前編では、奨学金384万円の負債を抱えたどん底から、家賃5,000円のハックや夜勤・ダブルワークという「狂気」の節約術で資産形成の土台を築いたくらまさんの歩みを伺いました。後編では、ためた資金をいかにして運用し1億円という大台に乗せたのか「究極の守り」の投資哲学に迫ります。


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貯蓄はゴールではない。資産形成を加速させた「投資」という選択

トウシル:前編では、徹底した節約と労働で1,000万円をためたところまで伺いました。そこからのチャレンジとは何だったんでしょうか。


くらまさん:もちろん投資です。正直なところ、1,000万円たまった時点では「このままため続けていけば着実に豊かになれる。もう人生、[勝ち確]だな」と思っていました。YouTubeの登録者数や再生回数も伸びていたし、本業も昇給しています。毎年300万円ずつためられるなら、リスクを取らずに定期預金でいいじゃないかと。しかし、そこでふと「我に返った」瞬間があったんです。


トウシル:我に返った、といいますと?


くらまさん:銀行に預けていても、利息なんて0.0何%というレベルですよね。一方で、マクロの視点で見れば世界は着実にインフレしています。公務員試験対策で学んだ経済の知識が、ここで自分事としてつながったんです。

「インフレ下では、現金だけを持っていることは、実質的に資産を減らしているのと同じだ」と。


「倹者」が行き着いた究極の分散。株・金・ビットコインの守りのポートフォリオ:節約系YouTuber・くらまさんインタビュー[後編]
貯金に成功し、どん底を抜け出した時、周りの景色がようやく見えてきた。まだまだ上を目指せると気づき、マネー戦略を立て直し、さらなる上昇気流に乗り始めた

トウシル:詰め込んでいた知識が、1,000万円という実感を伴う数字を前にして、現実味を帯びてきたんですね!


くらまさん:そうです。日本は長くデフレだと言われてきましたが、マクドナルドのハンバーガーが60円だった時代から考えれば、確実に物価は上がっています。さらに、僕らが預けている銀行預金や年金が、実は市場で運用されているという事実も大きかったです。


 大学の経済学のテストで「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用は是か非か」という問題が出て、当時は「人の金を勝手に運用するのは良くない」と答えた記憶がありますが、今なら誤りだったと理解できます。運用しない手はないんですよ。プロが資産を増やす手段として投資を選んでいるのですから、自分たちも絶対にやるべきなんです。


全世界株式に行き着く理由。勝ち続けるためのシンプルな思考法

トウシル:納得感を持って始められた投資ですが、最初はどんな銘柄を選んだのでしょうか。


くらまさん:僕は「情報の相見積もり」を徹底するタイプなので、まずは本を何冊も読み、YouTubeでいろんな投資家の意見を照合しました。その結果、全員が共通して「インデックス投資がいい」と言っていたんです。


 ならば、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)(当時)の枠を使って、全世界株式(オール・カントリー)とS&P500を楽天証券で買う。

これが一番合理的だと結論づけました。


トウシル:非常に手堅いスタートですね。


くらまさん:最初は月3万3,333円から始めました。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の2万3,000円も併用して、月5万円強の積み立てです。


 投資の世界は「本当っぽいうそ」がまん延するライアーゲームのような側面がありますが、山崎元さんのような信頼できる方々の理論を学べば、最後は全世界株式に行き着きます。世界経済は成長していく可能性が高いので、そこに投資しておけば間違いないという理屈です。


トウシル:株主優待銘柄へは投資しなかったんですか? 節約家の方は率先して利用しそうな印象があります。


くらまさん:僕は優待株や高配当株にはあまり魅力を感じません。なぜなら、僕は「将来の成長性」に対して投資をしているからです。会社が配当や優待を出すということは、その分、成長のための再投資に回す資金が減るということですよね。それなら会社の成長のためにお金を使ってほしい、というのが僕の思想です。


