ホルムズ海峡封鎖が長期化する中、日本と韓国に向けた原油タンカーの運航状況を比較しました。中東依存度が高い両国ですが、米国からのタンカー数、ロシア積みのタンカーの有無などに大きな違いがあります。
日韓の原油タンカーがペルシャ湾内で足止め
中東依存度が高い日本(依存度95%、原油消費量日量約300万バレル)と韓国(依存度70%、原油消費量日量約250万バレル)向けの原油タンカー運航状況を、可能な限りの情報を集めて把握し、推定しました。
まずペルシャ湾内に足止めされている原油タンカーのうち、日本向けでは7隻のVLCC(30万トン級)と1隻のPanamax(5万~8万トン級)の計8隻が確認できました(一部推定)。他方、韓国向けは、3隻のVLCCが確認できました。また、韓国国内では計7隻の石油タンカー(原油か石油製品かは不明)がペルシャ湾内で足止めされていると報道されています。
<ペルシャ湾内で足止めされている原油タンカー(日本・韓国向け)> 船名 積み地 仕向け地 載貨重量
(千DWT) オーナー 日本向け Mayasan サウジアラビア 苫小牧 312 商船三井 Towada サウジアラビア 四日市 306 日本郵船 Miracle Hope サウジアラビア 大分 319 CIDO Shaden サウジアラビア 喜入 300 Bahri Azumasan サウジアラビア 沖縄 302 商船三井 Tonegawa サウジアラビア 日本 313 川崎汽船 Daisen アラブ首長国連邦 日本 312 商船三井 Torm Evelyn バーレーン 千葉 75 Torm 韓国向け Asian Progress VII サウジアラビア Daesan 310 商船三井 Grand Bonanza サウジアラビア Onsan 300 Pan Ocean Universal Glory サウジアラビア Yeosu 301 Uglory 他4隻(石油製品タンカーを含む可能性あり) ※オーナーは実質オーナーを含む
出所:MarineTraffic、Oceanookなどより楽天証券経済研究所が可能な限り集計して作成(推定含む)
ヤンブー積みは日韓ともに1~3隻程度
ホルムズ海峡封鎖の状況下、サウジアラビアはペルシャ湾の外にいてサウジアラビアの原油を積むために待機していた原油タンカーに対し、紅海側のヤンブー港に回り込んで原油を積むように要請しました。
ヤンブー港に至るにはイエメンのフーシ派によるテロが懸念されるバブ・エル・マンデブ海峡を通過する必要がありますが、日韓ともに1~3隻程度がヤンブー積みを既に実施、もしくは今後実施する予定のようです。
<サウジ紅海岸ヤンブー積み原油タンカー(日本・韓国向け)> 船名 積み地 仕向け地 載貨重量
(千DWT) オーナー 日本向け 不明 サウジアラビア (ヤンブー) 今治 不明 不明 Khurais サウジアラビア (ヤンブー) 四日市 299 Bahri 他1隻程度 韓国向け Rivera サウジアラビア (ヤンブー) Onsan 113 TMS 他1隻程度 ※オーナーは実質オーナーを含む
出所:MarineTraffic、Oceanookなどより楽天証券経済研究所が可能な限り集計して作成(推定含む)
日本向けには既にヤンブーで積んでバブ・エル・マンデブ海峡を通過したタンカーの原油が、マレーシアで積み替えられ、太陽石油の四国事業所(今治)に3月28日に到着する予定となっていることが報じられています(船名は不明)。
加えて、「Khurais」というVLCCが既にヤンブーでの積み荷を終えてバブ・エル・マンデブ海峡に向かって南下していることが確認できました。
<Khuraisの航路(Yanbu to Yokkaichi)>(現在紅海を南下中)
韓国向けには一隻のみ、RiveraというAframax(8万~12万トン)級原油タンカーが既にヤンブーでの積み荷を終えてバブ・エル・マンデブ海峡を通過し、韓国のオンサンに向けてインド洋を航行中であることが確認できました。
<Riveraの航路(Yanbu to Onsan)>(現在インド南端沖合を東に向かって航海中)
米国からの原油タンカーは日本が3隻、韓国は10隻
中東原油の調達が困難となる中、代替調達先の大本命である米国メキシコ湾岸からは、現在、日本(米国依存度2%)向けに3隻、韓国(米国依存度12%)向けに10隻の原油タンカーが航行中であることが確認できました。
米国メキシコ湾岸から日本向けには常時2隻程度のタンカーが航行しているのが通常(年間17隻、片道航海日数45日として、17÷365×45で計算)ですので、通常より多いといえます。
今回の事態を受けて石油元売りがスポット取引で調達した可能性がありますが、「石油連盟が、米国など中東以外から原油を輸入しても日本に到着するのは最短で6月を見込んでいる」と報じられていることからすると、スポット調達は行っておらず、タイミングの兼ね合いでたまたま3隻になっているものと思われます。
