ASMLホールディングの2025年12月期4Qは、4.9%増収、2.3%営業増益。受注高が全社、EUV露光装置ともに過去最高となった。
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「 決算レポート:ASMLホールディング(2025年12月期4Qは受注高が過去最高となった) 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)
1.ASMLホールディングの2025年12月期4Qは、4.9%増収、2.3%営業増益。
ASMLホールディングの2025年12月期4Q(2025年10-12月期、以下前4Q)は、売上高97.18億ユーロ(前年比4.9%増)、営業利益34.31億ユーロ(同2.3%増)となりました。期末で検収が増えたため、前3Q比では大幅増収増益となりました。
売上高のうち、システム売上高(ハードウェア)は前3Q55.54億ユーロから前4Q75.84億ユーロへ増加し、サービス売上高(ソフトウェアのインストール、サポート等)は同19.62億ユーロから21.34億ユーロへ増加しました。
機種別に見ると、EUV露光装置は、販売台数が前3Q9台から前4Q14台に増加しました。販売単価が同2.35億ユーロから2.60億ユーロへ上昇したため、売上高は同21.11億ユーロから36.40億ユーロへ増加しました。
ArF液浸露光装置は同38台→37台へ販売台数が減少しましたが、単価が同0.76億ユーロから0.82億ユーロへ上昇したため、売上高は同28.88億ユーロから30.34億ユーロへ増加しました。
それ以外の機種では、ArFドライ、KrF、i線とも前3Q比増収となりました。特にKrF露光装置が販売台数が大幅に増えて好調でした。
また、EUV露光装置を動かす際にウェハ等の計測、検査が重要になっていることから計測器売上高が同2.22億ユーロから3.03億ユーロへ増加しました。
地域別売上高を見ると、前3Qから前4Qにかけて、米国、韓国向けが増加するとともに中国向けも増加しましたが、台湾向けは減少しました。2026年12月期は後述のように全社で好調な業績が予想されますが、中国向けは減少する見込みです。
なお、2025年9月にフランスのAI開発会社「Mistral AI」に13億ユーロを出資し、「Mistral AI」の筆頭株主になりました。「Mistral AI」との間で露光装置の開発、生産、運用にAIを活用することを目指します。
表1 ASMLホールディングの業績
表2 ASMLホールディング:売上高内訳(四半期)
表3 ASMLホールディングの機種別売上高、販売台数、単価(四半期)ASMLホールディング:EUV露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:ArF液浸露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:ArFドライ露光装置の売上高、販売台数、単価
ASMLホールディング:KrF露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
ASMLホールディング:i線露光装置の売上高、販売台数、単価
ASMLホールディング:計測器の売上高、販売台数、単価
グラフ1 ASMLホールディングの地域別売上高
2.2025年12月期4Q受注高は過去最高。会社側は2026年12月期EUV露光装置販売台数の大幅増を見込む。
1)2026年12月期はEUV露光装置が大幅増になる見込み
全社受注高は前3Q53.99億ユーロから前4Q131.58億ユーロへ大幅に増加し過去最高となりました。このうちEUV露光装置受注高は同36億ユーロから74億ユーロへ増加し、これも過去最高となりました。受注高の中のメモリ比率は同53%から56%へ上昇しましたが、受注高全体が増加したため、受注高はロジック向け、メモリ向けとも大幅に増えました。
また、受注高の大幅増によって全社受注残高は2025年9月末330億ユーロから12月末388億ユーロへ増加しました。ちなみに、2025年12月末受注残の中でメモリ比率は40%でした(2024年12月末のメモリ比率は32%)。EUV比率は2024年12月末62%、2025年12月末65%とほぼ同じでした。メモリ受注の中でEUV露光装置の受注が増えていると思われます。
受注高が大幅に増えた要因は、発注元の半導体メーカーがAIブームの持続性に確信を持ったためと会社側は説明しています。会社側の説明では、エヌビディアのAI用GPU 「Blackwell」は1個作るためにウェハが2.5枚必要です。ところが、2027年後半に出荷開始予定の「Rubin Ultra」(「Blackwell」の後継機である「Rubin」(2026年後半出荷開始予定)の拡張版)は1個作るのにウェハを10枚使います。これがAI半導体の生産が世代を重ねるごとに設備投資を増やさなければならなくなる要因です。また汎用DRAMは需給が逼迫しているため設備投資を増やす必要があり、実際にメモリ投資は増加しています。
このため、会社側ではEUV露光装置の販売台数は今期2026年12月期は大幅に増えるとしています。また、2028年、2029年に最新型の高NA型EUV露光装置による生産が本格化するとしています。実際にそうなると、2027年12月期のEUV露光装置販売台数の中で高NA型の比率が高くなると思われます。
2)2026年12月期はEUV露光装置が大幅増になる見込み
会社側の2026年12月期1Q業績ガイダンスは、売上高82億~89億ユーロ、売上総利益率51~53%、研究開発費約12億ユーロ、販管費(研究開発費を除く)3億ユーロ、税率17%です。ここからレンジ平均値を計算すると、売上高85.5億ユーロ(前年比10.4%増)、営業利益29.5億ユーロ(同7.7%増)となります。
会社側の2026年12月期通期の業績ガイダンスは、売上高340億~390億ユーロ(レンジ平均値は365億ユーロ、前年比11.7%)、売上総利益率51~53%、税率17%です。
楽天証券では、2026年12月期通期を売上高380億ユーロ(同16.3%増)、営業利益136億ユーロ(同20.3%増)、2027年12月期を売上高445億ユーロ(同17.1%増)、営業利益167億ユーロ(同22.8%増)と予想します。
会社側は台数予想を示していませんが、今期はEUV露光装置が大幅に増えるとしています。また、2027年には高NA型の販売比率が高くなると予想されます。高NA型は3.5億~4.0億ユーロすると言われているため、高NA型の増加は販売単価上昇に繋がります。高NA型は開発、生産、顧客先でのセッティングに手間がかかるため、今のところ採算は必ずしも良くありませんが、利益増加にはつながると思われます。
楽天証券では、EUV露光装置販売台数を、2024年12月期44台、2025年12月期48台から、2026年12月期62台、2027年72台と予想します。販売単価は2025年12月期2.45億ユーロから、2026年12月期2.80億ユーロ、2027年12月期3.00億ユーロに上昇すると予想します。
また、会社側はエンジニアリング関連組織のスリム化を発表しました。1,700人がリストラされます。この効果は今年後半から出ると思われます。
グラフ2 ASMLホールディングの新規受注高
グラフ3 ASMLホールディングのシステム受注高:ロジックとメモリ
グラフ4 ASMLホールディングの期末受注残高
表4 2026年12月期1Q会社側業績ガイダンス
表5 ASMLホールディング機種別売上高
3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1,200ドルから1,750ドルに引き上げる。
ASMLホールディングの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1,200ドルから1,750ドルに引き上げます。
楽天証券の2027年12月期予想1株当たり利益(EPS)37.0ドルに今の評価である想定株価収益率(PER)45~50倍を当てはめました。
中長期で投資妙味が見込めると思われますが、一方でPERが高いため、株価変動のリスクもあると思われます。
本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)
(今中 能夫)

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