意外と複雑で難解な配当金の税金。確定申告シーズンに、ぜひ知っておいていただきたい注意点を税理士の視点からお伝えしていきます。


2/16~3/16まで!確定申告:最低限知っておきたい「配当...の画像はこちら >>

配当金を申告するかどうか、どう選定する?

 前回のコラムで配当金の税金の概略についてお伝えしました。今回はその続きとして、ぜひ知っておきたい個別の論点をお伝えしようと思います。


 前回の復習になりますが、配当金・分配金(以後まとめて「配当金」と表記します)にかかる税金の課税方法は、以下の3種類あります。


(1)源泉徴収により所得税・住民税合計で20.315%が自動的に差し引かれている
(2)総合課税により確定申告する
(3)申告分離課税により確定申告する


 配当金を確定申告する、しないの判断方法にはルールがあります。もし、配当金の受け取り方法として、株式数比例配分方式(証券会社の口座に配当金を受け入れる)を選択している場合は、受け入れた配当金の全額を確定申告するかしないか、その口座ごとに判断することになります。


 それ以外の配当金受け取り方法の場合は、受け取った配当金1件ごとに、確定申告するかしないかを決めることができます。


 例えば10銘柄に投資していて、1銘柄につき1回あたり10万円の配当金を受け取っていた場合(10万円×10銘柄=合計額100万円)で考えてみます。


 この10銘柄全部の配当金を、A証券会社の特定口座で受け入れている場合は、100万円全額を申告するか、まったく申告しないかの判断となります。


 もしA証券で6銘柄(10万円×6銘柄=60万円)、B証券で4銘柄(10万円×4銘柄=40万円)を受け入れている場合、


  • A証券会社、B証券会社とも申告する(100万円)
  • A証券会社のみ申告する(60万円)
  • B証券会社のみ申告する(40万円)
  • A証券会社・B証券会社とも申告しない(ゼロ)
  • という、四つの選択肢があります。


     そして、全ての配当金につき、株式数比例配分方式以外(例えば銀行振り込み)で受け取っている場合は、100万円全額を申告してもよいし、ゼロでもよいし、10万円、20万円でもよいことになります。


     国民健康保険料や、各種所得控除などに与える影響を踏まえ、配当金をいくら申告するのが最も有利かは、一人一人ケースによって異なるのですが、株式数比例配分方式より他の方式で配当金を受け取った方が、より柔軟に対応することができます(ただし、株式数比例配分方式を選択した方が有利な点もあるので、一概にどれが有利かは断言できません)。


    申告する場合は「総合課税」「申告分離課税」のいずれか一つのみ

     配当金を確定申告する際のルールとして、総合課税と申告分離課税の両方を同じ年に使うことはできないことになっています。どちらか一つのみを選択することになります。


     なお、例えば申告する配当金については総合課税で申告する一方、申告しない(何もしない)配当金もある、という場合は問題ありません。


     あくまでも「確定申告することを選択した配当金については」総合課税か申告分離課税のどちらかに統一しないといけない、というルールです。


     これも、国民健康保険料や各種所得控除、そして当年度の譲渡損失の額や過年度から繰り越してきている譲渡損失の額により、どちらを選ぶのが有利かは異なりますので、しっかりとシミュレーションをして決めるようにしてください。


    源泉徴収ありの特定口座+株式数比例配分方式の場合の申告ルールは?

     源泉徴収ありの特定口座、かつ配当金を株式数比例配分方式で受け取っている場合、譲渡所得(譲渡損失)も、配当金も確定申告するかどうかを決めることができます。


     この際、譲渡所得(譲渡損失)と配当金とを、別々に申告するかどうかの判断ができます。


     例えば配当金は確定申告するが譲渡所得は申告しない、という選択も可能となります。これもご自身でどの選択をするのが有利かをシミュレーションして、決定するようにしましょう。


     なお、源泉徴収ありの特定口座、かつ配当金を株式数比例配分方式で受け取っている場合で、譲渡損失が生じている場合、証券会社の方で配当金と損益通算してくれます。


     このケースにおいては、申告するのであれば譲渡損失と配当金の両方を申告する必要があるので、注意してください。


    申告後に、誤りに気づいたら?

     配当金について申告した後に、別の選択肢の方が有利だったことに気づいたり、そもそも申告していなかったが、申告した方が有利だった、ということもあると思います。


     まず、すでに確定申告した場合で、まだ申告期日が到来する前であれば、確定申告の出し直し(「訂正申告」と言います)をすることで、有利な方法に訂正することができます。


     また、そもそも確定申告そのものをしていない場合で、申告した方が有利なことに気づいた場合は、「期限後申告」という形で確定申告ができます。


     しかし、配当金について申告した・しないにかかわらず、すでに確定申告をして、申告期日が過ぎた後に、より有利な方法に修正することはできません。


     まだ申告期日までは時間があります。

    期日を過ぎてしまうと有利に修正することはできません。すでに確定申告した方も、この機会に再度内容を見直し、より有利な選択肢が見つかった場合は、申告期日内に訂正申告を行うなど検討してみてください。


    (足立 武志)

    編集部おすすめ