5月14日、自動車大手7社の2025年3月期連結決算が出そろった。最終赤字は日産(6,708億円の赤字)の1社だが、7社のうちスズキを除く6社が減益と苦戦。
東京商工リサーチの調査(2024年6月)では7社の取引先は全国に6万9,860社ある。部品メーカーを中心に裾野が広い自動車業界は、大手メーカーの業績動向が地域経済にも大きな影響を及ぼしかねない。
自動車メーカー7社の2025年3月期の売上高計は、100兆6,767億円で前期から5.0%増(4兆7,891億円のプラス)と伸ばし、初めて100兆円を超えた。各社とも円安効果とグローバルで販売が好調だった。だが、最終利益は5兆8,392億円で前期から22.6%の減益(1兆7,040億円のマイナス)だった。
日産は6,708億円の赤字を計上し、2万人の人員削減、国内外7工場の閉鎖など、経営再建策を明らかにした。
一方、スズキは売上、営業利益ともに過去最高を更新した。販売台数が増加し、1台当たり収益の改善で大幅な増収増益を達成した。
2026年3月期はトランプ関税が懸念
2026年3月期は、米関税と為替変動が各社の収益に影響しそうだ。2026年3月期連結の最終利益予想は、トヨタは前期比34.9%減の3兆1,000億円を見込む。
ホンダの最終利益の予想は、70.1%減の2,500億円を見込む。関税関連では、四輪完成車3,000億円、四輪部品と原材料2,200億円など、計6,500億円をマイナス要因とした。
日産は最大4,500億円の為替影響を見込む。
7社の直接・間接の取引先は、重複を削除した合計は全国で6万9,860社に及ぶ。
とくに日産は国内工場の閉鎖も浮上している。2025年は米国関税やEV、業界再編の可能性などで自動車関連産業は岐路に立たされる1年になりそうだ。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年5月16日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)