「2nd STREET」や「GEO」を展開する、中古品販売大手のゲオホールディングスは、10年間で売上高が1.6倍、株主資本が1.4倍の成長を遂げています。他方、株価は1.1倍の成長にとどまっており、同業他社と比較しても割安です。
ナフサ不足で新品製造が滞ると中古品販売が拡大する可能性
ゲオホールディングス(2681 東京) (株価1,851円、時価総額736億円:4月6日終値)は愛知県名古屋市に本社を置く企業で、レンタルビデオ店「GEO」、総合リユースショップ「2nd STREET(セカンドストリート)」を全国展開しています。
1989年にレンタルビデオ店として設立され、2008年に中古品販売の「セカンドストリート」を子会社化。レンタル市場縮小の中で中古品販売を行うリユース事業への転換を進め、現在は国内リユース市場でシェア1位です。
リユース事業では、衣料、家電、雑貨から高級時計まで幅広く取り扱う業態で店舗数を増やし続けており、海外にも積極展開しています。一方、GEOのレンタル事業は市場縮小に伴い店舗数が減少傾向です。
ゲオHDと国内で競合する企業としては、 ブックオフグループホールディングス(9278 東京) 、 トレジャー・ファクトリー(3093 東京) 、 ハードオフコーポレーション(2674 東京) 、 ワットマン(9927 東京) 、 買取王国(3181 東京) 、 テイツー(7610 東京) 、 マーケットエンタープライズ(3135 東京) 、 まんだらけ(2652 東京) 、 オークネット(3964 東京) などがあります。
ゲオHDと最も競合度が高いのはブックオフグループHDです。書籍のイメージが強いですが、現在は家電、ホビー、ブランド品、衣料まで扱う総合リユースへと拡大しており、全国規模の店舗網を持つ点でもゲオと直接競合します。
次に競合度が高いのはトレジャー・ファクトリーで、衣料、家具、家電を中心とした総合リユースという点でゲオHDの「2nd STREET」とほぼ同じ領域をカバーし、都市部では出店競争が顕著です。ハードオフコーポレーションも家電、楽器、ホビーに強みを持ち、商材の重なりが大きいことから競合度は高い部類に入ります。
ワットマンや買取王国は総合リユース型で商材は近いですが、地域密着型で店舗数が限定されるため競合度は中程度にとどまるといえます。テイツーはゲーム、ホビー、書籍に特化しており、ゲオのゲーム・メディア領域と重なる部分があるものの、総合リユースではないため競合度は中程度です。
マーケットエンタープライズはEC特化型で直接の店舗競合はありませんが、買取チャネルでは顧客を奪い合う関係にあります。まんだらけは漫画、アニメ、ホビーに特化した独自色の強い企業で、ゲオと重なるのはホビー領域の一部に限られるため競合度は低めです。オークネットはBtoBオークションが中心で小売領域での直接競合は少なく、競合度は最も低いといえます。
ホルムズ海峡封鎖に起因するナフサ不足によってプラスチック製品や家電・日用品の新製品供給が滞ると、消費者は新品購入ができず、中古品への需要が高まります。
これにより、ゲオHDやトレジャー・ファクトリー、ハードオフコーポレーションなど総合リユース企業については、家電、家具、雑貨の販売増が期待できる状況です。特に家電は代替が効かない部材が多いため新品価格の上昇と供給遅延が起きやすく、中古家電の需要が急伸しやすいと考えられます。
戦略的帰結としての当期純利益レンジ推移
ゲオHDの売上高と売上総利益は増加し続けているものの、当期純利益は、コロナ禍初期の新作映画公開延期に伴う新作供給不足がレンタル事業の急激な悪化につながった2021年3月期以外、おおむね40億~110億円のレンジで推移しています。
これは、国内外で直営店中心の店舗数増加を続ける同社の成長戦略の当然の帰結と言え、店舗数増加による固定費増加が販管費増加につながり、営業利益以下の利益項目のレンジ推移を招いています。
店舗数増加は当然のことながら同社がコントロールしています。そのため、当期純利益の40億~110億円のレンジ推移も、同社がコントロールした結果といえます。
アマゾン・ドット・コム(AMZN NASDAQ) が長らく市場シェア拡大を優先して赤字計上を続けたのに近い戦略といえるかと思います。将来的に他社を含め店舗数増加がさらに進んで国内リユース市場が飽和状態になった段階では、ゲオHDは他社買収によるさらなるシェア拡大と価格コントロール力向上によって、収益性拡大につなげる可能性があります。
<ゲオHDの当期純利益推移(2015年3月期以降)>
株価は、当期純利益に連動しており、おおむね1,200~1,900円のレンジで推移しています。
<ゲオHDの株価推移(2015年3月期以降)>
過去実績対比でPBRに割安感、解消されれば株価は2,300円に
ゲオHDの2015年3月期と2025年3月期の業績を比較すると、売上高が1.6倍となったのに対し、レンジ推移が続いている当期純利益は0.6倍と減少しました。株主資本蓄積は順調に進んで1.4倍に達しているのに対し、前述の通り株価はレンジ推移する当期純利益に単純に連動して推移しており、時価総額は1.1倍にとどまっています。
結果的に株価純資産倍率(PBR)は1.0倍から0.8倍へと低下しました。この割安感が解消され、PBRが1.0倍にまで上昇した場合には、株価は2,300円となります。
<ゲオHDの業績推移(2015年3月期と2025年3月期)> (億円) 2015年
3月期 2025年
