分類されるプラチナ(白金)の価格の上昇も目立っています。特に2025年の春ごろからの上昇率の大きさには、目を見張るものがあります。国内のプラチナ現物価格は、9カ月(2025年5月~2026年1月)で約2.7倍に上昇しました。
こうした影響を受けてか、東京都区部のプラチナ指輪価格(1個、税込)価格は、今月に12万円に接近しました。プラチナ価格が急上昇する直前の2025年4月と比べると、2割程度、高くなっています。
プラチナと銀(シルバー)価格上昇の背景
世界の貴金属価格が象徴的な節目に到達したり、わたしたちの身近にある貴金属関連の品の小売価格が大きく上昇したりしています。
この背景を示した図が、以下です。左側から金(ゴールド)価格上昇をきっかけとした上昇圧力がかかっています。金(ゴールド)という、貴金属の最有力銘柄の価格が上昇すると、物色の矛先が他の貴金属に向く傾向があります。
その際、プラチナは、日本などで価格が金(ゴールド)よりも安いことに関心が集まり、銀(シルバー)は、米国などで個人投資家でも買いやすいというイメージが大きくなり、それぞれへの価格上昇圧力が増幅されます。
図:プラチナと銀(シルバー)価格の上昇の背景
右側からは、世界情勢をきっかけとした上昇圧力がかかっています。景気回復期待やESG(環境、社会、企業統治)推進観測が、プラチナと銀(シルバー)の産業用需要の増加観測を生んだり、世界分断に端を発する資源の武器利用の懸念が供給減少懸念を生んだりしています。
こうした金(ゴールド)価格上昇をきっかけとした上昇圧力と、世界情勢をきっかけとした上昇圧力がプラチナと銀(シルバー)の相場にそれぞれ同時にかかっていることが、これらの貴金属価格の上昇の要因であると考えられます。
ポピュリズムとハイテクと非伝統的な有事
ここからは、金(ゴールド)相場の長期視点の動向について、考えていきます。この考えは、プラチナと銀(シルバー)の長期視点の価格動向を考える際の、大きなヒントになり得ます。
筆者は常々、新しい技術は人類に幸福をもたらすのか?という問いを頭の中に置いています。一消費者として、SNSやAIなどの最新技術を使う中、こうした技術が人類に幸福をもたらしていると考えることも、しばしばあります。
たた、同じくらいの頻度で、こうした技術が人類に幸福をもたらしていないと考えることもあります。新しい技術が人類に幸福をもたらしていないことを整理すると、以下のようになります。
図:ポピュリズムとハイテクがもたらしているマイナスの相乗効果
軍事、一般(個人・国)、政治の各分野において、攪乱(かくらん)、浸透、分断などの工作の際の道具になったり、真実が乱立したり、人間の受容力が低下したりすることが、世界各地で起きています。
また、ポピュリズム(大衆迎合主義)と交わることで、クレクレ民主主義(すぐにメリットを与えてくれる政治家・リーダーが支持される状態、また、それを逆手にとり、大衆にすぐにメリットを与えて支持を獲得しようとする政治家・リーダーが増える状態)が台頭することがあります。
さらには、クレクレ民主主義が市場に及び、市場が緩和的な措置(資金供給や金利引き下げ)を催促する場面もあります。
ポピュリズムとハイテクは、軍事、一般、政治の各分野で、民主主義後退、世界分断深化、資源武器利用横行、長期視点のインフレ継続、通貨の不確実性増加という目に見えない有事を拡散していると考えられます。
この目に見えない有事は、目に見える戦争やテロなどの伝統的な有事と対照的な有事であるため、「非伝統的な有事」と呼ぶことができます。この「非伝統的な有事」は、筆者が提唱する現代の金(ゴールド)相場を考える際に必要な「七つのテーマ」のうち、最も時間軸が長い超長期に分類されるテーマです。
先述のとおり、ポピュリズムとハイテクは、人類に幸福をもたらしている面もあるため、これらを簡単に善と悪、どちらかに分類することはできません。
ただ一つ言えることは、超長期視点で金(ゴールド)相場、引いてはプラチナと銀(シルバー)相場の動向を考える際、「非伝統的な有事」を説明する際に重要な役割を果たす「ポピュリズムとハイテクがもたらすマイナス面」を無視してはいけない、ということです。
「クレクレ民主主義」はS&P500急騰の一因
以下のグラフは、米ドルの通貨供給量(M2)の推移を示しています。1971年のニクソンショックを機に、米ドルは金(ゴールド)の量にかかわらず発行できるようになりました。ここからおよそ40年間、経済発展のための通貨供給が続きました。
しかし、2008年に百年に一度と言われた大規模な金融恐慌「リーマンショック」が発生したり、2020年に新型コロナがパンデミック化して世界が大混乱に陥ったりした時、通貨供給は経済発展だけでなく、景気刺激という意味を持ち合わせるようになりました。
2010年ごろは、ハイテク関連の機器が世界に広く普及し始めたタイミングでした。こうしたタイミングにあって、経済発展・景気刺激策を求める主要国のリーダー、そして市場が催促するような動きを見せていました。
図:米ドルの通貨供給量(M2) 単位:10億ドル
当時は、「クレクレ民主主義」という言葉はあまり聞きませんでしたが、各種報道の中には確かに「金融緩和の催促相場」という言葉が散見されていました。
「クレクレ」が功を奏してか、グラフのとおり、米ドルの通貨供給量は急増していきました。
