ミラノ・コルティナ大会が開催されています。連日、日本人選手の活躍が報じられています。
金メダル一個およそ37万円
2月6日に開会式が行われた第25回オリンピック冬季競技大会(2026/イタリア・ミラノ/コルティナ・ダンペッツォ、以下、ミラノ・コルティナ大会)は、17日で12日目を迎えました。22日の最終日に向け、熱戦が続いています。
冬季・夏季問わず、また、国内外問わず、オリンピックの時期になるとしばしば、メダル一個あたりの価値について、報じられます。図は、2026年1月の月次価格を基にして計算した、ミラノ・コルティナ大会のメダル一個あたりの想定価値です。
図:ミラノ・コルティナ大会のメダル1個あたりの想定価値(2026年1月)
報じられている通り、ミラノ・コルティナ大会で授与されるメダルは、サイズが直径80mm、厚さ:10mmです。材質は、金メダルが金(ゴールド)6グラムと銀(シルバー)500グラム、銀メダルが銀(シルバー)500グラム、銅(ブロンズ)メダルが銅420グラムです。
金メダルは、オリンピック憲章に準じ、純金ではなく、銀メダルに金(ゴールド)メッキを施したものです。
こうしたメダルの規格と1月の月次価格をもとに計算した一個あたりの想定価値は、金メダルが約37万円、銀(シルバー)が約23万円、銅(ブロンズ)が約850円でした。
図:金(ゴールド)、銀(シルバー)、銅価格の推移(2002年を100として指数化 2026年は1月まで)
グラフのとおり、2000年ごろ以降、ドル建ての金(ゴールド)、銀(シルバー)、銅価格は高騰しています。およそ四半世紀前に開催されたソルトレークシティ冬季オリンピック(米国 2002年)の時と比べると、金(ゴールド)価格は15倍、銀(シルバー)は20倍、銅8倍になっています。
こうした金属の価格高騰が、オリンピックのメダルの物質的価値を押し上げているといえます。
近年、日本人選手の活躍が目立つ
次のグラフは、冬季オリンピック大会の日本人選手のメダル獲得数を示しています。(メダルの獲得数のほか、選手の氏名なども現時点のJOCの資料を参照しています)
図:冬季オリンピック大会の日本人選手メダル獲得数(2026年大会は日本時間2月16日午前時点)
日本人選手が初めて、冬季オリンピックでメダルを獲得したのは、1956年のコルティナ・ダンペッツォ(イタリア)大会でした。スキー回転で、猪谷千春選手が、銀メダルを獲得しました。非欧州系の選手として初のメダル獲得だったとされています。
日本人選手が初めて、冬季オリンピックで金メダルを獲得したのは、1972年の札幌(日本)大会でした。スキー・ジャンプ(70メートル級)で、日本人選手が表彰台を独占した様子は「日の丸飛行隊」と呼ばれました。この時、金メダルを笠谷幸生選手が、銀メダルを金野昭次選手が、銅メダルを青地清二選手が獲得しました。
スキー・ノルディック複合では、1992年のアルベールビル大会(フランス)と1994年のリレハンメル大会(ノルウェー)で、2大会連続となる金メダルを獲得しました。
1998年の長野大会(日本)では、スキー・ジャンプのラージヒル個人とラージヒル団体、スキー・フリースタイルの女子モーグル、スピード・スケート男子500メートルとショートトラック男子500メートルの五つの種目で金メダルを獲得しました。(5個は現時点で過去最高)
その後、2006年のトリノ大会(イタリア)では、スケート・フィギュアスケートの女子シングル、2014年のソチ大会(ロシア)と2018年の平昌大会(韓国)では、同男子シングルで金メダルを獲得しました。
また、2018年の平昌大会(韓国)では、スケート・スピードスケートの女子500メートル、女子チームパシュート、女子マススタートで、2022年の北京大会(中国)では、同女子1,000メートルで金メダルを獲得しました。
2022年の北京大会(中国)では、スキー・ジャンプ男子ノーマルヒル個人、スキー・スノーボード男子ハーフパイプでも、金メダルを獲得しました。近年の日本人選手の活躍に目を見張るものがあります。
負担増す、冬季大会開催
グラフは、冬季オリンピック大会の種目数の推移を示しています。1990年代から、増加のスピードが増していることが分かります。今回のミラノ・コルティナ大会の種目数は過去最多の116です。
図:冬季オリンピック大会の種目数
また、次のグラフは、冬季オリンピック大会の参加者数の推移を示しています。参加者数の増加傾向は、第1回となった1924年のシャモニー・モンブラン大会(フランス)以降、継続しています。
図:冬季オリンピック大会の参加者数の推移
種目数の増加は、メダルを獲得する選手を増やす、大変に大きな要因です。そして、参加者を増やし、大会ににぎわい(人、お金、物、情報など)をもたらす大きな原動力になります。
ただし、1990年代から「開催日数は16日前後のまま」というデータもあることに、留意が必要です。期間が変わらず、種目と参加者数が増加し続けていることは、開催国・都市の負担が増加し続けていることを示唆しています。
「メダル製造」の負担も増加
もう一つ、開催国の負担が増えている点があります。メダルの製造にかかるコストが増えていることです。グラフは、冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移です。
図:冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移
金(ゴールド)をはじめ、主要な金属の国際価格が上昇していること受け、グラフのとおり、ミラノ・コルティナ大会のメダルの素材のコストは急増したと、考えられます。
当該大会では、金メダル245個、銀メダル245個、銅メダル245個、合計735個が授与されることになっています。
この額は同大会の予算とされている17億ユーロ(約20億ドル)に比べれば小さい規模ですが、今後、こうした金属の国際価格がさらに上昇した場合、運営に支障をきたす可能性も否定できません。
日本オリンピック委員会(JOC)の資料には、オリンピックは4年に1度開催される世界的なスポーツの祭典であり、スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的とし、夏季大会と冬季大会を行っている旨の記載があります。
世界平和が達成されれば、短期的な有事ムード、資源の武器利用、長期視点のインフレ、通貨の不確実性、世界分断、民主主義後退など、メダルの素材コストに大きな影響を及ぼす金(ゴールド)の価格を押し下げる要因が増え、同価格が下落することが考えられます。
そうなれば、冬季・夏季、問わず大会の運営コストの一部が、抑えられると考えられます。
ただし、筆者は以前の「金(ゴールド)急落、それでも長期上昇が続くと考える理由」で述べた通り、金(ゴールド)相場については、長期視点の上昇トレンドを維持すると考えています。今後も、オリンピック大会のメダル素材コストは、これに伴い、増加傾向をたどる可能性があると、考えています。
▼以前のレポート
金(ゴールド)急落、それでも長期上昇が続くと考える理由
[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例
純金積立
純金積立・スポット購入
投資信託
三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし/あり)
楽天・プラチナ・ファンド(為替ヘッジなし)
中期:
関連ETF
SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
GXゴールド(425A)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
短期:
商品先物
国内商品先物
海外商品先物
CFD
金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム
(吉田 哲)

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