トウシル:徹底したキャピタルゲイン重視ですね。


くらまさん:利確をせずに再投資に回し続ける方が、税制面でも複利の効果でも圧倒的に経済合理性があります。1円でも無駄にしたくない倹約家だからこそ、目先の優待よりも、数十年後の大きな値上がりを選びました。


2,000万円の含み損も「誤差」。ビットコインと金で築く守りの分散戦略

トウシル:1,000万円、3,000万円と資産が増えていく中で、さらに投資対象を広げられましたよね。特にビットコインへの投資は、節約家としてのイメージからは少し意外でした。


くらまさん:あちこちで「くらまもギャンブルに手を出したか」「闇落ちすると思っていた」と言われました(笑)。しかし、僕の中でビットコインは「攻め」ではなく、究極の「守り」の資産なんです。


トウシル:仮想通貨が守りとは、ちょっと意外なお答えです。詳しく教えてください!


くらまさん:僕は日本の財政問題、つまり1,000兆円を超える国の借金に対して、強い危機感を持っています。公務員を目指していた頃から「自分が就職する先の財務状況がこれほど悪いのは大丈夫なのか」と疑問でした。もし将来、円の価値が暴落するような事態になったら、日本円しか持っていない人は一瞬で資産を失います。


トウシル:その通貨危機への備えがビットコインなんですか?


くらまさん:その通りです。

ビットコインは中央管理者が存在せず、発行上限が2,100万枚と決まっている、円やドルのような「無限に刷れる通貨」に対するアンチテーゼとしてつくられた仕組みです。無政府通貨といえる存在であるからこそ、どの国の通貨に問題が起きても価値を維持できる唯一の資産であると捉えているんです。


トウシル:一般的な通貨とはそもそもの成り立ちが違うんですね。一方で、取引所の破綻や大暴落など、ネガティブなニュースがあるのも事実です。


くらまさん:確かに、2022年に世界的な取引所だったFTXが破綻し、ビットコイン価格が70%も暴落し、誰もが「ビットコインは終わった」と評価した時期がありました。しかし僕は、FTXの破綻は人間のミスであり、ビットコインという仕組み自体の欠陥ではないという確信がありました。


 たとえ大手の取引所が破綻したところで、人間の介在しないビットコインの本質的価値には影響はないんです。僕はあの暴落を安く買えるチャンスと捉え、700万円ほど追加で購入しています。実際、その後価格は数倍に跳ね上がり、僕を1億円のステージに押し上げてくれました。


トウシル:守りの投資といえば、くらまさんのポートフォリオの中には「金(ゴールド)」も組み込まれていますよね。


くらまさん:ビットコインと金は、僕の中でセットです。この二つはお互いの弱点を補完し合える関係にあります。


「倹者」が行き着いた究極の分散。株・金・ビットコインの守りのポートフォリオ:節約系YouTuber・くらまさんインタビュー[後編]
YouTubeでもビットコインの可能性についてアツく語る。究極の攻めは究極の守り、というのがくらまさんの信念。マクロ経済と世界の未来を俯瞰(ふかん)できるこの対談も人気回

トウシル:どのような補完関係なのでしょう。


くらまさん:金の最大の弱点は「持ち運び」と「侵略」です。もし戦争が起きて国外へ逃げなければならない時、1キロの金塊を持って飛行機に乗れますか? 税関で止められるし、何より重くて狙われます。しかし、ビットコインなら、脳内に「シードフレーズ(秘密鍵)」があれば、身一つで世界中どこへでも資産を運べます。


トウシル:なるほど、無国籍資産としての強みですね。


くらまさん:反対に、ビットコインはインターネット環境やデジタルデバイスへの依存という弱点がありますので、その点では実体のある「金」の価値が高くなります。このデジタルと現物資産の分散こそが、これからの不安定な時代における真の守りだと考えています。


トウシル:なるほど。とはいえ、ビットコインのボラティリティが高いのは事実かと思います。くらまさんご自身も、今年の2月の急落で資産が2,000万円ほど減ったという動画をアップされていました。資産の大半が価値を失う不安はないのでしょうか?


