マイクロン・テクノロジーの2026年8月期2Qは、売上高前年比2.96倍、営業利益同9.10倍。DRAM、NANDの価格上昇で大幅増益となった。

今3Qも業績好調が予想される。ただし、今後はDRAM価格の上昇率が鈍化する懸念がある。設備投資は今期、来期大幅増加へ。楽天証券の目標株価を引き上げるが、これまでのような株価上昇は期待しにくい。


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決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇による価格効果満喫)
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毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)


1.マイクロン・テクノロジーの2026年8月期2Qは、売上高前年比2.96倍、営業利益同9.10倍。

 マイクロン・テクノロジー(以下マイクロン)の2026年8月期2Q(2025年12月-2026年2月期、以下今2Q)は、売上高238.60億ドル(前年比2.96倍)、営業利益161.35億ドル(同9.10倍)となりました。今1Q比でも売上高74.9%増、営業利益2.63倍の大幅増収増益となりましたが、これは主にDRAM価格の上昇によります。各セグメントで見ても、DRAM価格上昇を満喫した決算となりました。DRAM価格の上昇により、営業利益は今1Q45.0%から67.6%へ上昇しました。


 セグメント別に見ると、クラウドメモリ・ビジネスユニット(以下クラウドメモリBU。大手クラウドサービス向けメモリソリューション(DRAM)と、全てのHBM)は売上高77.49億ドル(前年比2.63倍)、営業利益51.27億ドル(同3.88倍)となりました。大手クラウドサービス向けDRAMとHBM(主にHBM3e)の両方の売上高が増加しましたが、DRAMについては価格上昇が売上高増加と利益増加に結びつきました。

現時点では、HBMよりも汎用DRAMのほうが採算が高くなっています。


 コア・データセンターBU(中規模クラウドサービス、企業向けメモリソリューション(DRAM)と全てのデータセンター向けストレージソリューション(NAND))は、売上高56.87億ドル(同3.11倍)、営業利益38.09億ドル(同6.23倍)になりました。DRAM、NANDの両方が増加しましたが、ここでもDRAMの価格上昇が寄与しました。


 モバイル&クライアントBU(スマートフォン向け、パソコン向けDRAM、NAND)は、売上高77.11億ドル(同3.45倍)、営業利益58.36億ドル(前年同期は1,600万ドル)となりました。市況の影響を最も受けやすいセグメントと思われますが、DRAM上昇がフルに寄与しました。


 自動車&組み込みビジネスユニット(自動車向けと組み込み半導体向けDRAM、NAND)は、売上高27.08億ドル(同2.62倍)、営業利益16.82億ドル(前年同期は6,100万ドル)となりました。自動車向けのDRAM容量増加とDRAM価格上昇が寄与しました。


 テクノロジー別売上高を見ると、DRAMは187.68億ドル(前年比3.07倍、今1Q比73.6%増)と好調でした。ビット出荷は今1Q比一桁台半ばの増加で、価格は同じく60%台半ばの上昇率となりました。また、NANDは49.97億ドル(前年比2.69倍、今1Q比82.2%増)となりました。ビット出荷量は同じく一桁台前半の伸び、価格は同じく70%台後半の上昇率となりました。


表1 マイクロン・テクノロジーの業績
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株価(NASDAQ) 422.90ドル(2026年3月20日)時価総額 476,185百万ドル(2026年3月20日)発行済株数 1,142百万株(希薄化後、Diluted)発行済株数 1,126百万株(希薄化前、Basic)単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。

表2 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(四半期)
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単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

表3 マイクロン・テクノロジー:テクノロジー別売上高
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単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

2.会社側は今3Qも大幅増収増益を見込む。

 今3Qの会社側業績ガイダンスは、表4の通りです。この通りに計算すると、今3Qは売上高335.00億ドル(前年比3.60倍)、営業利益255.40億ドル(同11.78倍)となる見込みです。大幅増収増益が続く見込みですが、今2Q比では40.4%増収、58.3%営業増益となる見込みで、業績の伸びが鈍化する見通しです。


 DRAM、NAND両方の品不足に伴い、設備投資を増やしています。設備投資は今1Q53.89億ドルから今2Q63.87億ドルへ増加しました。今3Qは70億ドルとなる見込みです。会社側は2026年8月期設備投資予想を前回の200億ドルから250億ドル以上に上方修正しました。


 また、2027年8月期設備投資は建設関連だけで最低でも100億ドル以上の増加が見込まれます。


表4 2026年8月期3Q会社側業績ガイダンス
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単位:億ドル        注:太字は会社側ガイダンス。それ以外は会社側ガイダンスを元にした楽天証券計算。

グラフ1 マイクロン・テクノロジーの設備投資:四半期ベース
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単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ2 マイクロン・テクノロジーの設備投資:年度ベース
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単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

3.2026年8月期、2027年8月期とも大幅増収増益が予想される。DRAMの店頭価格と大口向け価格の動向に注意したい。

 2026年8月期、2027年8月期の業績を予想する上で重要なのは、汎用DRAM、NAND、HBMの需要と設備投資とともに、DRAM、NANDの価格、特にDRAM価格の動きです。