これに関連する、S&P500種指数の推移を確認します。NY金(ゴールド)先物価格の推移と重ねてみて分かる通り、2010年ごろ以前は、「株と金が逆相関」であったり、有事やインフレが目立ったりした場面では、上値を伸ばすことが難しい状態でした。
図:NY金(ゴールド)先物価格とS&P500種指数の推移(月足 1975年1月~2026年1月)
しかし、ポピュリズムとハイテクが拡大し始めた2010年ごろ以降は、ショックが冠された幾度もの下落をこなしながら、力強く上昇してきました。2010年に比べると、同指数は実に7倍程度になりました。
こうした上昇の背景に、先ほど確認した「クレクレ民主主義」をきっかけとした、資金供給量の急増が挙げられるのではないかと、筆者は考えています。多くのアナリストは「株価は企業業績で決まる」と述べますが、「ポピュリズムとハイテクのマイナス面がもたらしたクレクレ民主主義」も、株価急上昇の一因であると考えています。
長期視点で6,000ドル到達もあるだろう
ポピュリズムとハイテクは、軍事、一般、政治の各分野で、民主主義後退、世界分断深化、資源武器利用横行、長期視点のインフレ継続、通貨の不確実性増加という、「非伝統的な有事」を拡散している側面があると述べました。
この「非伝統的な有事」は、筆者が提唱する現代の金(ゴールド)相場を考える際に必要な「七つのテーマ」のうち、最も時間軸が長い超長期に分類されるテーマです。以下は、その七つのテーマの全てです(2026年1月時点)。
図:ドル建て金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2026年)
時間軸を三つに分けています。数秒から数カ月程度の短中期には、伝統的な有事、代替資産(株と逆相関)、代替通貨(ドルと逆相関)が、数カ月から数年程度の中長期には、宝飾需要、鉱山会社、中央銀行が、それ以上の期間を想定する超長期には、非伝統的な有事を置いています。
非伝統的な有事を拡散するポピュリズムとハイテクについては、ポピュリズムが人間の素の感情を起源としていること、ハイテクが豊かさの象徴であり人間の望みを具現化したものであることを考えれば、両者を人間から取り上げることは大変に困難であると言えます。
その意味で、非伝統的な有事は超長期視点で存在し続け、引いてはそれが、金(ゴールド)相場に超長期視点の上昇圧力をかけ続けると言えます。
こうした動きは「中央銀行」にとっては、金(ゴールド)保有量を増加し続ける動機になり得ます。中央銀行全体の金(ゴールド)保有において、目立った買い越し(購入量>売却量)がはじまったタイミングが「2010年」だったことは、中央銀行が全体として非伝統的な有事を認識していることを示唆していると、筆者はみています。
現代の金(ゴールド)相場を分析し、今後を展望する際に、以下のイメージ図が役立つと考えています。
図:ドル建て金(ゴールド)価格の変動イメージ
現代の金(ゴールド)市場の環境は以下です。
- 一つのテーマだけで動いていない。
- 短中期の三つのテーマは絶えず上下の圧力を発し、それらは相殺され続けている。
- 長期の価格上昇を支える「土台」がある。
- この土台は「中央銀行」と「非伝統的な有事」で築かれている。
- 「非伝統的な有事」は、ポピュリズムとハイテクのマイナス面が強く関わっている。
筆者は、今後、この環境が大きく変わることはないとみています。つまりそれは、ポピュリズムとハイテクのマイナス面が強く関わる「非伝統的な有事」、それに関わる「中央銀行」によって築き上げられた「土台」が崩れることは考えにくく、それによって金(ゴールド)相場が支えられ続けられるのではないか、ということです。
NY金(ゴールド)先物は5,000ドルに到達しました。2026年の価格見通しについては、以前の「【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する」を踏襲しますが、長期視点では、短中期の三つのテーマによってもたらされる細かい上下をこなしながら、6,000ドルに到達する可能性があると考えています。
2025年12月16日: 【大予測】2026年も株と金(ゴールド)が最高値を更新する
[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例
純金積立
純金積立・スポット購入
投資信託
※「楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし/あり)」「楽天・プラチナ・ファンド(為替ヘッジなし)」の当初募集期間は1月13日(火)~1月19日(月)15時まで、運用開始日(設定日)は1月21日(水)。
三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし/あり)
楽天・プラチナ・ファンド(為替ヘッジなし)
中期:
関連ETF
SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
GXゴールド(425A)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
短期:
商品先物
国内商品先物
海外商品先物
CFD
金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム
(吉田 哲)

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