エヌビディアの2026年1月期4Qは、73.2%増収、84.3%営業増益。データセンター向けが好調で、今1Qも大幅増収増益が予想される。

ただし、決算発表後株価は下落した。2027年の生成AI関連設備投資に不透明感があること、株主還元が不十分と思われていることなどが要因と思われる。割安感はあるが、大きな株価上昇は期待しにくい。


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「 決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか) 」


毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄 エヌビディア(NVDA、NASDAQ)


1.エヌビディアの2026年1月期4Qは、73.2%増収、84.3%営業増益。

 エヌビディアの2026年1月期4Q(2025年11月-2026年1月期、以下前4Q)は、売上高681.27億ドル(前年比73.2%増)、営業利益442.99億ドル(同84.3%増)となりました。会社予想よりも好調で、前3Q比でも19.5%増収、23.0%営業増益となりました。


 市場別売上高を見ると、データセンター向けが前3Q512.15億ドル(前年比66.4%増)から前4Q623.14億ドル(同75.1%増)へ増加しました。このうちコンピュート(AI半導体)は、前3Q430.28億ドル(同55.7%増)から前4Q513.34億ドル(同57.7%増)となり、ネットワーキング(高速ネットワーク機器)が前3Q81.87億ドル(同2.62倍)から前4Q109.80億ドル(同3.63倍)と大幅に増えました。


 コンピュートの増加は、主力機種が1年前の「H100」「H200」から「Blackwell」とその拡張版である「Blackwell Ultra」に切り替わったことによる単価上昇(日本の店頭価格は「H100NVL」475万円、「H200」509万円、「B200」701万円)(NTTPCコミュニケーションのウェブサイトによるAIサーバー見積もり価格。税別)と数量増加ですが、価格上昇効果が大きいと思われます。大手クラウドサービス、大規模データセンター向けだけでなく、準大手中堅クラスのクラウドサービス向け、政府向けも好調でした。


 また、大規模データセンターにおける通信の重要性を反映してネットワーキングの大幅増が続いています。


 ゲーミングは前3Q42.65億ドル(前年比30.1%増)から前4Q37.27億ドル(前年比46.5%増)へ季節性で減少しましたが、前年比では大幅増となりました。価格上昇が寄与したと思われます。プロフェッショナル映像は前3Q7.60億ドル(同56.4%増)から同13.21億ドル(同2.59倍)と大きく伸びました。映像分野でのAI半導体の需要が増えました。


 この結果、2026年1月期通期は、売上高2,159.38億ドル(前年比65.5%増)、営業利益1,303.87億ドル(同60.1%増)となりました。


表1 エヌビディアの業績
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
株価 177.19ドル(2026年2月27日)時価総額 4,306,426百万ドル(2026年2月27日)発行済株数 24,432百万株(完全希薄化後、Diluted)発行済株数 24,304百万株(完全希薄化前、Basic)単位:百万ドル、%、倍出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。注3:会社予想は予想レンジのレンジ平均値。

表2 エヌビディアの市場別売上高(四半期)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:百万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

表3 地域別売上高(年度ベース)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成。注:2026年1月期3Qより従来の仕向け先別売上高から本社所在地別売上高に変更された。

2.2027年1月期1Qも業績好調が続こう。2027年1月期通期は大幅増収増益へ。

 会社側の2027年1月期1Q業績ガイダンスは、売上高780億ドル±2%、売上総利益率(GAAPベース。

以下同様)74.9%±0.5%ポイント、研究開発費を含む販管費77億ドルです。年度ベースの税率は17.0%です。売上高ガイダンスの中に中国向けは含まれていません。


 ここから計算すると、2027年1月期1Qの会社予想は、売上高780億ドル(前年比77.0%増)、営業利益507億ドル(同2.34倍)となります。前4Q比の増収額99億ドルの多くはデータセンター向けの伸びによるものになる見込みです。営業利益は前年比大幅増益になる見込みですが、これは1年前の2026年1月期1Qに中国向け輸出が米国政府によって規制され、輸出できなかった25億ドルを減損したため、その反動が出る見込みです。


 2027年1月期通期も大幅増収増益が予想されます。楽天証券予想では、クラウドサービス大手3社(アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット)にメタ・プラットフォームズを加えた4社(いずれも大規模データセンターの事業者です)の設備投資は2025年4,135億ドルから2026年6,550億ドルに増加する見込みです。増加率は58%増になります。会社側ではアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、オラクルの5社の設備投資が2026年には7,000億ドルになるとしています。


 また、大手以外のクラウドサービスやロボット関連(フィジカルAI)などの新しい分野もあります。


 次世代機「Rubin」については、2月最終週の初めに最初のサンプルを出荷しました。

2026年後半には生産出荷を開始する予定です。


 一方で、来期2028年1月期には不透明感もあります。大規模データセンターに対する発注企業の最大手は生成AI開発会社最大手のオープンAIと思われますが、オープンAIの設備投資の原資は自社の収益よりも外部からの資金調達に頼る部分が多いと思われます。調達資金が減少するとオープンAIの設備投資が減少し、それが全体の設備投資の伸び鈍化に繋がる可能性があります。また、クラウドサービス3社とメタの設備投資が営業キャッシュフローの伸び率を上回る速さで伸びていることにも注意が必要と思われます。


