現在、日本株は割安で長期的には大きく上昇すると私は予想しています。とはいえ、世界景気が悪化する局面では、短期的に2~3割日経平均が下落することもあります。

景気への不安が大きい時は、景気敏感株を売って、ディフェンシブ株を買うのが日本株運用の有効な選択肢の一つです。今回は、その方法が学べるクイズを出題します。


【投資クイズ】世界景気悪化が心配、日本株をどうしたら良い?の画像はこちら >>

今日のクイズ

 景気悪化が不安な時は、日本株ポートフォリオのリバランス(銘柄入れ替え)を行います。具体的には、景気敏感株の保有を減らして、ディフェンシブ株(景気変動の影響が相対的に小さい銘柄)の保有を増やします。


【第1問】


 以下【1】~【10】のうち、「景気敏感セクターを減らして、ディフェンシブセクターを増やす」リバランスはどれでしょう? 五つ選んでください。


【1】自動車株「売り」 → 電鉄株「買い」
【2】電鉄株「売り」 → 自動車株「買い」
【3】医薬品株「売り」 → 機械株「買い」
【4】機械株「売り」 → 医薬品株「買い」
【5】食品株「売り」 → 鉄鋼株「買い」
【6】鉄鋼株「売り」 → 食品株「買い」
【7】百貨店株「売り」 → 食品スーパー株「買い」
【8】食品スーパー株「売り」 → 百貨店株「買い」
【9】海運株「売り」 → 情報通信株「買い」
【10】情報通信株「売り」 → 海運株「買い」


【第2問】


 以下【1】~【5】のリバランスのうち、「景気敏感株を減らしてディフェンシブ株を増やす」入れ替えはどれでしょう? 三つ選んでください。


【1】 ソフトバンクグループ(9984) の保有を減らす
→ ソフトバンク(9434) の保有を増やす
【2】 ホンダ(本田技研工業:7267) の保有を減らす
→ 第一三共(4568) の保有を増やす
【3】 ファナック(6954) の保有を減らす
オリエンタルランド(4661) (東京ディズニーリゾート運営企業)の保有を増やす
【4】 KDDI(9433) の保有を減らす
→ コマツ(小松製作所:6301) の保有を増やす
【5】 日本マクドナルドホールディングス(2702) の保有を減らす
→ 信越化学工業(4063) の保有を増やす


景気敏感株・ディフェンシブ株の分類は流動的

 クイズを解くにあたり、知っておいていただきたいことがあります。


 景気敏感株・ディフェンシブ株の分類は流動的、という事実です。


【1】「昔は景気敏感株だったが、今はディフェンシブ株」のように分類が変わる企業も多い


  例えば、大手銀行株。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) は、1990年代から2000年代には(前身の三菱銀行などが)景気敏感株でしたが、今はディフェンシブ株です。


 不良債権比率が高かった時代は景気が悪化すると不良債権増加が危惧されるために株価が急落しました。景気が回復すると不良債権が減少するので株価が急騰しました。つまり完全に景気敏感株でした。


 ところが、財務良好で、収益基盤が堅固となった近年は、景気悪化局面でも高水準の利益を維持するようになりました。

近年は、ディフェンシブ株となっています。


 今後、不良債権比率が拡大するような深刻な金融危機が起これば、再び景気敏感株になることもありますが、そうでない限りは、ディフェンシブ株として評価してよいと思います。


【2】「昔はディフェンシブ株だったが、今はそうではない」企業もある。


 例えば、電力株がそうです。昔は、景気変動にかかわらず安定的に高配当が期待できる、代表的なディフェンシブ株でした。


 ところが、東日本大震災後に原発が停止してから、そうではなくなりました。


 景気敏感株ではありませんが、株価も収益も不安定となりディフェンシブとはいえなくなりました。原発再稼働が進めば、ディフェンシブ株に戻る可能性もありますが、現状はそうではありません。


