前編では、海外有名ブランド店元社員からFIREを達成するまでの道のりと「守りの投資」への転換について語ってくれたかつさんどさん。後編では、FIRE生活8年目を支えるJ-REIT投資術を完全公開。

なぜ、新NISAで買うべきは人気株ではなくREITなのか。初心者でも再現できる鉄壁のポートフォリオの作り方から、注目銘柄まで解説していただきました。


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「J-REIT投資」と「みんなで大家さん事件」は別物!安全な不動産投資の見極め方

トウシル:具体的なノウハウを伺う前に、一つ聞いておきたいことがあります。不動産投資というと、年配の方ではバブル崩壊、若い方は「みんなで大家さん」に関する行政処分のニュースなどもあり、少し怖いイメージを持つ人もいるかもしれません。


かつさんどさん:そこは明確に区別して理解していただきたい重要なポイントです。「みんなで大家さん」のような不動産小口化商品と、国内の不動産投資信託(J-REIT。以下、REIT)は仕組みそのものがまったくの別物だからです。


 最大の違いは「透明性」と「規制」、そして「開発リスクの有無」です。REITは国の認可を受け、東京証券取引所に上場しており、上場企業並みの厳しい情報開示義務があります。一方で、一部の小口化商品のような問題になる商品は、情報開示が不十分だったり、リスクの高い「開発案件」を含んでいたりします。


トウシル:開発案件とはいったいどんな案件ですか。なぜ高いリスクがあるのでしょうか。


かつさんどさん:はい。

更地に建物を建てて収益化を目指す、つまり、まだ建っていない建物を「開発」する前から募集するのが「開発型」です。計画時には大きなリターンが見込まれていても、工事の遅れや材料費高騰などにより、開発が計画通りに進まないリスクがあります。


 対するREITは、原則として開発物件の組み入れが制限されており、すでに完成して「稼働中」の優良物件からの家賃収入を分配する仕組みです。つまり、REITの投資対象は「プロが精査し、すでに人が住んで家賃が発生している物件」だけが投資対象なんです。


 素人がリスクの高い開発案件に手を出すのと、プロが管理する稼働済み物件のオーナーになるのとでは、安全性が天と地ほど違います。まずはこの違いを理解することが、不動産投資の第一歩ですね。


利回り4.5%超!新NISA成長投資枠はJ-REITの指定席!:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー後編
不動産に関する「危険なイメージ」は、REITを知ることで払しょくできる、とかつさんどさん。日本には現在、58本のJ-REITが上場しているが、東証の厳しい審査をクリアした、選ばれし58銘柄。不動産のプロが管理し、投資のプロが運営する、お墨付き銘柄といえる。

まずはここから!失敗しないための「セクター」選び

トウシル:仕組みの違いがよく分かりました! では、そのREITの中で、初心者はどこから手をつければいいのでしょうか?


かつさんどさん:まず、REITには投資対象となる不動産の用途(セクター)が主に五つあります。これらを「リスクが低い順(守りが堅い順)」に並べると、以下のようになります。


【低リスク(守り)】 住宅 < 物流施設 < オフィス < ホテル < 商業施設 【高リスク(攻め)】
利回り4.5%超!新NISA成長投資枠はJ-REITの指定席!:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー後編
不景気でも必要な「住宅」や「物流」はリートセクターとして最も低リスク。不景気(コロナショックなど発生時)だとテナントが埋まらない「オフィス」や、旅行控えが打撃になる「ホテル」は高リスク。景気がよい時と悪い時で大きな差が出がちな「商業施設」は高リスクと分類できる。58本あるJ-REITには、一つだけ「ヘルスケアセクター」の銘柄もあり。これらを合わせた「複合型」もある。

 私が初心者の方に最もおすすめしたいのは、一番左にある「住宅(レジデンス)」です。なぜなら、不景気になっても、人は住む場所を簡単には捨てないからです。


 家賃には、一度上がると下がりにくい「下方硬直性」という性質があります。コロナ禍を思い出してください。来客数が激減したホテルや商業施設は、宿泊費収入や賃料収入が激減したため、ホテル特化型REITの中には分配金が70~80%減少した銘柄もありました。