米国メキシコ湾岸から韓国向けには常時11隻程度のタンカーが航行しているのが通常(年間91隻、片道航海日数45日として、91÷365×45で計算)ですので、現在の10隻は通常の水準といえます。今回の事態を受けても米国積み原油についてはまだスポット調達を行っていない可能性が推測されます。
<米国から航行中の原油タンカー(日本・韓国向け)> 船名 積み地 仕向け地 載貨重量
(千DWT) オーナー 日本向け Tateshina メキシコ湾岸 菊間 312 日本郵船 Cosdignity Lake メキシコ湾岸 菊間 308 COSCO Princess Vanya メキシコ湾岸 四日市 319 Kronos 韓国向け Ajwad メキシコ湾岸 Daesan 299 Bahri Das メキシコ湾岸 Daesan 300 Hunter Pascagoula Voyager メキシコ湾岸 Daesan 319 Chevron VL Renaissance メキシコ湾岸 Daesan 319 GL NV31 Almi Hercules メキシコ湾岸 Ulsan 319 Rubino Melody Hope メキシコ湾岸 Ulsan 300 Giant Star Advantage Verity メキシコ湾岸 Yeosu 300 Awilco Houston Voyager メキシコ湾岸 Yeosu 319 Oman Richmond Voyager メキシコ湾岸 Yeosu 319 Replica Sea Turtle メキシコ湾岸 Yeosu 114 Pantheon ※オーナーは実質オーナーを含む
出所:MarineTraffic、Oceanookなどより楽天証券経済研究所が可能な限り集計して作成(推定含む)
中東・米国以外からの原油タンカー数、韓国向けがロシア積み含め6隻
中東および米国以外の地域については、日本向けの存在は現時点で確認できませんでした。
他方、韓国向けについてはブラジル、オーストラリア、ロシア積みなど6隻が確認できました。ブラジル積みやオーストラリア積みなどは、今回ホルムズ海峡封鎖を受けて調達した原油なのか、もともと存在した契約に基づく原油なのかは分かりません。
しかし、ロシア積みのものについては、ロシアによるウクライナ侵攻以降韓国が停止していたロシア原油の調達を、ホルムズ海峡封鎖を受けて背に腹は代えられず再開したものと見られます。
<他地域から航行中の原油タンカー(日本・韓国向け)> 船名 積み地 仕向け地 載貨重量
(千DWT) オーナー 日本向け - - - - - 韓国向け Crescent River パプアニューギニア Daesan 113 川崎汽船 Yuan Lian Wan オーストラリア Daesan 114 COSCO New Journey ブラジル Ulsan 308 - Seacross アルジェリア Onsan 163 Thenamaris Christina ロシア黒海沿岸 Ulsan 159 Christina Nantucket ロシア黒海沿岸 Yeosu 157 - ※オーナーは実質オーナーを含む
出所:MarineTraffic、Oceanookなどより楽天証券経済研究所が可能な限り集計して作成(推定含む)
ロシア積みのSuezmax(16万トン)級原油タンカーはChristinaとNantucketの2隻で、いずれも黒海北東岸のノボロシスクでロシア原油を積み込んだものです。Christinaは地中海からジブラルタル海峡を通り、現在はモロッコ沖合にいる状況です。
<Christinaの航路(Novorossiysk to Ulsan)>(黒海から地中海経由でモロッコ沖合を航行中)
他方Nantucketは、地中海からスエズ運河、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡を経由して、現在はインド洋を航行中の状況です。
<Nantucketの航路(Novorossiysk to Yeosu)>(紅海を抜けてインド洋を航行中)
日本より相対的に中東依存度の低い韓国は、米国からの安定した調達に加えて、ロシアを含めた他地域からの調達によって原油不足の緩和に向けた取り組みに手を付けています。他方で中東依存度の高い日本は、米国からの調達量増加に努めている可能性はあるものの、韓国に比して見劣りする状況であることに加え、他地域からの調達も実現できていない可能性が高いです。
G7の一員としてロシアによるウクライナ攻撃に対する制裁に参加し、47.6ドル以上ではロシア原油を買わない政策を導入している日本は、G7ではない韓国に比して原油調達手段の柔軟性が低い状況にあるといえます。
しかしサハリン2がG7による制裁の例外として認められていること、中東依存度が高い日本が直面している現在の困難の大きさなどを考慮すれば、韓国同様にロシアの原油を輸入する道が開くことを検討する必要があると感じます。
(西 勇太郎)

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