 ガス火力発電への依存が大きい間は、原油ガス価格の変動によって収益変動が大きくなっています。


 本来、原油ガス価格が上昇しても電力料金に転嫁できるような仕組みになっているので、収益は安定的になるはずです。


 ところが、日本ではいろいろな制約があって価格転嫁ができずに、電力会社の収益が悪化することがあります(詳しい説明は割愛します)。


【3】どのような景気悪化かによって景気敏感・ディフェンシブ株の種類が変わる


 2020年のコロナショックによる景気後退は、これまでに経験したことのなかった特殊な景気後退でした。

通常はディフェンシブ株と見なされている企業の中で明暗が分かれました。


 例えば、JR各社やオリエンタルランド(4661)といった一般的な不況下ではディフェンシブと見なされる企業の収益が著しく悪化しました。


 一方、食品スーパーやドラッグストアは従来通りのディフェンシブ性を発揮して好調でした。また、外食業界は二極化しました。外食全般に業績が落ち込みましたが、持ち帰りずしやテイクアウトが伸びたマクドナルドなどは好調でした。


 今日のクイズを解くにあたり、2020年のコロナショックのような特殊な不況の再来を想定することは不要です。過去によく起きた「一般的な不況」を前提に、正解を考えてください。


正解は...

【第1問】


「景気敏感セクターを減らしてディフェンシブセクターを増やす」リバランスは以下です。


【1】自動車株「売り」 → 電鉄株「買い」
【4】機械株「売り」 → 医薬品株「買い」
【6】鉄鋼株「売り」 → 食品株「買い」
【7】百貨店株「売り」 → 食品スーパー株「買い」
【9】海運株「売り」 → 情報通信株「買い」


 以下、参考としてください。景気敏感・ディフェンシブの判断は、個別銘柄ごとにする必要がありますが、一般的には、以下のように業種ごとの特色があります。


<業種別の景気敏感度:景気敏感株~ディフェンシブ株>
【投資クイズ】世界景気悪化が心配、日本株をどうしたら良い?
出所:楽天証券経済研究所作成

【第2問】


「景気敏感株を減らしてディフェンシブ株を増やす」入れ替えは【1】【2】【3】です。


【1】ソフトバンクグループ(9984)の保有を減らす
→ソフトバンク(9434)の保有を増やす
【2】ホンダ(7267)の保有を減らす
→第一三共(4568)の保有を増やす
【3】ファナック(6954)の保有を減らす
→オリエンタルランド(4661)の保有を増やす


 一方、【4】【5】は「ディフェンシブ株を減らして景気敏感株を増やす」入れ替えとなります。


【4】KDDI(9433)の保有を減らす
→コマツ(6301)の保有を増やす
【5】日本マクドナルドHD(2702)の保有を減らす
→信越化学工業(4063)の保有を増やす


 景気の先行きは誰にも分かりません。

それでもファンドマネジャーの時は、不安が増えてきたと思う時は景気敏感株を減らしてディフェンシブ株を増やしました。いきなりドカンとやるのではなく、ほんの少しずつリバランスしました。


 1日に「景気敏感株10銘柄をポートフォリオ全体の0.1%ずつ売り、ディフェンシブ株10銘柄をポートフォリオ全体の0.1%ずつ買う」といった小さな動きだけやりました。


 個人投資家の皆さまも、楽天証券「かぶミニ®」のようなサービスを使えば、1株単位での売買が可能です。景気敏感株を10株売り、ディフェンシブ株を10株買うような入れ替えを、やってみても良いでしょう。


 景気不安があるならば、株を売ってキャッシュにすればいいと思う人もいるかもしれません。私は、それはいいとは思いません。


 なぜならば、日本株は割安で長期的には大きく上昇すると思っているからです。


 景気の見通しは往々にして外れます。景気悪化にかけて、株を売り切ってしまった後、景気が急に持ち直して、株が急騰してしまうと大きな機会損失になります。


 株を売ってキャッシュにするのではなく、景気敏感株を売ってディフェンシブ株にしながら、様子見するのがよいと私は思います。


クイズに出した銘柄は全て長期的に投資していって良いと思う銘柄

 今日のクイズに登場した銘柄を以下にまとめました。


<景気敏感株>
ソフトバンクグループ(9984)
ホンダ(7267)
ファナック(6954)
コマツ(6301)
信越化学工業(4063)


<ディフェンシブ株>
ソフトバンク(9434)
第一三共(4568)
オリエンタルランド(4661)
KDDI(9433)
日本マクドナルドHD(2702)


 上記10銘柄は、私が長期的に投資していってよいと思っている銘柄です。

ただし、その保有比率は、状況に応じて調整する必要があります。


テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ

 最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「 株トレ 」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「 株トレ ファンダメンタルズ編 」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


【投資クイズ】世界景気悪化が心配、日本株をどうしたら良い?
「株トレ」 シリーズ2点の書影

(窪田 真之)

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