「AI脅威論」でソフト株急落、米シトリニ社の予測は過度に悲観的か

「2028年グローバルインテリジェンス危機」と題した米シトリニ・リサーチの最近の報告書や、アンソロピック社のAIエージェント「Claude Cowork」とコード解析ツール「Claude Code Security」のリリースを受け、世界的にソフトウエアおよびSaaS(ネット経由のソフトウエアサービス)銘柄の売りが加速している。


 AIの進化に伴い、ソフトウエア産業が消滅するとの懸念が背景。

BOCIはAIがソフト業界の将来価値に関する可視性を低下させていると認めつつも、シトリニ社の報告書が提示した前提は過度に誇張的かつ悲観的であるとの見方。収益見通しの大幅な下方修正には大きな疑問の余地があるとした。


 また、実際にAIによる影響を分析した上で、オフィスソフトやその他より、制約理論(ToC)型ソフトのAI耐性が相対的に高いとの結論を導き出している。


 BOCIによれば、シトリニ社の報告書は極端なシナリオに基づく推論。


 その内容は主に、◇2028年までに生成AIが自律型AIエージェントに進化し、世界のホワイトカラー職に取って代わる、◇AIエージェントがスタッフ10人分のタスクを限界費用ほぼゼロで遂行できるなら、企業はマルチユーザー型SaaSを必要としなくなり、ソフトウエア企業のビジネスモデルが崩壊する、◇ホワイトカラーの大量失業が消費力を低迷させ、デフレスパイラルを引き起こす、◇将来のキャッシュフローの成長を前提としたソフトウエア企業の高バリュエーションが、AIによる代替で、ドットコムバブル(2000年)当時のようなリセットに直面する事態を招くことになりかねない。


 BOCIはソフト銘柄の評価の低下には根拠があるとしつつSaaS終末論からは距離を置くべきとの見解だ。過去10年間はSaaSとサブスクリプション型ビジネスモデルが築いた競争優位性と切り換えコストの高さが、SaaS株の高株価売上高倍率(PSR)の根拠だったが、仮にAIで切り替えコストをほぼゼロになれば、ソフト銘柄のPSRの縮小は避けられない。


 米SaaSセクターのバリュエーションは2月25日時点でPSR7.8倍と、2025年10月の11.5倍から低下。中国本土・香港市場も2026年に入って売り圧力に直面し、金蝶国際ソフト(00268)、美図(01357)、匯量科技(01860)は年初来で30%超下落した。


 BOCIはまた、AIによるソフトウエアセクターへの影響を分析。汎用的で機能性の浅いSaaSは重大なリスクに直面するが、強力なデータとプロセスバリアを備えた垂直統合型ソフトウエアに根差した企業は、生き残るだけでなく、成長を続ける見通しを示した。


 強力なネットワーク効果により、ToC SaaSがAIの脅威に対して最も耐性のあるソフトウエアであるとの見解。

対照的に、習得済みインターフェースやビジネスロジックに依存する「堀」を強みとしてきたオフィスソフトは最も深刻な影響を受けるとの見方だ。


 BOCIはセクターのカバー銘柄6社のうち、中軟国際(00354)、金蝶国際ソフト(00268)、キングソフト(03888)、微盟集団(02013)の株価の先行きに強気見通しを継続した。


(Bank of China int.)

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