くらまさん:全く不安はないですね(笑)。先日の暴落時には確かに2,000万円分ほど値下がりましたが、金や株が下支えしてくれました。

分散投資が機能していたので、トータルの資産額としてはそこまで大きな痛手ではなかったんです。それに、短期のボラティリティなんて、長期で見ればただの誤差ですよ。


1億円の先にあるもの。刃を研ぎ続けた先で見つけた「家族」という答え

トウシル:資産1億円を達成した今、くらまさんが次に見据えている目標は何でしょうか。


くらまさん:次は「2億円」ですね。これも一つの山登りみたいなものです。富士山に登ったから、次はエベレストを目指すような気持ちですね。しかし、ただため続けるだけではなく、同時に「お金を使うこと」への挑戦も始めています。


トウシル:節約を極めたくらまさんがお金を使う…!


くらまさん:お金は価値の保存手段であって、使わなければただの数字ですから。僕が考える中で、自分にとって最も人生を豊かにし、かつ納得感のある「合理的なお金の使い道」は、家族をつくることだと思っています。なので、最近は積極的に婚活に取り組んでいるんです。


トウシル:1億円持っていたらすぐにお相手が見つかりそうですが、結婚するならどのようなお相手がいいですか?


くらまさん:相手に求めるものがあるとすれば、何よりも「経済的自立」ですね。自分自身の足で立ち、お金の価値観が合致している人です。お互いの経済力に依存しなくてすむからこそ、純粋に相手を尊重し、良い関係でいられるんじゃないかと。


 実は僕の親は貯金ゼロというくらい経済的に問題がある夫婦でした。お金を理由にしょっちゅうケンカをしていたのですが、僕が指南して資産形成に成功すると、見違えるように仲良くなりました。その姿を見て「お金の不安がない結婚生活がいいな」と確信したんです。


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「どんな人がタイプなんですか?」と聞いたトウシルに、「どんな人だと思います?」と逆質問したくらまさん。日ごろからくらまさんファンで動画をよく見ているライター・手塚氏は「経済的に自立している女性」と答え「大正解!」とくらまさんから褒められていた

トウシル:最後に、くらまさんのように1億円を目指したいトウシル読者へ、メッセージをお願いします。


くらまさん:僕がやってきたことは、特別な才能が必要なことではありません。「収入を上げ、支出を下げ、残ったお金を運用に回す」。この誰にでもできる当たり前のことを、ただ淡々と続ければ、資産を増やせると思います。


トウシル:もう一声アドバイスを! 一番難しい「継続」するためのコツを教えてください!


くらまさん:自分の得意な領域で戦うのが一番大事だと思います。僕自身、1,000万円から1億円まで続けてきたのは「自分が好きなものに投資し続ける」「長く持ち続けられる銘柄を選ぶ」というだけです。インデックス投資が合うならそれを、節約が楽しいならそれを。一つの刃を研ぎ続けることが結局、唯一無二の強みをつくることにつながります。


 僕の10%でも20%でもまねをすれば、必ず資産は増えます。いきなり僕のまねをするのは、無酸素でエベレストに登るようなものです。まずは身近な山から一歩一歩、継続して登り続けてください。その先に、必ず景色が変わる瞬間が待っていますよ。


トウシル:節約を極めれば1億円にも届くという希望が見えたお話を聞かせていただきました! 今日はありがとうございました! 婚活がんばってください!


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現在、お金の不安に押しつぶされそうになっている方々へ力強いエール。無理せず自分に合ったマネー戦略でまずは一歩を踏み出すことが重要

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『手取り26万円でもできる 資産1億の作り方 普通の会社員が着実にお金を増やせる投資法』 /著者:くらま(倹者の流儀)2026年02月18日発売/KADOKAWA/1,870円(税込)

▼前編はこちら

借金384万円から資産1億円へ。「倹者」が語る人生逆転の資産形成術:節約系YouTuber・くらまさんインタビュー[前編]


(トウシル編集チーム)

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