 このように、足元の業績の強さと2028年1月期への懸念を考慮して、楽天証券ではエヌビディアの2027年1月期を売上高3,400億ドル(前年比57.5%増)、営業利益2,190億ドル(同68.0%増)、2028年1月期を売上高4,100億ドル(同20.6%増)、営業利益2,650億ドル(同21.0%増)と予想します。


 今期は好業績が続く見込みですが、来期は高水準ながら業績の伸びが鈍化すると予想します。


表4 2027年1月期1Q業績ガイダンス
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:億ドル、%注:表中の黒字は会社側ガイダンスの数字、それ以外は楽天証券計算。

表5 エヌビディアの市場別売上高(年度)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:百万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

表6 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(四半期)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

表7 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(通期)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

3.好業績にもかかわらず、決算発表後の株価は下落。エヌビディアに対して投資家に懸念と批判があるようだ。

 エヌビディアの2026年1月期4Q決算は好業績だったにも関わらず、決算発表後の株価は下落しました。


 米国の太平洋標準時2026年2月25日(水)14時、東部標準時17時、日本時間2月26日(木)7時から決算電話会議が開催されましたが、その前の日本時間6時20~30分に決算内容が開示されました。会社予想を上回る好業績だったため、株価はその前に付けた米国時間(東部標準時)2月25日終値、195.56ドルに対して、決算開示後はアフターマーケットで203ドル台まで急伸しました。


 ところが、その後株価は下落しました。日本時間の朝7時から決算電話会議が始まりましたが、会社側が説明している間も、アナリストの質問時間の間も株価は下がり続け、決算電話会議が終わった日本時間の8時過ぎには196ドル台に下落していました。


 その後は一時195ドル台に下落しましたが、日本時間で26日(木)21時からのプレマーケットでは197~198ドル台で推移していました。しかし、日本時間23時30分からの通常取引時間が始まると再び株価は下落し、26日(木)終値は184.89ドル、27日(金)終値は177.19ドルへ続落しました。


 何が起きたのか。会社側の説明はいつものようにこの3カ月間の好調ぶりを示すものでした。アナリストの質問の多くも、エヌビディアの素晴らしい業績を讃え、生成AI、AI半導体の市場、技術とエヌビディアの将来に関するものでした。


 しかし、アナリストの質問の中には気になるものがありました。まず、最初の質問者は2026年の大手クラウドサービス会社と大規模データセンター事業者の設備投資7,000億ドルについて、多くの投資家(機関投資家)が2027年もこの水準の設備投資を維持することは難しくなるのではないかと懸念しており、大手クラウドサービス会社と大規模データセンター事業者がこの設備投資を継続する能力について、どの程度自信を持っているかと質問しました。別の質問者は株主還元について質問しました。また別の質問者は今後の売上総利益率について質問しました。この3つの質問はエヌビディアの今後と投資価値を考える上で重要です。


グラフ1 エヌビディアの日中足
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
出所:楽天証券ホームページ

1)生成AI関連設備投資の持続性

 決算電話会議でのアナリストからの最初の質問は、2026年の大手クラウドサービス会社と大規模データセンター事業者(具体的にはアマゾン、マイクロソフト、アルファベット、オラクル、メタ)の設備投資7,000億ドルについてでした。多くの投資家(機関投資家)が2027年もこの水準の設備投資を維持することは難しくなるのではないかと懸念している。また、多くの投資家がクラウドサービスのキャッシュフロー創出能力が低下していると見ている。大手クラウドサービス会社と大規模データセンター事業者がこの設備投資を継続する能力について、どの程度自信を持っているかという質問でした。これに対して、会社側(ジェンスン・ファンCEO)の答えは、設備投資のもとになるクラウドサービスのキャッシュフローは強い状態が続くというものでした。また、従来のコンピュータ投資の多くがAI投資になっているという回答でした。


 私が考えるに、この回答は回答としては半分です。生成AI関連の設備投資の中で重要なのは、オープンAIを始めとする生成AI開発会社が調達した投資資金です。この投資資金がクラウドサービスやAI半導体への発注に使われています。この投資資金が縮小すれば、他の部分で設備投資が増えない限り生成AI関連設備投資の伸びが鈍化するか、場合によっては設備投資が減少しかねません。また、クラウドサービス大手の営業キャッシュフローの中で設備投資が占める比率が傾向的に上昇していることに注意したいと思います。


 2027年に7,000億ドルの設備投資を維持することは困難であるという懸念を多くの機関投資家が持っているとすれば、それはエヌビディアの株価に大きな影響を与えると思われます。


表8 米国大手ITの設備投資額(暦年)
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル出所:各社資料より楽天証券作成注:マイクロソフトは各年1-3月期~10-12月期の合計、2026年1-12月期は楽天証券予想。その他は会社予想のレンジ平均値。

