長期的に高いリターンが期待できる株への投資は大切ですが、株への集中投資は危険です。日本株も米国株も何らかのショックがあると、短期的に2~3割下がることがよくあります。

今回は、分散投資の有力候補、債券について学びましょう。


【投資クイズ】分散投資で注目の国債:金利上昇で価格はどうなる...の画像はこちら >>

債券投資、しっかり学びましょう

「資産形成について学ぶ」というと、株について勉強すると思う人が多く、債券についてしっかり学ぼうとする人はあまり見かけません。「株は難しいけれど債券は簡単」と勘違いしている方が多いのではないでしょうか。


 確かに、「個人向け国債」のように大きく値動きしない仕組みの債券は、ほとんど元本割れがないのでリスク管理が簡単です。


 ところが、10年固定利付きの長期国債は、そうではありません。金利上昇や金利低下によって、大幅に値下がりしたり、値上がりしたりします。


 そこで、今日は、金利上昇時に、長期国債の価格がどの程度下がるかを学ぶためのクイズを出します。


今日のクイズ

 10年新発国債(年利回り2.35%)を、額面100円で100万円購入しました。 


 購入時点で2.35%だった長期金利(10年新発国債利回り)が購入直後に3.35%に上昇したとします。その場合、購入したばかりの表面利率2.35%の国債は約何%値下がりするでしょう。以下の【1】【2】【3】から一つ、選んでください。


【1】約3%値下がり。97円になる
【2】約8%値下がり。92円になる
【3】約15%値下がり。

85円になる


(注)2026年3月31日時点で、10年新発国債利回りは約2.35%です。利回りは全て単利ベースです。


 日本の国債は、30年国債でも、40年国債でも、満期まで保有するならば確定利回りです(日本国が破綻しない前提で話をしています)。ただし、30年も40年も持ち続けられるか、分かりません。途中で売却する可能性もあります。


 その時、買い値を下回る価格での売却となって損失が出る可能性もあります。それを理解しながら、長期債にも分散投資していくと良いと思います。


 なお、今日のクイズで取りあげるのは、一般の国債(固定利付債)です。途中売却で損失が出にくいように設計されている「個人向け国債」とは異なります。値動きが大きい代わりに、利回りが個人向け国債よりも高くなるのが普通です。


日本国債の利回り

 正解に進む前に一つ、見ていただきたいものがあります。3月31日の日本国債利回り一覧です。償還までの年数によって、利回りが異なります。


<日本の国債の利回り(固定利付債、単利):2026年3月31日15時>
【投資クイズ】分散投資で注目の国債:金利上昇で価格はどうなる?
出所:QUICK

 10年国債なら利回りが2.35%あります。魅力的な利回りです。10年先まで持ち続ければ、元本で償還されるので確定利回り(日本国は破綻しない前提)ですが、それまで持ち続けられるか分かりません。途中でお金が必要になって売却するかもしれません。


 途中で売却する時に値下がりしていなければ良いですが、値下がりしている可能性もあります。一番心配しなくてはならないのは、金利上昇リスクです。市場金利が上昇すると、長期国債は値下がりします。もし1%金利が上昇すると、どの位、値下がりするのでしょうか。それを考えるのが、今日のクイズです。10年国債を例としてクイズにしました。


正解は…

 正解:【2】約8%値下がり。92円になる。けっこう大きく値下がりします。

10年後に額面100円で償還されるのですが、いったん92円まで値下がりします。


 この新発10年国債の、金利上昇前と金利上昇後の利回りを計算してみましょう(単利で計算)。説明を分かりやすくするために、額面100円の国債を100円で買ったものとして説明します。 


<金利上昇前:10年新発国債利回りが2.35%の時>

 投資額(額面)=100円
 1年間の利息=2.35円
 10年目に受け取る償還金(元本)=100円
 これを表に書くと、以下の通りです。


【投資クイズ】分散投資で注目の国債:金利上昇で価格はどうなる?
100円を投資し新発10年国債の利回りが2.35%のとき受け取れる金額の表

 この国債に100円投資して、10年間で123.5円得られます。つまり、10年間のリターンは合計23.5円です。年利回りは(23.5円÷10年)÷100円=2.35%です。


 それでは、ここで突然、長期(10年)金利が突然1%上昇して、3.35%になったとします。日本国が新規に10年国債を発行しようとすると、毎年元本(100円)当たり3.35円の利息をつけないと、発行できないことになります。


 そうなると、1年に2.35円の利息しかつけない、上記国債をそのまま額面(100円)で買う人はいなくなります。この国債は、値下げしないと売れません。いくらまで値下げしたら売れるでしょうか? その答えが、約92円です。


 92円に値下がりした国債を買った人が償還まで持てば、年利回りは約3.4%となります。92円まで値下がりすれば、買い手があらわれることになります。


<金利上昇後:10年新発国債利回りが3.35%になった後>

 投資額(額面よりも値下がり)=92円
 1年間の利息=2.35円 
 10年目に受け取る償還金(元本)=100円
 これを表に書くと、以下の通りです。


【投資クイズ】分散投資で注目の国債:金利上昇で価格はどうなる?
国債が92円に値下がりし新発10年国債の利回りが3.35%のとき受け取れる金額の表

 この国債に投資すると、投資額は92円ですが、10年後に100円で償還されます。償還差益8円が得られます。それとは別に、毎年2.35円の利息が得られます。10年間の利息合計は23.5円です。


 まとめると、この国債に92円投資して、10年間で123.5円得られるわけです。つまり、10年間のリターンは合計123.5-92=31.5円です。


 年利回りは(31.5円÷10年)÷92円=3.42%(約3.4%)です。


長期国債は金利が低下すると値上がり

 前段で、固定利付の10年国債が、市場金利が1%上昇すると、約8%値下がりすることが分かりました。逆にいえば、固定利付の10年国債は、市場金利が1%低下すれば値上がりします。


 一般的に以下の傾向があります。


【1】景気が良い時→金利が上昇→長期国債が値下がり
【2】景気が悪い時→金利が低下→長期国債が値上がり


長期国債と株の分散投資効果

 株は、国債とは逆の動きをすることが多いので、株と長期国債への同時投資は分散投資効果が働くことが多いといえます。


【1】景気が良い時→株が上昇→金利が上昇→長期国債は値下がり
【2】景気が悪い時→株が下落→金利が低下→長期国債は値上がり


 上記の関係が成り立つことが多いので、株と長期国債への分散投資は、長期的な資産形成におけるリスク管理として有効です。


 ただし、上記関係がいつでも必ず成り立つわけではありません。不況下の株高や、好況下の株安もあります。株と債券が同時に上昇したり、同時に下がったりすることも、特殊な経済環境下ではあり得ます。それでも、長期の資産形成では、株と債券に分散しておいた方がリスク管理上有効であることには変わりません。 


(窪田 真之)

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