2025年7月の 「物価高」倒産


 2025年7月の原材料高騰などに伴う「物価高」倒産は、今年最多の75件(前年同月比7.1%増)に達した。2022年からの円安で物価高が進行し、2024年5月の88件に次ぎ、2番目の高水準となった。


 負債総額は230億6,500万円(同19.9%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。また、2カ月連続で、200億円を超えた。

 コロナ禍が落ち着いても、円安などで物価高の影響が広がっている。なかでも、価格転嫁が難しい小・零細企業の収益悪化は深刻で、「物価高」倒産はしばらく増勢をたどる可能性が高い。

 「物価高」倒産は、最多が飲食店の12件で、前年同月(3件)の4倍に急増した。人件費に加え、食材費や水道・光熱費などの上昇が資金繰りを圧迫している。
 形態別で破産が65件(構成比86.6%)、資本金別で1千万円未満が38件(同50.6%)など、事業継続が難しい小・零細企業の厳しい状況を示している。

 当面、物価安定に向けた好材料は乏しい。取引の立場上、価格交渉がしにくい小・零細企業が確実に価格転嫁できる環境整備と同時に、生産性の向上なども急務になっている。

※本調査は、2025年7月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。

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