AIエージェントは、2026年の日本株の重要テーマになりそうです。足元、米国でソフトウエア業界を中心にAI関連の銘柄が崩れており、その余波が日本にも及び、同業界の銘柄が一部で売られています。
クイズ
2026年の初めから、「SaaS【注】の死」が話題となり、米国でソフトウエア株が売られています。
【注】SaaSは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウエア)」の略称
米国で、成長株として買われてきた セールスフォース(Salesforce, Inc. ティッカーシンボル: CRM) は、高値から半値以下まで売られました。日本でもソフトウエア株が売られています。
<セールスフォース株価月次推移:2015年12月末~2026年2月(23日)>
今日は、SaaSについて考えるクイズです。以下2問、解いてみてください。
【問1】 クラウドに関する正しい説明を、以下【1】~【4】の中から二つ選んでください。
【1】インターネット経由で、サーバーやストレージ、ソフトウエアなどのコンピューター資源を利用する形態のこと。
【2】インターネットに接続しないで、自宅のパソコン(またはスマホ)を使うこと。パソコン(スマホ)内にインストールされているストレージやソフトウエアだけが利用できる。
【3】スマホを紛失しても、クラウドに保存してある写真は無くならない。
【4】スマホを紛失してしまうと、保存してある写真も無くなってしまう。
【問2】 SaaSに関する正しい説明を、以下【1】~【4】の中から二つ選んでください。
【1】購入したソフトウエアを使うために、自宅のパソコンにインストールした。
【2】クラウド上のソフトウエアを使うために契約した。
【3】自宅のパソコンで使っているソフトウエアがバージョンアップされたので、新バージョンのソフトウエアをインストールした。
【4】自宅のパソコンで使っているソフトウエアがバージョンアップされたが、新バージョンをインストールする必要はない。
【注】クイズを解くために知っておくべき専門用語を、以下解説します。
◆サーバー:データセンターに置いてある箱型の大型司令塔コンピューター。インターネットを経由して、たくさんの人から同時にいろいろな「お願い」が来るが、それを同時に次々と処理する。非常に頑丈にできていて、大量の仕事を同時にこなす能力を備えている。
◆ストレージ:情報を保存する倉庫。多くの方々が利用する写真や動画のデータ、企業が使う業務情報といったさまざまなデータが入っている。サーバー内のストレージに入っている情報は、他人に見られないように何重ものカギがかけられて隔離・保存されている。
◆ソフトウエア:コンピューターを動かすための「プログラム」のこと。
日経電子版、筆者コメント
2月19日、20日に日経電子版で掲載された「SaaSの死」についての記事に関連して、私は以下のコメントを投稿しました。
「SaaSの死」「AIがソフトウエアを食い尽くす」という衝撃的な言葉で、ソフトウエア株が一斉に売られているが、過剰反応と考えています。
ソフトウエアを食う「クラウドAI」もSaaSの一種といえます。
既存SaaSも、AIを装備して人を介さない自律行動をできるようになれば「AI SaaS」として生き残り、成長が見込めます。生き残るSaaSも、淘汰されるSaaSも選別されることなく一斉に売られているのは「行き過ぎ」と思います。
今回の騒動が起こる前のビジネス環境として、SaaS乱立による競争激化がありました。多種多様なSaaSが乱立し、顧客企業は多数のSaaSを統合して使用するのに苦心していました。そこで多数のSaaSを統合して自律して仕事をするAIが現れたため、顧客企業が一斉にAIに流れる懸念が出ています。
正解
【問1】
【1】【3】はクラウドの説明です。インターネットに接続して、データセンターにあるサーバーやソフトウエアを使う仕組みです。【2】【4】はローカル端末内での処理の説明です。
<クラウド・コンピューティングの説明>
【1】インターネット経由で、サーバーやストレージ、ソフトウエアなどのコンピューター資源を利用する形態のこと。
【3】スマホを紛失しても、クラウドに保存してある写真は無くならない。
<ローカル端末内の処理の説明>
【2】インターネットに接続しないで、自宅のパソコン(またはスマホ)を使うこと。パソコン(スマホ)内にインストールされているストレージ・ソフトウエアだけが利用できる。
【4】スマホを紛失してしまうと、保存してある写真も無くなってしまう。
【問2】
【2】【4】はインターネットに接続すれば、どの端末(パソコンやスマホ)からでも利用できる、クラウド上のソフトウエア(SaaS)の説明です。【1】【3】は組み込みソフトウエアの説明です。
自分の端末(パソコンやスマホ)にソフトウエアをインストールして使います。インターネット接続は不要ですが、そのソフトウエアをインストールした端末でしか使えません。
<SaaSの説明>
【2】クラウド上のソフトウエアを使うために契約した。
【4】自宅のパソコンで使っているソフトウエアがバージョンアップされたが、新バージョンをインストールする必要はない。
<組み込みソフトウエアの説明>
【1】購入したソフトウエアを使うために、自宅のパソコンにインストールした。
【3】自宅のパソコンで使っているソフトウエアがバージョンアップされたので、新バージョンのソフトウエアをインストールした。
SaaSの死とは、なぜソフトウエア株が売られるのか?
現在、米国でソフトウエア株が大きく売られている理由として二つあります。ソフトウエア株の代表として、米国のセールスフォース(CRM)を例として説明します。
【理由(1)】割高に買われていたソフトウエア株が調整局面に
ソフトウエア株(SaaSを提供する企業)は米国で成長株として扱われてきた結果、株価収益率(PER)で見ると割高となっていました。AIの登場で、ソフトウエアの役割が低下するとの話が出るようになってから、ソフトウエア株が一斉に売られ始めました。
セールスフォースは成長株として期待され、2023年には一時予想PER60~80倍まで買われていました。ところが、その後、売られて、株価はピーク比半値以下となりました。業績拡大が続くにもかかわらず、株価が大きく下がったため、2026年2月23日時点で、予想PERは15.1倍【注】まで低下しました。
【注】セールスフォースの予想PER
2月23日の株価178.16ドルを、2027年1月期の1株当たり利益(EPS)(コンセンサス予想)11.76ドルで割って計算。
【理由(2)】「SaaSの死」というキャッチフレーズが広まり、ソフトウエア株全般に売り圧力が強まった
便利なSaaSが増え過ぎた結果、企業では、数多くのSaaSを統合して管理するのが難しくなっていました。
そこへ、米国のアンソロピックなどが開発する高性能なAIの登場により、将来的にAIが人間に代わってSaaSの操作や管理を自律的に行うようになる、という可能性が議論され始めています。
もしそうなると、SaaS企業が得られる収益が大幅に減るという懸念が「SaaSの死」という言葉となって広まり、SaaS企業全般の株価下落につながりました。
ただし、現在のソフトウエア株の水準は「売られ過ぎ」だと私は考えています。
テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ
最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「 株トレ 」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「 株トレ ファンダメンタルズ編 」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。
(窪田 真之)

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