インバウンド需要で外国人観光客が増え、夜の街は賑わいをみせている。だが、実質賃金の目減りや物価高が長引くことで、夜の街の風景は変わってきているようだ。


 2025年1-8月の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の倒産は58件(前年同期比1.6%減)で、前年同期から高止まりしている。コロナ禍の支援も終了し、倒産は2年連続で50件台で15年前の水準が続いている。
 コロナ禍は、バー,キャバレー,ナイトクラブも「ゼロゼロ融資」の対象となった。このため、本来は負債額が1,000万円未満の事業者の負債が膨らみ、倒産件数を押し上げる一因となっている可能性がある。

 コロナ禍を機に外食や接待需要が縮小し、そのあり様が大きく変化した。そこに物価高や人手不足などの逆風も重なり、夜の街のお店の経営を直撃しているようだ。
 コロナ禍が明け、「ナイトタイムエコノミー」と言われる飲食や観光、イベントなどの夜間の消費活動は、観光振興や地域経済の新たな成長資源として期待が寄せられている。また、過去最高を記録したインバウンド需要も一部を下支えしている。ただ、それらの恩恵は観光地や都市部の一部にとどまり、政策的な期待と現場の実態には隔たりがあるようだ。
 また、健康志向や若者のアルコール離れなど、日本人のライフスタイルも大きく変容している。国税庁の調査では、2023年度の酒類の消費(販売)数量は782万2,000klで、10年前の2013年度に比べて約9%減少している。
 実質賃金が伸び悩み、飲食回数や二次会需要も減少している。
こうしたなかで、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」などの夜の街に活気が戻るには、現実の消費者行動を見据えた価値づくりが求められている。


※本調査は、日本産業分類(小分類)の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」を抽出し、2025年1-8月の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。

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