グラフ2 米国の大手ITの営業キャッシュフロー動向:四半期
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成

グラフ3 米国の大手IT設備投資動向:四半期
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:100万ドル、出所:各社資料より楽天証券作成

グラフ4 米国大手ITの営業キャッシュフロー設備投資比率
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:%、出所:会社資料より楽天証券作成。各社の四半期設備投資(ファイナンスリースを含む)÷営業キャッシュフロー

グラフ5 アマゾン・ドット・コムの設備投資/営業キャッシュフロー
決算レポート:エヌビディア(業績好調だが、株価は下落。AI相場は転換点にあるのか)
単位:%、出所:会社資料より楽天証券作成

2)70%台半ばの売上総利益率の持続可能性。

 今の70%台半ばの売上総利益率は持続可能かという質問もありました。これに対する会社側の回答は維持することができるというものでしたが、逆に言えば、すでに高水準なのでこれ以上の上昇は期待できないとも思われます。研究開発費は増やす必要があるため、営業利益率の上昇には限界があると思われます。


 そのため、利益を増やすには売上高を増やさなければなりませんが、売上高の伸びは今期は大きいとしても、来期には不安があるのです。


3)株主還元について。稼ぐ力が大きくなっているのに、なぜ思い切った自社株買いをしないのか。

 アナリストからは、業績は好調だが株価は上昇していない。何故思い切った自社株買いをしないのかという質問もありました。それに対する会社側の回答は、研究開発、設備投資と戦力的投資(顧客への投資も含むと思われる)は重要だというものでした。


 エヌビディアの自社株買いは2026年1月期400億ドルでした。2025年1月期337億ドルから増加しました。残る自社株買い承認枠は585億ドルです。


 エヌビディアの稼ぎっぷりから見て自社株買いが不十分だという意見は多そうです。この問題には伏線があり、昨年9月にエヌビディアはオープンAIに対する1,000億ドルの投資構想を発表しました。これはオープンAIに対するソフトバンク300億ドル、アマゾン500億ドル、エヌビディア300ドル、計1,100億ドルの出資として決着してすでに実行されました。アマゾンもエヌビディアもオープンAIから自社サービス、製品に対する発注がある模様です。


 ただし、この出資にはリスクもあります。オープンAIのChatGPTとアルファベットのGeminiが激しく競争しています。ChatGPTのユーザー数は推定9億人(2025年12月)、Geminiは7.5億人(2026年2月)ですが、Geminiはユーザー数43億人のグーグル検索のAIモードでも使われているため、今後ChatGPTの性能をGeminiが抜く可能性があります。その場合、オープンAIがアマゾンやエヌビディアに対して出資の見返りの発注ができるか不透明感があります。


 つまるところ、投資家の意見としては、このような循環投資、あるいはベンダーファイナンスまがいの出資をしなければ売上高が伸びないのであれば、会社の中に貯まったお金を自社株買いで株主還元してほしいということではないかと思われます。要するに、顧客に対して1,000億ドル規模の出資を検討するのであれば、それと同じ額の自社株買いを何故しないのかということです。


 この考え方に対して会社側が有効に回答できないのであれば、それはエヌビディアに対する投資の意味を問うことになるということです。


 付け加えておくと、これらの質問をしたアナリストの中には目標株価300ドルを掲げている人もいるため、株価に対して弱気というわけではないと思われます。ただし、この1)~3)の質問は各々異なるアナリストからのものですが、繋がっています。彼らの顧客である機関投資家の質問、意見をある程度反映していると考えることもできます。


 売上総利益率がこれ以上上がる見込みがないため、利益を増やすには売上高を増やさなければなりませんが、今期は売上好調としても来期には懸念があります。ただし、営業利益率が高水準なので会社の中に金が溜まるようにはなっています。投資家としてはその金を株主還元してほしいと考えていますが、会社側は顧客への大型投資、リスクがないとは言えない投資に金を使っています。


 決算電話会議の中身とその後の株価の動きを見て浮かび上がってきたことは、会社側の行動は必ずしも投資家の要望にあったものではないということです。


 もっとも、足元の業績好調を考えると、20倍台前半の株価収益率(PER)は割安と思われます。また3月に開催される予定の技術カンファレンス「GTC2026」で新しい材料が発表される可能性もあります。このため、株価はいったん戻る可能性がありますが、戻りの程度、持続性ともに不透明感があります。


4.エヌビディアの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の210ドルを維持する。

 エヌビディアの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の210ドルを維持します。


 楽天証券の2027年1月期予想1株当たり利益(EPS)7.57ドルに、今期の大幅増益予想と来期への懸念の両方を考慮して想定PER25~30倍を当てはめました。


 一定の株価の戻りは期待できると思われますが、投資リスクに見合ったリターンを得ることは難しいと思われます。


本レポートに掲載した銘柄 エヌビディア(NVDA、NASDAQ)


(今中 能夫)

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