その点、マンションの家賃収入にはほとんど影響がありませんでした。


 さらに、オフィスビルなら大口テナントが1社抜けただけで空室率が跳ね上がりますが、マンションなら200戸あれば200の契約に分散されていますので、数部屋空いても収益全体への影響は軽微なんです。これが、私が不動産投資に求める「鉄壁の守り」の正体です。


トウシル:なるほど! まずは「住宅」で守りを固めるのが鉄則なんですね。


かつさんどさん:その通りです。そして次におすすめなのが「物流施設」です。楽天やAmazonなどのネット通販(EC)市場は拡大の一途をたどっていますが、日本のEC化率はまだ伸びしろがあります。物流施設は一度テナントが入ると5年、10年といった長期契約になることが多く、収益が非常に安定しているんです。


 逆に、ホテルやオフィスは景気に左右されやすい「攻め」のセクターです。景気回復期には大きなリターンを狙えますが、私のように「資産を守りながらFIRE生活を維持したい」と考える人には、やはり住宅と物流をおすすめします。


新NISAの「成長投資枠」こそREITの指定席

トウシル:2024年から始まった新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)ですが、REITとの相性はどうだと思われますか?


かつさんどさん:抜群にいいです。REITって、新NISAの成長投資枠で買えるんですよ! つみたて投資枠でインデックスファンドを買ったけど、成長投資枠の使い道に迷っている…という方にとって、REITはまさに指定席だと言ってもいいでしょう。


 REITの分配金には、株式投資と同様に約20%の税金がかかります。

例えば利回り4%の銘柄を買っても、手取りは3.2%くらいに減ります。せっかくの高利回りが目減りするのは痛いですよね。しかし、新NISAなら丸々4%受け取れます。安定した分配金を税金ゼロで受け取れる効果は、長期的に見れば、リターンへの影響は非常に大きいです。


 しかもREITは、一度買えば自動的に決算ごとに分配金が振り込まれますので、再投資の手間もありません。キャピタルゲイン狙いのハイテク株は値動きが激しくハラハラしますが、インカム狙いのREITをポートフォリオに組み込んでおけば、継続して非課税で入ってくるお金を待っていられます。


 この安定感こそが、長く投資を続けるための最大の武器になるはずです。投資を始めるきっかけとしても安心ですし、退職金の運用先としても比較的堅実な選択肢になると思います。


デジタル社会のインフラを押さえる「データセンター特化型REIT」

トウシル:今後のREIT市場で注目しているトレンドはありますか?


かつさんどさん:今後、間違いなく来ると確信しているのが「データセンター」です。AIやクラウドサービスの普及で、データセンターは今や電気や水道と同列の、デジタル社会におけるライフラインのひとつになりました。今はAmazonやGoogleなどがこぞって日本に建設していますが、まだまだ足りていません。


 これまでのREITは、データセンターの中核であるサーバー冷却装置などの設備を資産として組み入れることが難しかったのですが、法改正でそれが可能になりました。


 データセンターは一度契約すれば10年単位で使ってもらえるため、物流施設のように非常に安定した収益が見込めます。

今後登場するであろう「データセンター特化型REIT」は、新しい安定収益の柱として大いに注目しています。 


利回り4.5%超!新NISA成長投資枠はJ-REITの指定席!:REIT投資家・かつさんどさんインタビュー後編
住宅、物流施設、オフィス、ホテル、商業施設の5セクターに追加して、データセンター特化型の登場も予測。半導体などをメインとしたハイテクセクターが強い昨今、拡大が期待できるセクターになるはず!と期待を寄せる。

投資に疲れた人こそREITを

トウシル:最後に、投資を始めたばかりでREITをよく知らない個人投資家さんにメッセージをお願いします!


かつさんどさん:株式投資をしていて、毎日の乱高下に一喜一憂して疲れてしまっている人は、ぜひ資産の一部をREITに移してみてください。


 私自身、デイトレードで精神を消耗した経験があるからこそ言えますが、REITが運んでくれる定期的な分配金は、強力な精神安定剤になります。「たとえ株価が下がっても、家賃収入は変わらず入ってくる」という安心感があれば、投資を長く、楽しく続けられるはずです。


 新たな分散先を探している方、不動産投資に挑戦するきっかけを探している方は、まずは数万円分から始めてみてください。自分だけの賃料収入生活を体感していただきたいです。


トウシル:目からうろこの、貴重なお話をありがとうございました!


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(トウシル編集チーム)

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