 グラフ3は、DRAM大口価格の推移をみたものです。

DDR4の大口価格は2025年4月の最安値から現在までに7倍以上になりました。


 一方、グラフ5はパソコン用DDR5メモリカードの店頭販売価格です。これも昨年9月から今年2月まで7倍以上になりましたが、その後緩やかに下落しています。下落した理由はおそらくですが、買い手が個人のパソコンユーザー(パソコン自作ユーザー)の場合は、予算を大きく超過したためであり、パソコンメーカー(BTOメーカー)の場合は、この値段でDRAMを仕入れても採算が合わないと判断される価格に到達したからだと思われます。そうであるとしたら、法人向け大口価格の上昇もほどなく落ち着く可能性があります。


 表5は、メモリメーカーから大口顧客に販売される大口契約価格の変化率を表したものです。2025年1-3月期の底値から2026年1-3月期(推定)までにDRAMで3.7倍になりました。大口契約価格が大口市況に沿って動くとすると、今後50~100%上昇する可能性があると思われますが、店頭販売価格が再度上昇することがない場合は、これからの50~100%上昇で汎用DRAMの上昇が止まる可能性があります。ただしAIサーバー向けDRAM、NAND(SSD)の予算が十分ある場合は、DRAM、NAND価格が上昇する余地は大きいと思われます。これについては今後の注目点です。


 マイクロンはエヌビディアの次世代機「Vera Rubin」に搭載する最新型の「HBM4 36GB 12-Hi」(12層)の生産出荷を開始しましたが、年1回数量と価格を決めるHBMの価格がどうなるかも今後の焦点になると思われます。昨年夏に今年2026年のHBMの数量と価格が決まった模様ですが、丁度DRAM価格が上昇している過程であり、DRAMメーカーから見て十分なHBMの値上げができなかったと思われます。

今年の価格交渉が注目されます。


 ちなみに、NAND市況の上昇はまだ小幅ですが(グラフ4)、SSDの店頭価格は大幅に上昇した後、上昇が止まっています。大手メモリメーカーの中にはDRAM不足に対応してNANDの生産ラインをDRAMに転換している場合があるため、SSD価格は高値を維持する可能性がありますが、消費者やパソコンメーカーの購買力を考えると、これ以上の価格上昇は難しい可能性があります。


 また、会社側は戦略的顧客契約(SCA)を大口顧客1社と締結しました。これは複数年にわたって納入契約を決めるものです。契約の詳細は不明ですが、DRAM、NAND、HBMをパッケージで納入し、各年度に価格と数量を決める契約になっている可能性があります。今後どの程度まで拡大するか不明ですが、業績の安定要因にはなると思われます。


 このような状況を踏まえ、楽天証券ではマイクロンの2026年8月期を売上高1,140億ドル(前年比3.05倍)、営業利益818億ドル(同8.37倍)、2027年8月期を売上高1,700億ドル(同49.1%増)、営業利益1,250億ドル(同52.4%増)と予想します。今期は価格効果で好調ですが、来期は業績の牽引役が価格効果から増産による数量効果に移行する可能性があります。その場合、営業利益率の上昇が鈍化する可能性があります。


グラフ3 DRAMの市況(国内大口需要家向け)
決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇による価格効果満喫)
単位:ドル、国内大口需要家渡し、4ギガビット(2018年6月26日までDDR3、2018年7月3日からDDR4、2021年5月11日からDDR3)、8ギガビット(DDR4)、出所:日経新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況(国内大口需要家向け)
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単位:ドル、国内大口需要家渡し、TLC(注:2017年5月30日付で従来の多値品がTLCに変更された)、出所:日経新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ5 パソコン用メモリ(DRAM)の店頭価格
決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇による価格効果満喫)
CFD:W5U5600CS-16G [DDR5 PC5-44800 16GB×2枚組]平均価格、単位:円、出所:価格ドットコムの価格推移グラフより楽天証券作成。週初価格を抽出

グラフ6 SSDの店頭価格
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Sundisk:WD Blue SA510 SATA WDS100T3B0A、1TB、平均価格、単位:円、出所:価格ドットコムの価格推移グラフより楽天証券作成。週初価格を抽出

表5 DRAM、NANDの大口契約価格上昇率
決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇による価格効果満喫)
単位:%出所:TrendForceより楽天証券作成

表6 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(通期)
決算レポート:マイクロン・テクノロジー(DRAM市況上昇による価格効果満喫)
単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

4.マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を530ドルとする。

 マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の400ドルから530ドルに引き上げます。


 楽天証券の2026年8月期予想1株当たり利益(EPS)60.6ドルに、今後の市況頭打ちの可能性、設備投資増加と増産による営業利益率低下懸念を織り込んで、想定株価収益率(PER)8~9倍を当てはめました。


 もう一段の株価上昇が期待されますが、中長期投資の対象ではないと思われます。


本レポートに掲載した銘柄: マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)


(今中 能夫)

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