ブロードコムの2026年10月期1Qは、29.5%増収、36.8%営業増益。AI関連半導体(特注型AI半導体とネットワーク半導体)が好調で、現在の顧客6社からの契約が大口化している。

当面は好業績が続こう。ただし、生成AI向け設備投資に関して悪いニュースもあるため注意も必要。楽天証券の目標株価を引き下げる。


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毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄: ブロードコム(AVGO、NASDAQ)


1.ブロードコムの2026年10月期1Qは、29.5%増収、36.8%営業増益。

 ブロードコムの2026年10月期1Q(2025年11月-2026年1月期、以下今1Q)は、売上高193.11億ドル(前年比29.5%増)、営業利益85.63億ドル(同36.8%増)となりました。


 セグメント別に見ると、セミコンダクター・ソリューションズは、売上高125.15億ドル(同52.4%増)、営業利益75.10億ドル(同59.6%増)となりました(営業利益は会社側が決算電話会議で開示した営業利益率から計算した概算値。以下同様)。売上高のうち、AI関連が84.0億ドル(同2.05倍)と大幅増になりました。前4Q65億ドルからも大幅増収となりました。特注型AI半導体「XPU」の顧客は今1Q時点で5社ですが、この5社とも売上高が増加した模様です。


 会社側が開示した今1Qの顧客名は、アルファベット、アンソロピック、メタ・プラットフォームズ、と社名が不明な2社です(推定ではバイトダンス(TikTok運営会社)とマイクロソフト)。またオープンAIが今2Qから新規顧客となりました。

これまでの顧客5社向けとも売上高が伸びており、さらに世代交代によってレベルアップする途上にあります。


 会社側によれば、AI関連売上高の3分の2が特注型AI半導体「XPU」(GPUではないカスタムAI半導体)、3分の1がネットワーク半導体です。データセンターが大規模化するにしたがって高速ネットワークが重要になっているため、ブロードコムのネットワーク半導体が人気です。


 非AI関連は41.15億ドル(前年比0.1%増)と前年比横ばいで、前4Qからは季節性で減収となりました。


 AI関連の大幅増収が続いているため、セミコンダクター・ソリューションズの営業利益率は前4Q58.8%、今1Q60.0%と傾向的に上昇しています。


 インフラストラクチャー・ソリューションズは、67.96億ドル(同1.4%増)、営業利益53.00億ドル(同3.5%増)となりました。営業利益率は前4Q77.8%、今1Q78.0%と高水準でしたが、仮想化ソフト「VMWare」」の買い切り型から月額定額サブスクリプションへの契約条件の転換が進んだと思われるため、伸びが低下しました。


表1 ブロードコムの業績
決算レポート:ブロードコム(業績好調。AI関連の大幅増続く)
株価(NASDAQ) 330.48ドル(2026年3月6日)時価総額 1,566,806百万ドル(2026年3月6日)発行済株数 4,888百万株(完全希薄化後、Diluted)発行済株数 4,741百万株(完全希薄化前、Basic)単位:百万ドル、ドル、%、倍出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。

表2 ブロードコムのセグメント別売上高内訳と前年比:四半期ベース
決算レポート:ブロードコム(業績好調。AI関連の大幅増続く)
単位:100万ドル、%出所:決算電話会議より楽天証券作成

表3 ブロードコム:セグメント別業績(四半期)
決算レポート:ブロードコム(業績好調。AI関連の大幅増続く)
単位:百万ドル出所:会社資料より楽天証券作成注1:四捨五入のため合計が合わない場合がある。注2:2026年10月期1Qのセグメント別営業利益は会社コメントの営業利益率から計算した概算値。

2.2026年10月期通期も業績好調が続こう。会社側は2027年のAI関連売上高が1,000億ドル以上になるとした。

 会社側の2026年10月期2Q業績ガイダンスは、売上高220億ドル(前年比46.6%増)です。引き続き業績好調が予想されます。


 AI関連売上高は顧客6社とも契約規模が大きくなる傾向にあるため、今1Q84億ドル(同2.05倍)から今2Q会社予想107億ドル(同2.43倍)へ、伸びが加速すると予想されます。

顧客6社とも従来は一つのXPUで行ってきた推論・学習を、各々別の専用XPUに分離する動きがあるため、1個で推論、学習を行ってきたときよりも売上高が大きくなる可能性があります。


 また、XPUだけでなく、ネットワーク半導体も好調が予想されます。


 会社側では2027年(2027年10月期?)のAI関連売上高を1,000億ドル以上としていますが、これは生成AIの需要が強いこと、特注型AI半導体の性能向上、顧客6社の契約額の増加、推論・学習にXPUが分離される傾向があることなどで、需要が強いことによります。また会社側は、XPUの商談、契約は2028年も進んでいるとしています。


 インフラストラクチャー・ソフトウェアはVMWareの買い切り型からサブスクリプションへの転換が進んでいるため、大きな伸びは期待できませんが、堅調な業績が予想されます。会社側によれば、VMWareのクラウドサービスであるVMware Cloud Foundation(VCF)は、CPU、GPU、ストレージ、ネットワークを共通の高性能プライベートクラウド環境に統合するソフトウェアレイヤーであり、データセンターの中で置き換えができません。生成AIとエージェントAIの普及は、SaaSであるVMwareを壊すのではなく必要性が増すと考えています。


 このような状況から、楽天証券では、2026年10月期を売上高960億ドル(前年比50.3%増)、営業利益480億ドル(同88.4%増)、2027年10月期を売上高1,340億ドル(同39.6%増)、営業利益750億ドル(同56.3%増)と予想します。会社側は2027年10月期のAI関連売上高を1,000億ドル以上としていますが、実現しない可能性も考慮して楽天証券では2025年10月期202億ドルに対して、2026年10月期500億ドル、2027年10月期850億ドルと予想しました。


 特注型AI半導体は単年度ごとの出荷数量と価格を固定して契約すると思われます。特注型ですから他社への転用は基本的にできません(アルファベットのTPUは外販可能になっている)。現在は生成AI向け設備投資の好調から複数年の契約が多くなっている模様です。

ただし、生成AI向け設備投資のブームがピークアウトした場合は、現在商談、契約が進んでいる2028年までは業績は確保できていても、そのあとが急減する可能性があります。このリスクに注意する必要はあると思われます。


表4 ブロードコムのセグメント別売上高内訳と前年比:通期ベース
決算レポート:ブロードコム(業績好調。AI関連の大幅増続く)
単位:100万ドル、%出所:決算電話会議より楽天証券作成

表5 ブロードコム:セグメント別業績(通期)
決算レポート:ブロードコム(業績好調。AI関連の大幅増続く)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成

3.ブロードコムの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の460ドルから420ドルに引き下げる。

 ブロードコムの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の460ドルから420ドルに引き下げます。


 楽天証券の2026年10月期予想1株当たり利益(EPS)8.63ドルに、今期の大幅増益予想と今後のリスクの両方を考慮して想定株価収益率(PER)45~50倍を当てはめました。


 また、会社側は2026年末までの自社株買いプログラムに100億ドルの追加枠を設定しました。


 引き続き中長期で投資妙味を感じますが、生成AIの設備投資には悪いニュースも出ているため、株価変動に注意が必要と思われます。


本レポートに掲載した銘柄: ブロードコム(AVGO、NASDAQ)


(今中 能夫)

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