3月期 変化(倍) 売上高 2,703 4,277 1.6 売上総利益 1,125 1,707 1.5 営業利益 96 113 1.2 当期純利益 73 45 0.6 株主資本等合計 63 90 1.4 時価総額 664 736 1.1 PBR(倍) 1.0 0.8 - PER(倍) 9 16 - ※時価総額は期末時点値、2025年3月期は直近値
出所:ゲオHDの資料などより楽天証券経済研究所が作成
ちなみに商材別では、レンタル商材の縮小をリユース系商材の拡大で打ち返して増収増益を実現しています。ただし、収益性の高いレンタル事業の縮小をリユース事業の拡大で打ち返しつつも、リユース事業自体の競争環境が激化していることから、利益率は低下しています。
<ゲオHDの商材別業績推移(2015年3月期と2025年3月期)> (億円) 2015年
3月期 2025年
3月期 変化(倍) 売上高 2,703 4,277 1.6 リユース系 323 1,902 5.9 メディア系 485 837 1.7 新品 796 991 1.2 レンタル他 1,099 547 0.5 売上総利益 1,125 1,707 1.5 リユース系 225 895 4.0 メディア系 203 258 1.3 新品 115 179 1.6 レンタル他 582 375 0.6 売上総利益率 42% 40% - リユース系 70% 47% - メディア系 42% 31% - 新品 14% 18% - レンタル他 53% 69% - 出所:ゲオHDの資料などより楽天証券経済研究所が作成
2026年3月期、2027年3月期は小幅ながら増収増益のトレンドとなる見通しとなっております。株価水準がこのまま変わらなければ、2027年3月期にはPBRが0.6倍にまで低下する計算になります。
なお、ホルムズ海峡封鎖に起因するナフサ不足によってプラスチック製品や家電・日用品の新製品供給が滞ると、消費者は新品購入ができず、中古品への需要が高まります。これにより、ゲオHDの2027年3月期の業績予想が上方修正される可能性があると考えます。
<ゲオHDの業績予想> (億円) 2025年3月期
実績 2026年3月期
予想 2027年3月期
予想 売上高 4,277 4,700 5,006 営業利益 113 115 - 当期純利益 45 55 74 株主資本等合計 90 100 113 時価総額 736 736 736 PBR(倍) 0.8 0.7 0.6 PER(倍) 16 12 9 出所:ゲオHD、FactSetの資料等より楽天証券経済研究所が作成
中古用品店同業他社比でPBRに割安感、解消されれば株価は2,600円に
ゲオHDと上場同業他社について、自己資本利益率(ROE)を横軸、PBRを縦軸とした散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。その中で、ゲオHDについては大きく割安方向にずれており、この点から、株価に割安感があるといえます。
この割安感が解消された場合のゲオHDのPBR(図の青破線に乗る水準)は1.1であり、相当する株価は2,600円です。
<主な中古用品店企業のROEとPBRの関係>
<主な中古用品店企業10社のROEとPBR> 社名 証券コード 取引所 売上高 ROE PBR 億円 % 倍 ゲオHD 2681 東京 4,277 5 0.8 ブックオフグループHD 9278 東京 1,192 11 1.7 オークネット 3964 東京 641 23 4.3 トレジャー・ファクトリー 3093 東京 422 29 4.0 テイツー 7610 東京 365 8 1.5 ハードオフコーポレーション 2674 東京 335 13 1.5 マーケットエンタープライズ 3135 東京 248 43 4.0 まんだらけ 2652 東京 152 10 0.9 ワットマン 9927 東京 84 10 2.5 買取王国 3181 東京 78 11 1.1 出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成
なお、これらの企業の予想配当利回りを比較すると、ゲオHDは1.8%の利回り(一株当たり配当34円で計算)となっており同業他社比で平均的な水準です。
<主な中古用品店企業10社の配当および総還元利回り> 社名 証券コード 取引所 25年3月期 26年3月期 実績配当 総還元 予想配当 % % % ゲオHD 2681 東京 1.9 1.9 1.8 ブックオフグループHD 9278 東京 1.7 10.5 1.7 オークネット 3964 東京 2.8 5.5 3.2 トレジャー・ファクトリー 3093 東京 2.3 2.2 2.3 テイツー 7610 東京 3.3 2.8 2.8 ハードオフコーポレーション 2674 東京 4.3 4.3 3.9 マーケットエンタープライズ 3135 東京 0.0 -0.1 0.0 まんだらけ 2652 東京 0.0 1.1 0.0 ワットマン 9927 東京 2.5 2.5 0.0 買取王国 3181 東京 1.4 1.4 0.0 出所: 各社資料などより楽天証券経済研究所が作成
ゲオHDは今後も高水準収益継続が見込まれる中で、現在の株価1,851円には割安感がある状況です。過去実績比で割安感が解消された水準は2,300円、同業他社比で割安感が解消された水準は2,600円です。
(西 勇太郎)

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