家政婦を中心に据えたテレビドラマが人気を博したのは記憶に新しい。ところが今、家事代行サービス業の倒産が急増している。
経験やスキルの乏しい人材に頼る業者も目立ち、サービス料金と質のギャップは大きく、業界の信頼を問われる分岐点を迎えている。
東京商工リサーチ(TSR)が、急増する家事代行サービス業の倒産を調査した。
2025年1-7月の家事代行サービス業(住み込みでないもの)の倒産が急増した。
同期推移をみると、2006年以降の過去20年間では、2010年から15年まで6年連続ゼロだった。コロナ禍でも2022年、23年の4件がこれまでの最多だった。ところが、2025年に入ると状況が一変。これまで最多だった4件の2倍に急増している。
8件の倒産原因は、すべて「販売不振」だ。それだけ同業が乱立し、競争が激化している。形態別はすべて破産だ。再生や先行きが見通せず、会社消滅を選択せざるを得なかったのだろう。
資本金は500万円未満、負債額は5,000万円未満、正社員数は5名未満が最も多く、一度躓くと事業再生への道のりは遠い。
TSRデータベースによると、家事サービス業の新設法人数は、2019年の29社を底に、2024年まで5年連続で増加。2024年は初めて年間100社を超え、133社となった。淘汰増加に先んじて新設数が増えており、すでに熾烈な競争の幕が開いている。
アプリを利用した短時間サービスの浸透などで家事代行サービス業の事業環境は激変している。無計画な開業による質の低下やトラブルもみられる。利用する側にも目利きが求められる時代に突入している。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年8月14日号掲載「取材の周辺」を再編集)

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