中国の人口減少と高齢化に歯止めがかかりません。2025年の総人口は339万人減で、出生数は建国以来最少でした。
総人口339万人減、高齢化、いびつな男女比
1月下旬、中国国家統計局が発表した2025年の主要経済統計結果とその示唆に関してレポート『中国の2025年GDP「5.0%増」をどう読むべきか?』を配信し、国内総生産(GDP)、生産、消費、投資、貿易、デフレ、不動産などの統計から中国経済を巡る現在地と先行きを分析しました。
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中国の2025年GDP「5.0%増」をどう読むべきか?
その中で、十分に触れることができなかった「人口」というテーマを本稿では取り上げます。
1月に発表された人口に関する統計によれば、中国の総人口は2025年末時点で14億489万人となり、2024年末から339万人減りました。4年連続の減少です。出生人数は前年比162万人減の792万人で、1949年の建国以降、最少でした。死亡人数は1,131万人です。「出生人数が建国後最少」というのはインパクトのある事象だと私は受け止めています。
中国経済を分析する際により重要なのは、総数よりも、その内訳や中身です。今回の人口統計でも、着目すべきポイントが二つあります。
一つ目が高齢化です。65歳以上が全人口に占める割合は15.9%に上昇しました。
二つ目が男女比率です。今回発表された統計では、男性7億1,685万人に対し、女性6億8,804万人。男性100人に対して女性が96人しかいないといういびつな構造が明らかになりました。中国人民の間では伝統的に男の子が生まれてくることを望む傾向があり、特に肉体労働者としての人手や農業の跡継ぎが欲しい農村部ではこの傾向が強いです。
この伝統や傾向がどこまで昨今の男女比に反映されているかに関しては、より詳細かつ専門的な研究が必要だと思いますが、結果・現状としてのこのいびつさは、あらゆる形で中国の経済社会、場合によっては政治にまで影響するでしょう。
実体験に基づく中国人民の「一人っ子政策」に対する考え方
ここで、私の実体験に基づいて、中国人民がそもそも人口を巡る制度や問題をどう捉えているのかを改めて考えてみたいと思います。
私は2003年から2012年の約10年間を北京で過ごしました。滞在期間は、今の習近平政権の前、胡錦濤(フー・チンタオ)政権時代とほぼ重なっています。建国の父・毛沢東によって引き起こされた「文化大革命」を経て、改革開放の時代に入った1979年から始まった「一人っ子政策」が続いていました。
中国へ赴く前、私は1979年以降に生まれた人々はほとんど一人っ子だと思っていたというのが正直なところです。私が学んでいた北京の大学では、同級生が1980年代中盤で皆「一人っ子世代」でした。
しかし、私の同級生や友人たちに聞いてみると、都市部から来ている学生を中心に大多数の学生は一人っ子ですが、農村部や南部から来ている学生では、2人兄弟、3人姉妹というケースも多々ありました。
「一人っ子政策」が国策なのになぜ兄弟・姉妹がいるのかを、私なりに時間をかけて断片的に状況を把握し、整理していくと、ある程度普遍的と思われる実情が浮かび上がってきました。
- 農村部を中心に、制度よりも慣習がモノをいう場合もある
- 制度やルールが厳格に守られていない地域も、農村部を中心にある
- 「一人っ子政策」という計画生育に背いていることを自覚し、罰金を払ってでも2人目、3人目を産む親もいる
- 「本当は兄弟・姉妹が欲しかった」と考える学生は少なくない
- 両親は(多くの)兄弟・姉妹がいるのにもかかわらず、自分たちは「一人っ子」だという状況を、人口構造や経済社会問題の観点から問題視する学生も少なくない
一時期中国では「80後」(バーリンホウ)、すなわち1980年代に生まれた世代を指す言葉がはやりました。「90後」「00後」といった言い方も普遍的ですが、要するに、世代間ギャップの存在を浮き彫りにする、世代ごとに異なる特徴があるという前提で議論をするという風潮が、私が北京に滞在していたころにもありました。
そして、「最初の一人っ子世代」である80後たちの特徴として、よく提起されていたのが「自分勝手」「自立心の欠如」「協調性の欠如」、そしてその裏返しとして「子離れできない親」といったものがありました。いずれも、国策である「一人っ子政策」がもたらした、相当程度必然的な帰結と言えたと思います。
少子高齢化の流れに歯止めはかかるのか?経済の持続的成長への影響は?
その後、35年間続いた「一人っ子政策」は、2014年に緩和され、中国当局は2人目までの出産を認める「二人っ子政策」をスタートさせます。それからさらに5年が経った2021年には、3人目の出産までを認める「三人っ子政策」に移行しました。
3人目まで認めるなら、一層のこと計画生育そのものを廃止すればいいのではないか、という問題提起もできますが、ここでは深入りせず、この議論は別の場に譲りましょう。
中国政府が国策である計画生育の中身を、一人っ子から二人っ子へ、さらに三人っ子まで「緩和」してきた動機は明確で、人口構造がいびつになり、かつ社会の近代化の当然の帰結として、寿命が伸び続ける中、少子高齢化社会という見えすぎる未来に向き合うにあたり、そろそろこのあたりで手を打たないと取り返しがつかなくなる、と考えたからです。
人口構造が1年や2年では変わらない、10年単位の長期間を費やさなければ効果が可視化されない分野であれば、なおさらです。
そして、人口状況・構造を巡る現状は、冒頭で紹介した通り。
一つ目が、政府が3人目まで認めると言っても、それに呼応して「じゃあ複数人産もう」という動機を持ち、行動に移す男女はそこまで多くないという点です。私の同世代にも、政府による緩和策を受けて、2人目、3人目を設けた夫婦はいますが少数です。
とてつもない競争社会である中国において、親は子の教育に巨額の投資をしますから、そもそも富裕層でないと複数の子供を育てるのは難しいという実態があります。
二つ目に、政府は出生数を増やすために手を打っているという点。
例えば、3歳未満の乳幼児がいる世帯への出産支援策として、子供1人につき年間3,600元(約8万円)の支援金の申請を可能にする制度。3歳未満の乳幼児を対象に、子女教育などに関わる個人所得税の特別控除政策を実施し、かつ控除額を子供1人当たり月額1,000元から2,000元に引き上げるといった制度を実施しています。
ただ、これらの制度がどの程度功を奏すのか。この程度の支援策で、多くの若年層が「2人目、3人目を産もう」という動機を見いだせるのかに関しては、少なくとも不透明だと思います。
三つ目に、速度や程度はどうあれ、少子高齢化が着実に進んでいくとして、経済が持続的に成長していくのかという点。高齢者が増え、生産年齢人口が減っていくという意味で、中国は日本と同様の未来に直面せざるを得ないのでしょうが、一方で、中国では少子高齢化と同時に、経済社会のデジタル化が猛スピードで進んでいます。
人工知能(AI)、ロボット、無人化といった先端技術をベースにしたデジタル社会が、生産性の維持と向上にどの程度寄与するのか、少子高齢化現象が持続的成長にもたらす負の側面を上回るほどの威力と潜在力を発揮するのかどうか。中長期的にウオッチしていきたいと思います。
(加藤 嘉一)

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